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2005.3.10
 
 


日本の国際テロ対策の課題とは…

 小泉首相がAPEC首脳会議でテロ対処能力向上支援の発表を行ったのが、2002年11月のことである。(1)

 首相みずから、東南アジア地区における会議で、テロ対策が重要と語ったのだから、その後、着々と手を打っていると思っていたら、そうではないようだ。

 ・・・と強く感じたのは、2005年2月5日、サウジアラビア主催テロ対策国際会議で、国際テロ対策担当大使が行ったスピーチを読んだからである。(2)

 “the threat posed by international terrorism remains serious in various parts of the world.”という「脅威」を吐露しただけの、通り一遍の発表に映る。

 要するに、日本国内では対策チームが各部署の専門家を集めて活動しているし、海外ではテロ撲滅のイニシアチブをとって頂いている国に協力しますよ、との意志表明をすれば十分なのだろう。

 こんな発表を見ると、政府のテロ対策とは、テロ対策不可欠とのムードを利用して、都合のよい施策を実現することではないかと思ってしまう。

 もしかすると、北朝鮮問題や、中国政府とのコンフリクトでも、同じような観点で動いているのかもしれない、という気にもなる。

 ポリーシー無き、場当たり的な対応ほど危険きわまりないものはない。下手をすれば、無駄で際限なき軍備コスト負担や、本来なら被らなくても済むリスクを背負い込まされかねないからだ。

 そのような道を歩んでいなければよいのだが。

 常識で考えれば、日本が直面している国際テロのリスクは自明だと思う。

 言うまでも無く、マラッカ海峡における脅威である。

 従って、日本の国際テロ対策とは、先ずは、このリスクにどう対応するか、方針を明確に打ち出すことだと思うのだが。

 そもそも、マラッカ海峡で、無防備のタンカーへの攻撃が発生してこなかったのは、米軍の存在もあるが、それよりは、現段階では、テロリスト側にメリットが薄かったからだと思う。
 しかし、テロリストが今後もこの方針を続ける保証はないのである。

 ここでテロでタンカー沈没が引き起こされたら大事である。中国、韓国、日本を含めた、東アジアの経済が一気に動揺するからである。

 しかも、米国の軍事戦略が「防御」ではなく、「先制」に変わってきたから、厄介である。
 換言すれば、米軍はできる限り身軽になり、地域ごとに、各国の軍事部隊が治めることになる。米軍による、マラッカ海峡の定常的な防衛の仕組みはなくなるかもしれないのである。
 そうなれば、誰がこの地域の安全を保証するのか。

 ここで、国際的テロ対策体制を作ることこそ、日本にとっての最重要課題ではないのだろうか。
 国際テロ問題で、そんな話が全くでてこないのは、どうしてなのだろう。

 --- 参照 ---
(1) http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/apec/2002/shuno_ja.html
(2) http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/terro/


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