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2005.8.29
 
 


中露合同軍事演習のニュースに接して…

 2005年8月、中国とロシアが大規模な合同軍事演習を開始した。18日に行われたウラジオストックのイベントでは両国の制服組トップのLiang Guanglie(梁光烈)とYury Baluyevskyが並んだ。(1)

 中国は「脅威に対応するものではない」とくり返し表明しているようが、納得できる論理などなにもない。
 しかし、米中対話は頻繁に行われているし、中露軍事同盟に進む可能性もないだろうから、大騒ぎすべきではないとは思う。
 中国が、ロシアから兵器と戦争技術を輸入するためのイベントとみることもできるからだ。

 とはいえ、中国とロシアが、東アジアの安全保障に関して、明確に意思を表明したのである。

 この地域を米国のコントロール下におかないということだ。しかし、自ら覇権は狙らわないと何度も語っている。
 このことは、米国にこの地域から手を抜かれるのもこまるということだろう。
 米・中・露・印・日で安全保障の枠組みをつくろうの暗黙の呼びかけと理解すべきではないだろうか。

 そのような提案を表立ってしないのは、いまのところ、米国がそうした動きを嫌い続けているからである。

 しかし、そろそろ方針転換が必要になってきた気がする。パラダイムが変わるかもしれない。

 一寸考えてみよう。

 20世紀は欧米の戦争技術の時代だった。
 軍事技術に長けた国が覇権を握れる。そして、その覇権国に富が蓄積するのである。

 自明といえそうな話だが、そうともいえなくなってきた。21世紀は、このルールは通用しないかも知れない。

 と言うのは、ここのところの米国の状況を見ると、国富が失われ始めているように見えるからだ。すでに、借金大国であり、圧倒的な経済力を誇れる状態でもない。

 米国がこのまま黙っているとは思えない。今までも、中国との国交樹立や変動相場制移行といった大胆な方針変更を行ってきた国である。
 いつ抜本的な方針転換があってもおかしくない。

 もしかすると、米国は地域安全保障に深入りしなくなるかもしれない。

 そんな場合を考慮しながら、軍事問題を議論した方がよいと思う。

 その観点で気になるのが、中国本土のミサイル脅威論だ。

 というのは、自衛隊のミサイル防衛は、中国本土まで含めるとの話が流れているからだ。真相はどうあれ、広大な中国本土でのミサイル発射を、たった1〜2個のレーダーで検知できる筈がなかろう。ところが、そんな話が流れるのは、中国脅威論を持ち出したい人がいることを示している。

 軽率な発言だけは止めて欲しいものだ。

 米国の軍需産業にとって一番の顧客はアジアであり、その市場をさらに拡大しようとの動きがでるのは当然である。この動きのお先棒をかついだところで何のメリットもないと思うのだが。

 --- 参照 ---
(1) http://www.moscowtimes.ru/stories/2005/08/19/012.html
  http://www.moscowtimes.ru/stories/2005/08/18/017.html


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