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2004.9.14
隣国の危険な政権…
2000年に行われた韓国のウラン濃縮実験に対して、様々な意見がとびかっている。
しかし、実験だけなら単純な話である。隠れて核兵器を作れるか、とりあえず第一段階の実験で調べてみただけといえよう。
核兵器であるから深刻な問題だが、科学者が「やってみた」だけなら三面記事的な話である。
もっとも、政府が知らないうちに科学者が勝手に動いたなら、全く管理能力がない政権だったことになる。
そうでないとすれば、政府の隠密プロジェクトということになる。
この実験より前にも、ウラン濃縮実験が行われた疑惑が語られているから、どう見ても後者の可能性が高そうだ。
・・・というような議論がされているが、不毛だ。
そんなことより、この問題に対して、各国政府がどのように対応するかが重要である。
一番問題なのが、韓国現政権の態度である。どうも内向きな感じがする。
“科学者が、たった「0.2g」を作る実験をしただけだ。大騒ぎして、韓国の地位を落とし込めようと画策する勢力が蠢いている。”と映るよう、積極的に工夫している印象を受ける。
というのは、国内で稼動している原子炉用燃料の濃縮ウランを全量輸入しているといった話が盛んに流布されているからだ。
原子炉燃料の濃度はせいぜいが5%であり、高濃度実験とは無関係だから、世論誘導に恣意的に持ち出したとしか思えない。
要するに、商用化に向かない装置で、たった0.2gを作っただけで騒ぐな、と言いたいのだろう。
おそらく、実際に使えない科学実験に大騒ぎするのは、海外の「一部」の勢力、と宣伝したいのだ。ことを荒立てるのは反韓勢力、と考えるように仕向けているともいえよう。
海外が実験の実情を知ろうと動けば動くほど、自動的に、韓国国内で、海外への反撥が高まるように工夫したのである。
これは、黒を白と言いくるめるような動きともいえる。
よく考えればわかるが、たった「0.2g」だからこそ、そして、実用的でない装置だからこそ、兵器製作への挑戦なのである。
この事実を認めず、逆に、海外勢力への反感を煽ろうというのだ。
当たり前だが、ウラン235の濃縮は大変な仕事である。軍事用であっても、巨大施設が必要となる。
確立された遠心分離法や気体拡散法の設備を多数揃え、徐々に濃縮させる大規模施設を作るのが常識だ。さらに、運営ノウハウ確立のためにエンジニアも多数投入する必要がある。
これでは、民主国家なら、隠れてウラン濃縮など、とてもできまい。
言うまでもないことだが、大規模工場で膨大なエネルギーを消費してようやく作れるのだから、効率が悪いレーザー濃縮機でほそぼそと兵器を作ろうと考える人などいない。
しかし、この考え方には盲点がある。本気で、「隠れて」兵器を試しに作ってみたい、と考えた時には、この常識は通用するとは限らないからだ。
隠れて兵器を作るなら、レーザー濃縮法は、突然、有力な手段として躍り出る。金がかかる上、生産効率は極めて悪いが、理論上、金と時間さえ投入すれば、兵器1個分の高濃縮ウランを製造することはできる。
韓国の場合は、これにぴったり当てはまる。わざわざ「隠れて」、しかも高濃度ウラン生産の専用機を作ったからである。
レーザー濃縮法で兵器1個を「隠れて」作るには、どの程度の金と時間がかかるか、どう運営したらよいのか、データを集めたと考えるしかあるまい。他の目的は考えにくい。
先進国なら、こんなことまでして、たった「1個」の兵器を金をかけて作っても意味ないと考えるだろう。
ところが、このような常識が通用しない国もある。民族感情を煽ることを課題にしている国や、独裁国である。「1個」が国威発揚にとって、極めて重要なのである。
韓国政権は、こうした国々の政権と同じ体質だったといえよう。
・・・そして、現政権は、民族感情に訴えて、この問題を乗り切ろうとしている。
危険である。
偏狭な民族主義で権力を維持しようとすれば、火種を求め続けるしかないからである。
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