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2002.2.3
 
 


雑炊政策が幅をきかせている…

 政治の混迷が経済状況に大きな影響を与えている。下手をすれば、日本経済がメルトダウンしかねない状況に至っても、未だに「構造改革キャンペーン」合戦が目立つ。

 数多くの政策提言があっても、課題の認識がバラバラだから、こうした印象を与えることになる。その一方で、「構造改革の方向は正しいが、口先だけで、実際にやらない」と政権を批判する人達がいる。こうなると、論点が目まぐるしく変わるので、不毛な論争になる。しかし、実際の行動から、ようやく思想の違いが見えてきた。
  ●小泉型構造改革●
 官民あげた大規模投資で経済が伸びる時代は終わった、という基本認識。最重要課題は、市場原理の下で、民間が投資を進める体制に移行させること。そのためには、官へ流れる資金を減らし、官僚の干渉を最小限にするのが出発点。当然、民営化や非効率な機構の清算を重視することになる。
  ●竹中流構造改革●
 竹中経済財政相の考え方は小泉型とは異なる。単純投資で経済が伸びる時代は終わったという認識は同じだが、この変化に民間が対応できない点を最大の問題と見ているようだ。待っていても民間は動かないから、官は民が動かざるを得ない仕掛をつくるべきという思想だ。
  ●「製造業強し」路線●
 ところが、構造改革は原則論としては賛成だが、経済沈滞を招くから、最優先施策でないと考える人達がいる。不調は金融問題が根源と捉えるからだ。滞留する債券処理を続けるため、お金が回らなくなり、経済の動きが鈍化すると見る。なかには、製造業の強さは保たれており、問題は金融業界、との主張もある。貨幣供給量増大型金融政策を最優先することになる。

 現実には、以上の考え方を雑炊的に同居させた政策が推進中だ。官の無駄を切り、規制を撤廃する一方で、政府が重点分野中心の財政政策を進めるというもの。しかも、できる限り貨幣量を増やすのである。
 一見、合理的に見えるが、根本矛盾を孕んでいる。官は非効率と考える一方で、重点産業を官が設定し産業勃興刺激策を進めるからだ。このことは、小泉流改革を進めたくとも、新産業のイメージが湧かないため、将来発展のシナリオを示せないとも言えよう。


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