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■■■ 「日本の樹木」出鱈目解説 2015.7.29 ■■■

鏡カヌーの表象実がなる蔓草

「蘿摩」の呼び名は色々。
  ガガイモ,じかいも
  かゞみくさ
  パンヤ
  いかしき
  かとめぐさ
  すゞめのばんどり
  からすのひるづと
  とんぼのちち,うしのちち


葉はハート形状で、葵に似ているように感じるが、蔓性植物なので、山芋の葉に近いか。長い実がつくものの、先が尖っている。

〇〇蔓とか〇〇鬘と呼ばれてもよさそうだが、そうならないのは、「かゞみくさ」という呼び名でわかるように、「ガガ」に思い入れがあるからだろう。言うまでもないが、「ガガ」とは鏡を意味すると言われている。

この草の地下茎は有毒とか。従って、土中の芋を指している名前とは思えない。
尚、水で晒すと葉なら食せるとの記載を見かけるが、アルカロイドがそう簡単に抜けるものだろうか。[梅村甚太郎:「常用救荒飲食界之植物誌. 第2篇」永昌堂 1906]

蔓や葉を傷つけると、白色乳液が滲み出てくる。そこで、「乳」という名前がつけられる場合もある。しかし、毒が含まれているのは間違いない。只、アルカロイドだから、皮膚傷の止血、あるいは、その逆の効果はあるかも知れぬ。細胞毒とすれば、現代でも制癌剤を使うから、疣取りに使った可能性も考えられる。
だから、栽培に踏み切ったというほどの重要性はないとは思うが。

この植物、目立つことはないが、珍しいものでもない。
どういう訳か、農耕地近辺の日が当たる道端でよく見かけるからだ。状況から見て、人手で移植され栽培されていて、そのまま放置された結果と見るのが自然。多年草だから、優越的に育つ種に駆逐されない限り生き残れるからだ。
つまり、その昔は、それなりに価値があった訳である。
考えられるのは、種に、綿のような羽毛がついているから、それを利用した可能性。たいした量ではないが、貴重な綿を使わずに済むから、端布を使った手芸品には最適。
実際、この羽毛を「パンヤ」と呼ぶとの解説。しかし、普通は、この素材は東南アジア産の樹木カポックことキワタ。有名なのは枕用だが、枕だと蕎麦殻が有力。あまり知られていない用途が色々あると見てよさそう。
ガガイモパンヤは収穫量からみて、そのような使途には向くまい。端布を使う小さな吊るし人形や、針刺しといった手工芸で使われたのだろう。綿やカポックパンヤが溢れかえる時代になれば、見向きもされなくなるのは致し方なかろう。

ガガイモの近縁には、サボテンに似た多肉系が色々とあるようだ。NHK趣味の園芸で取り上げられるほどだから、人気種らしい。部分的に視聴しただけだし、園芸を趣味にしていないので、どこが嬉しいのかはよくわからなかったが、人手形の南国的花の珍しさを愛でるということかも。
ただ、この手の花は一般的には、臭気を発するので要注意だろう。所謂、虫媒花だが、余り好まれない虫が集まる訳で。まあ、日本の都会では、そのような虫は滅多に見かけなくなっているからかえって愛おしいとなるかも知れぬが。

代表的なのは、こんなところか。
 風船唐綿/フウセントウワタ[冬枯の春撒一年草で多肉ではないが。]
 鐘楼角,スタペリアンサス/豹皮花系
 セロペギア[耐寒度ゼロ]

尚、球蘭とか桜蘭と呼ばれる観賞用ホヤ(もちろん、海鞘とは違う。)も類縁のようだ。

ガガイモの実は熟すと縦に一ヶ所裂けて、皮はカヌー型となる。そして、羽毛が覗く。
これを見かけるから、そこここに生えているナとわかる訳である。
その時に、古事記の、波の彼方より来る【天乃羅摩船】を想像することは無いが。

来訪者「少彦名命」は、そんな形の船に乗ってきたのだろうか。常識的には皮張りカヌーである。
その名前を知っているのが、崩れかかった山田の案山子だけというのも実に意味深。「少彦名命」とは、もともとが山田の出身であり、大陸へと渡来し、鏡を抱えて戻って来たことを示唆していそう。用心して、日本語を話さなかった訳である。そして、大己貴大神政権の統治スタイルを作り上げた訳だ。
おそらく、史実。米子市内に神社が存在するが、他地域と違い、わざわざ創建する必要はなかろう。(粟島神社,目組神社)

名前からすると「少彦名命」は体躯がかなり小さかった筈。それもあってガガイモが、小さな船の表象として最適だったのだと思われる。それに、綿入り衣類着用だったかも。もちろん、その表は鵝の皮で装飾されていたりして。

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