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2000.3.18
 
 


インターネット・アクセス・ライン戦略の再構築を…


  Ryan Hankin Kent社が2000年1月に公表した調査結果によれば、北米でのインターネット通信量は1カ月あたり35万テラバイトに達したという。(http://www.rhk.com/pr/180100.html)2003年には500万テラバイトを超え、2003年には1600万テラバイトになる、との推定も同時発表した。すでにデータ通信量は電話の音声通信量を超えたという。インターネット放送に当たるストリーム・メディアが10%、インターネット上の音声/ファクス送信が2〜3%とのことだ。
 明らかに、大量データが一挙にインターネットに流れ込み始めた。この流れは急速に世界に広がろう。大量高速通信インターネットの時代の幕開けである。

  ところが、日本はこうした動きに完全に出遅れている。普及率はiモードの登場で急速に高まったが、その容量は僅か9.6キロで、短時間アクセスだ。ライフスタイルを変えるほどのインパクトを与えるのは家庭での常時接続だが、こちらはさっぱり進まない。2000年にして、ようやく、月額6千円〜1万円の常時接続が一部地域で開始されたに過ぎない。だいいち、常時接続といっても、INSでは通信容量は僅か64キロである。本格的映像通信は20メガ程度が必要だが、通信幹線建設の話ばかりで、家庭には誰がどのように大量通信インフラを構築するのかさっぱり見えない。

2000年時点で、即効性ある容量拡大方法は2つしかない。現行の電話線をそのまま使うADSLと同軸ケーブルのCATVだ。これで容量は1桁アップできる。しかし、ADSLは回線トラブル発生が予想されるし、有料衛星放送の普及でCATVの魅力は薄れている。普及の進展は余り期待できそうにない。このままなら、携帯電話技術で300キロや2メガを実現する仕組みの方が普及し易いのではないかという人さえいるが、今のところ、無線での実現はかなり先だ。インターネット向け各種電気製品の研究開発スピードは加速されており試作品が次々と生まれそうだが、いかんせん通信インフラが手薄なので、国内での活用は当面期待できまい。

 家庭への接続体制整備が進まないのは、独占的通信企業の姿勢が原因と見る人もいる。新システム導入は電話を不用としかねない。すなわち現行施設は帳簿上不良資産化し除却処分を余儀なくされ、収入も激減することになる。私企業として動きが鈍いのはやむを得まい。「動かない姿勢への批判」でなく、「動かす工夫」も必要だろう。

 林伸夫日経パソコン局主席編集委員は1999年9月17日付けコラムで、「月額2千円で10メガ実現まで1年」と希望的観測を含めた要望を述べられたが、2000年初頭に新築大規模マンションで実例が登場した。光ケーブルが一般家庭へ引き込まれたのである。INS常時接続やADSL化が遅々として進みそうもないなら、この例で示された『ヘジテーション戦略』も一案と言えよう。途中のメガ容量の段階は傍観を決め込み、現行のアナログ電話線接続から、一挙に家庭への直接光ケーブル接続を進めてしまうのだ。日本の新築住宅戸数は100万戸を越す。ここに順次光ケーブルを入れ10メガの容量を実現する。当初の施設代金を新築費用でカバーすれば、月次支払額は月額5〜6千円で十分で、一端光ケーブルが入れば、状況は様変わりする筈である。


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