表紙 目次 | ■■■ 「日本の樹木」出鱈目解説 2014.6.4 ■■■ 虫蝋木 芳香花として銀木犀はよく知られている。一般に言うところのモクセイという樹木には、金木犀もあるそうだが普通にはこちら。違いは図鑑的なもので、素人は見てすぐにはわからぬが。 かつては、住宅街のそこかしこで、この香りが流れていた気がするが、最近はさっぱり。 今や感じるのは、芳香剤からだけとは寂しい限り。 もっとも、小生にとっては、桂花陳酒の香りの方が馴染みだが。 ところが、初夏のこの時期に同じような香りを発する樹木があるそうな。 イボタノキこと疣取木である。 とのことなので、小石川植物園を訪れて拝嗅したことがあるが、それほど強い香りというものではなかった。表現能力を欠くので、それ以上説明ができかねるが、甘く匂うとは言い難い。 名前が奇妙なので気にかかったせいもある。 解説によれば、木の成分に疣を取る効果があるという訳ではなく、その木につくイボタロウカイガラムシという名称の虫が樹皮上に作った蠟(虫白蠟)が「疣堕」に使われることから来ているらしい。だが、その実態はよくわからず。 ・・・イボではなく、ウオノメ等でがさついている皮膚の部位にパラフィンを塗る話と違うか。 漢方配合との話もあるようだが、それは効能ではなく、剤形を整えるだけのものの気がするが。 疣が取れるとしたら、軽度の火傷をさせることでウイルスを減らす効果があったと見るべきか。刺激で逆効果もありそうな感じがするので、信じがたいところ。 ともあれ、奇妙な貝殻虫もいるものだと思ってウエブを検索すると、イボタ蛾の幼虫を指すようだ。 繁殖期になると貝殻状のもののなかに卵を産み付ける故の命名ということのようだ。孵化すれば、蛾であるから、当然芋虫か毛虫である。大量に蠟が採れるのだから、かなりの大きさの虫なのだろう。葉を食べて成長すると、次第に体表面から蝋を分泌し始め、最終的には枝に移動し、蠟の中に潜んで蛹化することになる。羽化すれば、蠟だけが枝に残る訳だ。 それにしても、芋虫が葉の成分から摂取したものでしかないから、それを集めるにはとんでもない労力が必要なのだろうと想定してしまったのだが、虫の数は膨大なようで、実は簡単に採れる代物。 「別に珍しいものではなく、恐らくあちこちにあるはず」だそうな。そういうことか。 浅学な小生は初耳。 → 「イ ボ タ ロ ウ」 2012.9.15 @Chita_Shizen_Kansatsukai 写真があるから、間違いなさそうだが、この蛾は台湾では枯球籮紋蛾と呼ばれており、蠟製造者の部類と見なされてはいないようだ。大陸でも同じ名称なのかはわからぬが。 一方、大陸では樹木名は、辽东水蜡树。さすれば、この木で蛹化する時だけは特別な現象が生じ、他の木ではそんなことはしないということかも。但し、この木の特徴は、単に、稍被蜡状白粉とされているから、蠟は虫の生産物とは気付いていないのかも。 「日本の樹木」出鱈目解説−INDEX >>> HOME>>> (C) 2014 RandDManagement.com |