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2002.12.19
 
 


自称「革新」派の見分け方…

 革新勢力を自負する人々と議論すると、話しがかみ合わないことが多い。

 米国主導の経済グローバル化に対する反感が極めて強いからだ。
 もちろん、米国政府がしばしば見せる傲慢な姿勢や、一部の米国企業の不躾な態度に対しての怒りはよくわかる。しかし、これは、経済全体の流れとは、別次元の問題である。
 自称「革新」派には、冷静かつ論理的な政策議論を避ける傾向があるようだ。

 実際、主張の大半は腐敗批判で、清廉潔白な人格者待望論が目立つ。誰が考えても、人格的に問題ある人を指導者にしたくはない。しかし、そのような理想論を議論したところで、実践的な意義があるとは思えない。革新派の役割は、人格批判ではなく、間違った政策や方針を打ち出していないか、徹底的に検討し、批判することだろう。
 ところが、そうでないのだから、本質的な議論をしたくないと考えるしかあるまい。

 このような、自称「革新」派の見分け方は簡単だ。

 すぐにわかるのは、環境や貧困問題に関する姿勢である。「革新」派は、このような金がかかる問題の解決に、経済成長が不可欠と考えない。経済のグローバル化が、環境や貧困問題解決にプラスに働いている現実を故意に覆い隠し、経済成長を止める方向の施策を提起する。世界不況の到来で社会を変えようと考えているのではないか、と思う位に強固な主張を展開する。
 典型は、世界の貧困地帯で工場を興し、劣悪環境で利益をむさぼる企業を「悪」ときめつける主張だ。貧困層にとってみれば、これは「劣悪」工場ではない。働けば生活環境は一挙に好転するからだ。普段の生活はもっと劣悪なのである。ところが、「革新」派は、このような「劣悪」工場進出に反対する。植民地化だ、とさえ言う。貧困層が就ける仕事が他に無いにもかかわらず、貧困の固定化を図る訳だ。
 要するに、先進国にスキルが低い仕事を残そうとしているのだ。

 国民の生活水準が向上すると、貧困や環境問題が解決していくのは、日本の成長過程を見ても明らかである。グローバル経済成長こそ最強の解決策なのである。
 当然ながら、この施策を進めれば、先進国の労働スキルが低い層は、発展途上国並の所得に落ち込む。この層が生活水準を保つには、能力向上は必須条件である。といっても並大抵のことではない。
 この層が「革新」派の基盤なのである。従って、この層の没落をきらい、一部の富者が生まれる社会への反対姿勢を見せる。しかし、その本質は、海外の貧困の固定化による、自分達の基盤崩壊抑止である。

 要するに、知恵と高度なスキルで食べる社会へ進む動きを徹底的に妨害するのが、「革新」派の特徴である。仮面は革新だが、実態は保守派なのである。

 この人達の影響力は考える以上に大きい。様々な形で、構造変革に繋がる革新的産業技術の登用を妨害しているからだ。


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