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2004.3.6
 
 


ビジネス特区で新風は吹くか?

小さな一歩のコンビナート特区…

 特区とは、規制緩和を行うことで、新興勢力が登場するチャンスを提供することに最大の意味があると思う。しかし、この動きの影に隠れて、旧勢力も既存事業の再構築を大胆に進めることができるチャンスがある筈だ。
 これが上手くいけば、効果は大きい。そうした取り組みがあるのか見てみよう。

 その典型はコンビナートである。
コンビナート特区(1/2回認定)
-- 地域 -- -- 主目的 --
鹿島臨海工業地帯 定修等の合理化、安価電力
四日市工業地帯 定修等の合理化
山口県周南工業地帯 安価電力

 日本のコンビナートは石油化学時代の幕開けに作られたものが多い上に、小規模なものが多い。
 最近は、経済低迷でほとんど投資されていないから、古い設備が並んでいると考えてよいだろう。というより、すでに寿命が到来しているものや、そろそろ寿命といった設備を沢山抱えていると言った方が正確だ。

 当り前だが、プロセス産業は最新設備ほど生産効率が高いし、オペレーション/メインテナンスコスト低減のための的確な継続投資をしていないと、コスト競争力を失うビジネスである。
 (設備償却を終えれば、利益を永続的に生み続ける金の卵になるのは石油精製工場といった例外的なものだけである。)

 日本のコンビナートは、その点で、そろそろ危機的状況に陥る可能性が高い。
 たまたま、中国経済バブルが続いているから、危機が隠されているだけと見ることもできる。

 しかし、どのように対処するのか、さっぱりわからない。大胆なビジョンを示す企業が登場しないから、未だに遅々たる変化である。

 確かに、蜘蛛の糸に絡まれているような業界であるから、解決は難しい。
 先ずは、コンビナートが地方経済を支えているため、政治が絡み、企業は独自の戦略で動けない。
 さらに、コンビナートの性格上、互いの供給関係を突然切ることが難しい。製品のポートフォリオさえ自由にコントロールできかねるのだ。しかも、価格政策も硬直的だ。
 その上、様々な政府の規制がある。
 戦略的自由度は限られており、如何ともしがたいのである。

 このまま放置していれば、企業ができることは一つしかない。
 将来生き残れそうにない工場への投資を止めることだ。
 そこでは、最低限の資源で運営する体制を敷く。当然ながら、ヒトは育てない。研究開発活動も、他の地域への集約を図ることになろう。

 規制緩和は、この流れを変えることができる可能性がある。一縷の望みかもしれない。

 そのため、特区構想に、コンビナート再興の仕掛が隠されていると期待したのだが、結果を見ると、それほどのものではないようだ。
 やはり、なかなか手がつけられないのだろう。


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