↑ トップ頁へ

2000.3.2
 
 


遺伝子組換え技術の意義をもっと訴えるべきだ…


 遺伝子組換え作物に対して使用反対の動きがある。オピニオン調査結果でも、一般消費者は使用を差し控えたい意向のようだ。どうも、日本及び欧州では、遺伝子組換え作物及びその利用食品はマイナーな地位に留まりそうだ。

 日本が農産物を、比較的安価に調達できたのは、そもそも農業関連技術の進歩を活用することで、米国が一貫して農業生産性を高めて来たからである。ところが、この生産性の伸びにも限界が見えてきた。これを突破できそうなのが、遺伝子組換え種子であるのは周知のとおりで、この技術なくしては、農産物生産能力のこれ以上の向上は当面無理なのだ。

 世界の人口増加が予測通りに進めば、遠からず膨大な食料需要が発生してくる。この時、遺伝子組換え種子による生産性向上がなければ、供給不足は避けられまい。そうなると、自給能力不足の国は、余剰国の放出可能な食料を奪い合う以外になくなる。悲惨な状況が想定される。

 ちなみに、大消費地、中国は遺伝子組換え植物の実地試験に寛容である。というより、積極的に取り入れ、可能なら生産能力増強に動こうとしているようだ。食料自体が国の安全保障の鍵を握る時代が予想されるから当然かもしれない。
 
 遺伝子組換え種子非使用の道を選択すれば、世界的にこの領域の技術開発投資は激減すると予想される。食料問題という人類の将来を左右しそうな、極めて重要な技術だと思うが、これを本当に捨てる方向に導いてよいものか。研究者はパブリック・アクセプタンスの失敗などと傍観せず、この技術の意義を理解してもらうべく積極的に消費者に情報発信すべきではないか。


 政治への発言の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2004 RandDManagement.com