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2006.2.8
 
 


地方不振を呼び込む政策…

 2005年12月、自民党中心市街地再活性化調査会が 「まちづくり3法」(大店立地法・中心市街地活性化法・改正都市計画法)を見直すことを決めた。(1)

 市街地商店街が衰退一途なので、なんとかしてくれ、という声(2)に応えて、郊外の大規模店舗を規制し、1兆円の予算を中心市街地に流せ、との動きのようだ。
 要するに、カンフル剤である。

 そもそも、地域住民と共に、どのような地域にするか決めることもなく、市街地商店街振興を図ったのだから、奏功する筈がなかろう。
 いくら法律を作ったところで、魅力なき地域に、投資しようと考える人はいまい。

 住民から嫌われている中心街も多いのである。

 現実を直視すべきだろう。

 交通不便。売っている商品が違う訳でもないのに、割高。ちっとも面白くない陳列。
 お洒落な店もあるのだが、単なる新い個店にすぎない。商店街としての一体性はゼロ。街には、季節感もなければ、地域としての独自性も無い。なんの演出もないから、歩いても楽しくないのだ。
 ・・・こんなところではないのか。

 この状態なのに、無理矢理に人を街にこさせたところで、一過性でしかない。人が来るが、賑わいは無い商店街になるだけの話ではなかろうか。

 おそらく、この法律改正で、地方の中心街衰退は決定的なものになろう。郊外に大規模小売店が無い地域は、ますます魅力を失うだけのことかもしれない。

 そもそも、魅力がなくなっている中心部の商店街に、外部資本で梃入れして復興を図るなど無理筋もいいところだ。
 そんなことをする位なら、本気で考えてくれそうな学生さんに、街つくりの斬新なアイデアを打ち出してもらった方が余程効果的だと思う。

 常識で考えれば、さびれかけている商店街に参入するのは、市場規模を勘案して、それなりの収益性確保ができると踏んだ事業者である。挑戦の気概がある経営者は、伸びそうな市場でチャンスを狙う筈だ。要するに、入ってくるのは、低コストオペレーションの業者だけではないのか。
 それは、全国一律のスケールメリットと、単純労働を上手く使うノウハウで、伸張している企業である。
 全国どこでも見かけるチェーン店が並ぶだけの話である。おそらく、チェーン店は、旧態依然たる街の同業者からお客さんを奪うことになろう。言うまでもないが、チェーン店が商店街活動に興味を持つ筈がない。店長とは個店の成績にコミットメントしているプロフェッショナルだからである。
 市街地としての魅力は、上がるどころか、下がり続ける。

 いくら補助金を投入したところで、この状況が変わるとは思えない。

 従って、この法律改正で、地方都市の中心街の衰退は決定的なものになろう。

 どうしてこうなったのか。

 その理由ははっきりしている。

 自民党のレポートでも、「基本理念の創設、責任体制の明確化」が重要である記載されている。
 その通りだ。
 地域としての、基本理念が無いのである。

 しかし、レポートに書いてあるから、基本理念を作るのかと思うと大間違い。「都道府県、市町村・・・の責務」が問題なのだそうだ。
 市街地の発展に関しては、先ずは、都道府県が責任を問われるらしい。

 ここには、都道府県内で、市街地同士が互いに競争する図はでてこない。都道府県は、すべての市街地を同じように発展させる責務があると考えているようだ。
 普通なら、衰退する地域もあれば、成長する地域もでてくる。その競争のダイナミズムを作れるかが、国や都道府県の責務である。

 おそらく、そんな発想は、こまるのだろう。

 これでは、総体としての衰退は決まったようなものである。

 そもそも、都道府県単位で市街地の戦略など練れる訳があるまい。全く状況が違う市街地を同一施策で対応できるとでも思っているのだろうか。
 そんなことは無理であるのは、ビジネスマンなら、常識だと思う。
 先ずは、戦略ユニットを決め、その単位で戦略を練らない限り、動きようがないのである。1970年代の方法論である。

 そして、言うまでもないことだが、本気で地域を変えようと考える人が出てこない限り、変革などできる訳があるまい。
 と言うより、変革を避けたいのかもしれない。

 このままなら、生産性低下の道を一気に進むことになりかねないと思うのだが。

 --- 参照 ---
(1) http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2005/pdf/seisaku-020.pdf
(2) http://www.jcci.or.jp/nissyo/iken/20041005daiten.htm


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