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2000.7.9
 
 


二酸化炭素ガス対策…

 『人類は80年で滅亡する』というセンセーショナルな題名の本が2000年2月に出版された。(東洋経済新報社刊)宗教家の予言本という印象を与えがちな題名だが、著者は著名な学者で、真面目な内容である。

 「CO地獄からの脱出」という副題が示すように、二酸化炭素ガス放出が続くと早晩カタストロフィが訪れるとの警告書だ。

 この分野での議論は、事実や推測が混じりあう主張がとびかう上、感情論としか思えない話までが登場するから、一般の研究者・技術者は発言を避けてきたように見える。大局的な見方を提起した本が登場したから、研究者・技術者もポイントを絞って議論がしやすくなったのではないか。積極的な発言を期待したい。

 この本を読み、はっきりしたのは、以下の点だ。
 ・二酸化炭素ガスの発生量が急激に増加している。
 ・このため、当面は温暖化が進みそうだが、この他にも、様々な影響が出てこよう。
 ・しかし、こうした変化や、予想される影響は、よくわかっていない。少なくとも、急激な増加量に対して、地球の「浄化」システムは対応できそうにない。
 ・環境の対応能力を越えると、バランスが一挙に崩れる可能性が高い。こうしたカタストロフィ的変化は、生存条件を考えれば、生物絶滅型の破局を意味する。
 ・二酸化炭素ガス発生抑制策はおざなりなままである。

 政治は、危険性をさらに調べたり、シュミレーションをすることには、熱心のようだが、抜本的対処策には不熱心なようだ。
 対処策は、炭素源エネルギーからの離脱と気中二酸化炭素ガスの固定化の二つなのだから、この分野の科学技術振興策を積極的に打ち出すべきと思う。
 代替エネルギー研究は歴史もあるが、原子力利用が頓挫していることに象徴されるように、今のままではとうてい埒があきそうにない。
 一方、二酸化炭素ガスの固定化は検討が遅れているように見える。もっぱら、森林保護と植林の社会運動に期待し、技術で解決する気迫が感じられない。砂漠の緑化だけでなく、材木用木本・セルロース化に最適な草本・大型海藻の品種改良、光合成細菌利用法、人工光合成、等、解決策は豊富な筈だ。


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