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2003.1.18
 
 


パフォーマンス政治の背景…

 2003年1月15日、昼時のTVバラエティー番組に、小泉首相が電話で「飛び入り出演」した。このためメディアから「大衆メディアを舞台にした得意のパフォーマンス」との指摘を受けている。(http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/868977/8fce82c182c482a282a282c682e0-0-1.html)

 しかし、こうした批判は的外れだ。支持率がパフォーマンスで決まるなら、政治家としては当然の行為といえる。
 というより、政治がビジネス化している現実を、理想論で覆い隠す役割をメディアが担っているといった方が正しいのかもしれない。

 2002年12月15日に毎日新聞が実施した全国電話世論調査によると、小泉内閣支持率は49%である。9月の67%、10月は64%に比べれば低下したが、3月から8月にかけては4割台だったから、基調に戻ったことになる。引き続き、約半数が支持し続けていることになる。
 ところが、景気対策優先派71%に対して、構造改革優先派は23%で、構造改革優先のキャッチフレーズで登場した頃の状況と逆転した。政策は支持できないが、小泉首相を支持するとの結果である。(http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/868968/8ex8e9d97a6-0-17.html)
 これは、「政策は支持しないが、政治家は支持する」と同義といえよう。

 こうした状況は、米国でも見られる。2003年1月14日のCNN報道によれば、リーダーシップでは大統領への支持は高いが、政策はそれほどでもないという。 (http://www.cnn.com/2003/ALLPOLITICS/01/14/bush.poll/index.html)
 共和党は2001年11月の中間選挙で勝利を収めたが、これも「テロ撲滅」キャンペーンを進めたブッシュのパフォーマンス効果といえそうだ。期待する政策は、テロ問題ではなく経済だが、お気に入りの政治家へ支持が集まった。(http://www.cnn.com/2002/ALLPOLITICS/11/05/cf.opinion.voters.minds/index.html)
 これは、ゴア対ブッシュの戦いの構図と全く同じである。政策そのものは、民主党的な方向が好まれていたと思われるが、ブッシュが選ばれた。要するに、ゴアは好かれず、ブッシュは好まれたということだ。
[イギリスでは、VTRテープをトースターに挿入し、燃えたのを見て下品な高笑いをするブッシュ大統領の風刺漫画が、TVに登場しかかった。こうした政治の本質をついており、秀逸な作品だが、ボツになった。](http://media.guardian.co.uk/broadcast/story/0,7493,848371,00.html)

 要するに、政治家は支援者の献金なくして動けないから、どのような政策だろうと、支援者にメリットを与える点では変わりあるまい、との見解が広まっているのだ。多額の献金ができない層にとっては、どの政治家であろうと、自らのメリットが優先されることがないから、気に入った方を選ぶといえる。

 こうした状況下での政治家の動きを観察すると、ビジネスマンにとって貴重な教訓を得ることができる。
 例えば、新標準作成に際しては、上記の教訓はすぐに活かせる。本当に大きなメリットがあるなら、すぐに結論がでる。一方、正論であっても、それほど大きなメリットがなければ、支持されるとは限らない。まずはパフォーマンスを考えるべきなのである。


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