↑ トップ頁へ

2005.10.12
 
 


韓国の病巣…

 Phishingサイトの開設数は、米、中、韓の順だそうである。(1)

 この話を聞いて、韓国の状況が気になってきた。ほとんど野放し状態なのだろうか。

 海外サイトで“Hurricane Katrina 被害者救済”募金活動が横行しているとのニュースも流れている。どこまで詐欺がはびこっているのかわからないが、もしも韓国内で、こんな詐欺まで始めているとしたら、社会的病巣を抱えていると見てよいだろう。

 もともと、韓国での詐欺犯罪の多さは有名である。

 一般に、先進国では犯罪件数第一位は窃盗だ。発展途上国になると、窃盗も多いが、殺人や暴行の件数が並ぶようになるというのが基本パターンだ。但し、統計の取り方は国毎に大きく違うし、日本のように詐欺まがいの商法がまかり通っている国もあるから、単純比較をするのは危険ではある。
 とはいえ、韓国だけはこのパターンから大きく外れているのは間違いあるまい。

 と言っても、日本人旅行者の詐欺被害が特段目立つ状況にはない。(2)

 このことは、原因は、文化的な問題ではなく、政府が、商取引の信頼性確保の仕組み作りを放棄し続けているためと思われる。おそらく、手をつけにくい分野なのである。
 (但し、代引き制度を嫌うらしいから、商文化の違いはありそうだが。)

 そこで一寸考えてみたが、思い当たるのは、大量の失業者を発生させた、厳しい「構造改革」の後遺症である。この体験を今もって引き摺っているような感じがする。

 当時は、政府が国民を救済するどころではなかった。突然の激動で、個人個人が勝手に生き延びる方策を模索した。当然ながら、商取引の信頼関係を保つ余裕など消え失せてしまった。それが、未だに続いているのではないか。
 古傷に触る施策は難しいのである。

 ・・・と考えてくると、この視点は思っている以上に重要な感じがしてきた。
 韓国の政治背景が見えてくるような気がする。

 韓国というと、Samsung ElectronicsやHYUNDAI MOTORが目に付くから、グローバル化の支持者と勘違いしてしまう。実態はその逆で、反グローバル主義と見てもよいと思う。

 実際、韓国はFTAに関して、最後進国と言われてきた。日本の真似をしているのかもしれない。
 とはいえ、最近は、FTA交渉の報道を目にすることが増えたが、それは、このままだと市場を失ってしまうから、検討を余儀なくされているだけのことだ。
 FTAを締結したASEANに中国市場を奪われ続けているにもかかわらず、未だに動けないのが現実である。

 言うまでもなく韓国と日本とは状況が全く違う。国内市場が十分大きい日本ならなんとかなるかもしれないが、韓国国内市場は小さすぎる。国際競争力ある分野も限られており、しかも日本の産業に大きく依存している。とても、独力展開できる状況にはない。
 従って、本来なら、FTAを進めて経済成長を図るしかない。ところが、傷みを伴うFTAには及び腰なのである。
 このままならジリ貧だろう。

 わかっていても、こうした姿勢をとり続けているのは、「構造改革」の後遺症が蔭を落としているからだと思う。
 二度と御免だ、と考えるのも無理からぬものがあろう。

 IMFによってもたらされた、厳しい「構造改革」への反感が根強いから、門戸開放が嫌われるのだ。
 その底流にあるのは、ナショナリスティックな感情と言ってよいかもしれない。IMFに押し付けられ、海外巨大資本に国を売り渡したとの思いがありそうだ。
 外部から見れば、大胆な「構造改革」のお陰で、資本を呼び寄せることができるようになったし、技術も導入でき、この流れに乗った国策企業が成功したということになるが、そう考えたくない人が多いようである。

 現政権は、この感情に訴えて力を維持していると思われる。
 従って、この感情に逆らう施策はタブーなのである。

 例えば、北朝鮮問題。
 なにはともあれ友好維持の方針である。
 世界全体の大きな流れとしては、民主化方向に向かっているにもかかわらず、圧制を敷く軍事独裁政権を支持し続けている。もちろん、政権崩壊の大混乱を避ける方針は理解できるが、どう見ても、そのレベルを越えている。
 こんな方針を打ち出すのは、海外の巨大資本が進みたい方向に舵をとっていると見られると、政権基盤が崩れるからではないか。
 要するに、偏狭なナショナリズムを煽って、存立基盤を形成している政権なのだと思う。

 危険な政権だと思う。
 再度、経済不調に陥るとどうなるかわからないからだ。

 富裕層は海外逃避を図ると思われる。おそらく、若者もチャンスを求めて国外への脱出を始めるだろう。
 東アジアにとって、悪夢である。

 北朝鮮の前に、韓国が揺らぎかねないからだ。

 --- 参照 ---
(1) http://antiphishing.org/APWG_Phishing_Activity_Report_Jul_05.pdf
(2) http://money.cnn.com/2005/09/09/pf/saving/willis_tips/index.htm?cnn=yes
(3) http://www.anzen.mofa.go.jp/info/info4_S.asp?id=003


 政治への発言の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2005 RandDManagement.com