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2004.6.25

   中小企業政策の抜本的見直し必至

本当に競争政策なのか?…

 中小企業政策の抱える問題を指摘した。
  → 「無方針な中小企業育成」 (2004年6月24日)

 しかし、この問題は、難題という訳ではない。
 中小企業に期待する事業を明確にして、その事業に応じた振興施策に整理し直せばすぐに解決するからだ。
 
 資源の流用を封じれば、方向は一気に是正されると思う。

 それでは、どのような事業があり得るのか、簡単にまとめてみよう。

 1つ目は、限定市場を対象とする事業だ。

 ・ 大企業ではできにくい、小回りが要求される特殊な部分を担当する事業
    例えば、カスタム化の要求への対応
 ・ 「種」の保存事業
    例えば、地域文化の華として不可欠な事業

 どちらも、これだけでは発展性は乏しいかもしれないが、競争が緩いから、独自性や高度なスキルを武器に高収益化が図れる筈だ。高収益化が図れるような仕組みつくりや、スキル構築支援といった支援だけで、企業は活性化できるだろう。

 これと対照的なのが、2つ目の、新興産業の勃興を狙う事業だ。

 ・ 大企業のスピンアウトとの融合事業
    大企業で「亜流」視された事業や技術の受け皿
 ・ 新産業の芽となりそうな事業の当座のプラットフォーム事業
    創業期のインフラ提供

 こちらの場合、基本的には新事業創出である。成果があがるかは、製品開発と市場開発の能力次第である。この能力を持つ企業を選別的に支援するしかない。
 これが、成果をあげる早道である。
 注意すべきは、アイデア創出側や、アイデアと開発者を結びつける部分を強化する政策は、それほど重要ではないという点だ。そのような施策は、3つ目としてに記載する事業が対象なのである。
 ここで行うべきことは、開発能力が高い企業が、良いアイデアを見つけてくる仕組みを提供することで、アイデア創出側の動きを活発化させることが、プラスに働くかどうかはわからないのである。

 そして、3つ目が、大企業の既存事業に果敢に挑戦し、競争状況を作り上げる事業だ。
 これは、大企業、中堅企業、中小企業、ベンチャー、と入り乱れて戦う産業モデルだ。海外では、このモデルが好まれるが、日本は嫌われているようだ。産業の安定に価値を認めている経営者が多いからである。
 にもかかわらず、この事業に合った施策が打ち出されている。各地域毎に、ベンチャー創出数を競わせるような動きは、典型的な施策といえる。困難な道を選んでいるのだ。
 しかし、本気で競争政策を推進するつもりなら、中小企業の定義として、独立性担保を打ち出す必要があろう。そうでなければ、中途半端な政策と言わざるを得まい。

 本格的な競争政策が無理なら、大企業との協力的棲み分けを進める方が合理的だと思われる。
 面倒なカスタム化が必要な市場を明渡したり、発展性の乏しい事業を譲渡することで、高収益化を果たし、大企業がハイリスク挑戦体質に変えるのである。
 大企業の変身が、中小企業振興策になるのである。


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