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2000.3.2
 
 


太陽電池の普及施策を急ぐべし…


 今後のエネルギー需給予測からみる限り、エネルギー危機は遠からず来る。その時、資源を持たず、紛争地帯の採掘地域からの供給に依存する日本経済は根底から揺すぶられる。こうした事態に対応できるエネルギー供給体制を模索することは、極めて重要なことだ。
 しかるに、鉱物資源探索技術は弱体だし、そもそもそのような資源が国内にある可能性は確率的に低いから、当然、鉱物資源に依存しない次世代エネルギー開発に賭けるしかなかろう。

 代替エネルギー源は自然か原子力だが、今、原子力エネルギー利用に黄色信号が灯っている。しかも、青信号点灯が何時になるかが皆目わからない。そうなると、自然エネルギーへのシフトを急ぐ必要がある。開発期間と実現バリアを考えると、太陽光発電システムへの傾注しかあるまい。

 ところで、太陽光発電システムの基幹部品、太陽電池の技術は実質的に日本企業が握っている。その上、電力利用する基本技術も完成し、商業化済みだ。参入各社が、安価で高品質・長寿命な製品実現を目指し、競争して開発を進めれば、加速的普及も可能だ。ところが、現実にはそうした動きは弱い。企業経営の観点からみれば、リスク覚悟で本格的投資に踏み切るだけの大市場確保の見通しが立たないからだ。こうした状況を突破するには、政府の大胆な施策しかあるまい。

  そのためには、研究者が太陽光発電コストの大胆な削減目標を掲げる必要がある。大量生産で決定的な低価格を打ち出す家電の発想が不可欠だ。研究者による、コスト低下へのコミットメントさえあれば、政治も動かざるを得まい。石橋を叩いて渡るような将来予測でなく、是非驚くような低価格実現に挑戦して欲しい。

 2000年から本格化した電力の規制緩和により、電気料金は低下しそうだ。そうなると、パネル設置住宅への補助金だけでは太陽光発電の魅力は薄れ、太陽電池普及は遅れるかもしれない。急がないと、普及のチャンスを失するのではないか。


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