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2002.4.1
 
 


不況脱出の鍵…

 90年代、経済低迷を脱するために様々な政策が打たれてきた。
 バブル崩壊後数年は、政権中枢も金融当局も、楽観論が目立った。日本経済強しである。確かに、設備投資は引き続き旺盛だったし、失業率も2%台だったから無理もない。お蔭で、対処療法的な経済刺激策や産業振興策が続いた。
 楽観論に依拠しているため、好転が見込まれると、すぐに消費税率を上げ税収拡大に走る。このため、一挙に消費が萎み本格的な経済収縮がおこる。その結果、超低金利と大型財政政策の出動を招く。

 忘れてならないのは、この間、ケータイのような大型産業が短期間で勃興している点だ。このようなプラスがあっても、事態は一向に好転しなかった。
 このため、構造改革推進優先の方針に移った。しかし、実質的には緊縮型財政になったため、好転の兆しがすぐに現れる筈がない。結局、デフレ対策まで打ち出さざるを得なくなる。株価の下落も酷く、空売り規制で市場の揺れを抑える施策まで登場する。
 この状態で政策が成功裏に展開しているとは思えないが、消費の低迷は終わったから回復は近いとの楽観論が振り撒かれ始めた。政治の体質は変わらないようだ。

 景気対策が効かない理由は、経済の牽引車を理解しないからと思われる。99年以降は特に明瞭だが、リスクマネーと技術を活用が新産業の芽を生み出している。この動きが経済伸張の核となっている。成熟化社会では、新産業無しでは、成長余力は極めて小さい。革新的動きで、既存産業の構造変化を生み出さざるを得ないのだ。
 このような発想で包括的な新政策を打ち出すには、新しい政治のリーダーが必要なのだろう。歴史を振り返ると、旧リーダーが入れ替わることで、初めて大不況が克服できたという。(Barry Eichengreen and Peter Temin:“The Gold Standard and the Great Depression”, Working Paper #6060, National Bureau of Wconomic Research, June 1997)


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