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■■■ 「日本の樹木」出鱈目解説 2015.5.28 ■■■

里山雑木盆栽の木

春に、木々が茂る公園、山道や渓流沿いのハイキングコース、等々を歩いていて感じたのだが、シデの垂れ下がる花が矢鱈に目立った。
植林するような木でもなさそうだし、どういうことなのだろうか。

残念ながら、ウエブを眺めても、山のようなコピー情報だらけ。なにもわからず。

わかったことと言えば、花穂が注連縄に飾る紙垂の四手に似ていることからの命名というだけ。
  四手/Hornbeam/鵞耳櫪
漢字は、「椣」だが、日本地名用字であり、訓だけで音は無い。

この四手だが、どう考えても紙垂の当て字。本来的には「垂で」だった筈。その大元は、祭祀用具と思われるが、その場合の名称は御幣あるいは幣束。古代は幣[ヌサ]と呼ばれていた。厄除けの麻製から始まり、木綿が使われ、最終的には紙になったと考えられている。多分、今でも、正式には麻である。
そんなつまらぬことを書くのは、「四手」よりは、槍の柄に付ける槍印の「白熊(はぐま)の毛で作った払子(ほっす)」の方が花穂に似ていそうだから。
「紙垂」の折り方も、二垂、四垂、八垂等々様々で、4という数字は意味をなさない。注連縄に4箇所垂らすという意味でもなかろうし。

どういう訳か、東アジアでのみ多様化した木のようだ。
 日本5種
   赤四手 or 赤芽ソロ/Aka-shide hornbeam
   犬四手,白四手 or ソロ/Yedo hornbeam
   熊四手/Japanese hornbeam/日本鵞耳櫪
   沢柴 or 沢四手/Sawa hornbeam
   岩四手 or 朝鮮ソロ/Turkzaninov's hornbeam
 東アジアには他に30種程度
   Putuo hornbeam/普陀鵞耳櫪・・・全世界で中国[Zhejiang]の1株のみ
 欧州2種
   European hornbeam/欧洲鵞耳櫪
   Oriental Hornbeam
 北米1種
   American hornbeam/美洲鵞耳櫪
 中米1種
   tropicalタイプ

林業ではもっぱら「犬四手」を対象とするらしいが、硬い材質だからもっぱら薪炭用だろう。植木屋さんが取り扱っているとも思えず、まあ、山の木ということか。
武藏野が里山だらけだった頃、雑木林の定番となり、そのまま残ったということか。

ところが、こと盆栽になると様相が変わる。
「赤芽ソロ」が知られるからだ。

ソロの意味は想像もつかぬが、シデを指す。格段の人気というまではいかないようだが、ほぼ定番の地位を占めていそう。
実や花ではなく、冬に現れる細かな小枝と新芽が喜ばれるからだ。新緑は6月で、葉がよく茂る木だから、夏の盆栽も涼しさを演出できそうだし。
落葉樹だから紅葉も悪くないだろう。手入れがよければ素敵な色合いになるのかも知れぬ。

と言うよりは、里山雑木盆栽の木かも。寄せ植えに最適なのは間違いなさそうだから。

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