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2004.11.22 |
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テロ蔓延にどう対処するつもりか…2004年11月17日付けのNewYork Times の記事(1)によれば、イランには、IAEAの査察官に報告していない国防省の施設があり、ここで高濃縮ウラン型核兵器生産が進んでいる、という新たな証拠を、National Council for Resistance in Iran (2)が示したそうだ。このグループはPeople's Mujahedeen に属す反体制派だが、2002年にNatanz での秘密核開発を暴露したことで知られている。情報の信用度は高そうだ。 状況を考えれば、イランは兵器生産に十分な技術情報や原料を、すでに他国から入手済みの可能性が高い。核兵器を保有できる状況に到達していそうだ。 ここまで来ると、おそらく核兵器拡散防止は無理である。People's Mujahedeen といった組織が、国防の極秘情報を容易に知りえる立場にあるのだから、そのうち、核兵器の技術情報も漏洩するし、原料や兵器も奪取されることになろう。 パキスタンのMusharraf 大統領が、2004年9月のBush 大統領との会談時に語ったように、このままでは、いずれ核はテロ組織の手に落ちる。核兵器は国家間の覇権争いと、安全保障の道具だった時代が終わるかもしれない。(3) Musharraf 大統領は「away from a "culture" of extremism」を目指した政治を進めており、その指摘は的確である。 パレスチナ問題についても、わかりやすく語っている。(4) ・・・テロの現況と呼ばれるハマスは、もともとイスラエルがPLOに対抗するために作った組織だ。すでに、組織は根を張っており、いまさら、イスラエルが外から組織の抹殺を図ったところで無理筋である。ハマスが、より強行な手段に走るから、問題は深刻化するだけ、と指摘している。 こうしたリアリズムに基づいた現状認識が重要だと思う。 イラク問題でも、ドグマではなく、リアリズムで対処しなければ、大変なことになる。 フランスのChirac 大統領が、英仏年次協議前の17日に語ったように、独裁者を放逐した点だけ見れば結構なことだが、"There is no doubt there has been an increase in terrorism."なのは間違いあるまい。(5) どう見ても、対テロ戦争の効果があがっているとは見えない。テロを抑えているどころか、蔓延し始めているのが現実である。 そんな状況で、日本政府は、テロに対する断固たる態度をとると表明しているが、リアリズムに基づいて、議論に参加するつもりはなさそうだ。 と言うより、そもそも、意見を表明しない。 2002年4月10日の「国家政策委員会」の党首討論でのやり取りは、忘れられない。 当時の小沢一郎自由党党首が、「イスラエルはテロ行為だと言い、アメリカもテロだと言う。日本のマスコミの多くも自爆テロという言葉を使っておりますけれども、総理にお聞きしたいんですけれども、このようなパレスチナ人の行動を総理はやはりテロ行為だというふうに認識なさるのか、あるいはパレスチナ人の自治を要求する民族の抵抗運動であるというふうに考えるのか」と質問したのだが、首相はまともに答えなかった。 さらなるテロ蔓延化を防ぐために、日本政府は、これから、どのように対処するつもりなのだろうか。 --- 参照 --- (1) http://www.nytimes.com/2004/11/17/international/middleeast/17iran.html?oref=login (2) http://www.iran-e-azad.org/ (3) http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/3681290.stm (4) http://www.lemonde.fr/web/recherche_resumedoc/1,13-0,37-850554,0.html?message=redirection_article (有料) (5) http://english.aljazeera.net/NR/exeres/C861218D-318B-4892-9B1C-162B683F44A1.htm http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3214,36-387366,0.html 政治への発言の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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