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2005.1.31
 
 


ロサンジェルスの風潮を読む…

 Los Angeles Times はローカルな感じがするため目を通すことは少ないが、新年に当たっての“Wish List”が掲載されていると聞き、眺めてみた。(1)

 昨年の大統領選挙で、「分裂する米国」と騒がれたように、Los AngelesとかBostonという都市住民の志向は、米国全体と相当違う。なかでもLos Angeles住民の考え方は、中部/南部の住民とは相当隔たっていると思われる。
 ・・・と言うことは、頭ではわかっているが、具体的にどのように違うかははっきりとは言いにくい。

 そんな時、“Wish List”は役に立つ。

 眺めた結果をまとめてみよう。

 全体の印象からいえば、Bill Clinton政治への回帰期待感が濃厚だ。(但し、非Hillary Clinton)

 反ブッシュ政権(反Donald H. Rumsfeld国防長官+反Condoleezza Rice国務長官)とAriel Sharonのガザ撤退計画への賛同が特徴的である。最高裁判事の新任もなければ、との意向も強い。
 ネオコン勢力やイスラエル支持者から見れば、敵対的姿勢に映ると思う。

 当然ながら、貧困の克服は重要課題となる。国際的な枠組みとして、富める国の農業補助金削減による貧国支援(WTO)が必要という主張が表にでてくる。
 そして、石油大量消費型経済からの脱出、との正論が加わる。

 米国議会の状況を見る限り、正夢とは思えないものばかりだが。

 それでは、ビジネス上の課題として、何を考えているか見てみると、IT問題しか頭にないようだ。
 おそらく、
  ・Hollywood(著作権ビジネス) v.s. Silicon Valley(技術開発主導ビジネス)の状況はなんとかならんか。
  ・ウイルスはたまらん。Microsoftよ、どうにかしろ。
 といった所ではなかろうか。
 MicrosoftとWalt Disneyが提携して、ホームエンターテインメントのプラットフォームを独占するような政治的な動きも面白くないようだ。斬新な仕組みの挑戦を支援する文化がありそうだ。

 アジア・パシフィックの政治経済情勢については関心が薄いのか、相対的に問題は小さいと考えているのかわからないが、初夢に登場するような課題はないようだ。
 グローバルな流れを読み取ろうとの姿勢は欠落している。

 登場するのは、移民労働者規制、スーパーマーケットの進出規制、都市交通への国の補助、コミュニティの病院経営、教育方針と教師組合問題といったところ。
 前2つは、つまらぬ規制など止め、政治家は皆の生活を良くするように動いてくれよ、ということだろう。プラグマティズム濃厚である。
 尤も、他の問題については、底流に思想がありそうだ。
 もちろん、このほかに、地方政治問題も語られている。

 要するに、身近な生活問題と、イラク及びイスラエル/パレスチナの問題が、一番気にかかるということだ。

 さらに、米国らしさといえば、・・・
 バスケットボール(NBA) 、アメリカンフットボール(NFL)、ベースボールといったスポーツの話題と、“Seinfeld”や“Michael Jackson”といった芸能ネタだ。

 だが、内容は違っても、こうした話題は、どの地域でも同じようなものだろう。
 とはいえ、変化が乏しくなっている印象は否めまい。新しい文化が生まれなくなっているような感じを受ける。

 “Seinfeld”は日本人には馴染みが薄いが、相当前にNBCテレビで放送され、大ヒットしたsitcom(シチュエーション・コメディ)である。
 未だに、これを越える斬新な企画を生み出せないのだ。
 中部/南部が伝統的価値観を重んじているのに対し、LAは新しさを求めるといった見方をよく聞くが、夢を見る限り、そのような感じはしない。

 (日本のメディア業界は米国のヒット番組を真似るのが得意と言われ続けてきたが、“Seinfeld”型の実話ドラマ番組の話は聞いたことが無い。そもそも作家とプロデューサーの関係が違うのかもしれないが、日常生活を笑うような文化的素地が欠けているのかも知れず、気にはなる。)

 --- 参照 ---
(1) 「Wishful Thinking」Los Angeles Times, 2005年1月1日 B.16


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