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2000.7.15
 
 


とりあえず対応型のnon-GMO施策…

 遺伝子組み換え食品表示が2001年4月から義務付けられるのに対応して、2000年4月より1年4月限の輸入大豆の取引が国内の商品取引所で始まった。米国産大豆は標準品としてのIOM一般(インディアナ・オハイオ・ミシガン)だけだったが、遺伝子組み換え品についての規定がなかったので、非組み換え品(non-GMO)の取引を別立てにした。

 仕組みは動き始めたのだが、将来どうするのかの議論は下火になった。政治家が得意の「とりあえず対応、抜本策はできるだけ後で」路線を歩むことになりそうだ。方針が不明瞭なまま放置する体質が続く限り、バイオ関連の研究開発が盛んになることはありえない。政治家はバイオ分野に興味がないといえそうだ。

 この分野は、意思決定を先送りしても、すぐに問題は蒸し返される。問題が起これば、研究者・技術者は必ず、対応に時間を費やされる。この労力を、本来のバイオ研究開発に投入したいと思う人は少ないのだ。

 実際に商品取引が始まれば、問題発生は時間の問題といえるのではないか。
 例えば、入荷品がGMOかどうかのチェックは、サンプリング検査で判定がつけられとされている。しかし、米国の集荷業者は、豆が混じってしまう可能性が高いから分別は困難と主張していた。バラ積みでなくコンテナ輸送だから区別できるといっても、混合されない保証はできまい。混合品が発見されたら、どう対処するのだろう。---「GMO生産国のnon-GMO品は認めない。」ということになるのだろうか。

 non-GMO路線を歩むなら、これから登場する大豆以外の商品でも同様な対応が必要となる。そうなると、とうもろこし、小豆、粗糖、コーヒーでもnon-GMOをつくる予定なのだろうか。

 現時点では、組み換え大豆といえば、耐農薬性による生産性向上が図れる品種のみだ。non-GMOの価格は1割程度上乗せのプレミアム商品になる。しかし、今後予想される商品は、低コレステロール化大豆といった機能性ものだ。このような商品が登場したら、どのような対応をとるつもりなのだろうか。

(注) 改正JASの施行に合わせた運用規定として、表示が義務付けられる対象は、大豆、トウモロコシ、ジャガイモとそれを原料とする加工食品である。但し、醤油、コーンフレーク、コーン油、水飴、マッシュポテト、冷凍ジャガイモ食品は除かれる。


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