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2006.12.14
 
 


BLAIR提案に期待するのだが+リンク集[中東]

 ちょうど一ヶ月前の2006年11月13日、the Lord Mayor's banquet at Guildhall, Londonで、BLAIR首相が中東の“現実的”な枠組みを提起した。(1)
 一言でいえば、中東は武力ではどうにもならないことがはっきりしたから、敵視していた勢力をパートナーとして認めようというだけのこと。その昔、植民地政策からの転換を余儀なくされた時と同じように、第二次世界大戦後の独立国家群の地域安定化策から脱皮せざるを得ないということだ。
 (イラクのみならず、アフガニスタンも、撤退必至。これ以外の道は無いということだろう。)

 従って、新提案といっても、その骨子は極めてシンプル。(2)
   1 The establishment of a federal Iraq, with an agreed formula for sharing out oil revenues
   2 The Israeli-Palestinian conflict to be ended by establishing a fully independent Palestinian state
   3 A withdrawal of all western forces from the Middle East over a five-year period
   4 Negotiation of a nuclear free zone in the Middle East
   5 Economic pacification
[中東全域の非核化を前提に, 欧米は軍隊を撤退する. イラクは原油収入を共有する連邦国家とする. イスラエルは占領地を返還し, パレスチナの独立を承認. アラブ国家はイスラエルとの共存を確約. 国際平和維持軍が国境を監視. イスラエル, パレスチナ, ヨルダン, レバノンは共同市場化を目指す.]

 現実を直視すれば、この提案が、唯一の“解”かも知れぬ。

 今や、中東全域が大混乱に向かって進んでいる。過激派は国境を越えた活動を始めているし、対立していた宗派が反欧米統一戦線を構築しつつある。お蔭で、パレスチナの内部抗争が内乱を引き起こす可能性さえ出てきた。さらに、イランが核武装化を図り、イスラエルの侵攻を誘うことさえあり得る情勢だ。

 現時点では、BLAIR提案に米国が乗ることはなさそうだし、中東のメディア(下記「リンク集[中東]」参照)をざっと眺めてみても、残念ながら、そのような方向に進むような雰囲気は全く感じられない。

 まあ、それも当然かも知れない。様々な帝国がこの地域を通り過ぎていったのである。帰属意識は日本人とは大きく違って当然だろう。国など信用する対象ではないし、“国民のために”という感覚も大きく違うだろう。
  → IMPERIAL HISTORY OF THE MIDDLE EAST 90秒で5千年の歴史を見ることができる.

 このままなら、地域全体の戦乱へと流れていくことになりそうだ。

 --- 参照 ---
(1) Philip Webster: “Blair lays down conditions for dialogue with the 'axis of evil'” The Times [2006.11.14]
  http://www.timesonline.co.uk/article/0,,3-2452525,00.html
(2) Robert Skidelsky: “We need a new congress of Berlin” The Guardian [2006.11.18]
  http://commentisfree.guardian.co.uk/robert_skidelsky/2006/11/a_new_congress_of_berlin.html


リンク集[中東]

残念ながら、アラビア語が全くわからないので、掲載写真で感じをつかむ位しかできないのがさみしい。
しかし、それでも、特派員の「中東発」記事より、現地の感覚がつかみ易い。

〜アラビア語圏  [I]〜
【カタール】
 AlJAZEERA >>>英語 [TV]
【UAE】
 Gulf News >>>英語
 Khaleej Times >>>英語
 Al Arabiya >>> [TV]
 Al Ittihad Newspaper >>>
【オマーン】
 OmanTribune >>>英語
 Oman Daily Obserber >>>英語
【バーレーン】
 Bahrain Tribune >>>英語
 Al-Ayam >>>

〜アラビア語圏  [II]〜
【レバノン】・・・報道の質は高いと言われる
[Arab world] Dar Al-Hayat >>>英文
 The Daily Star >>>英語
 L'Orient Le Jour >>>仏語
 An-Nahar >>>
 Al Anwar >>>
 As-Safir >>>
【アルジェリア】
 La Tribune >>>仏語
 El-Khabar >>>英仏併設

〜アラビア語圏  [III]〜
【ヨルダン】
 The Jordan Times(Al-Rai) >>>英語
 Assabeel >>>
【シリア】
 SyrianArab News Agency >>>英語
【エジプト】
 The Middle East Times >>>英文
 Al-Aha ram Weekly >>>

〜アラビア語圏  [VI]〜
【イラク】
[新興] Al-Sabah al-Jadid>>>一部英文あり
【クエート】
 Al-Qabas >>>
 Al Watan >>>
【サウジアラビア】
[Arab world] Asharq Al-Awsat >>>
【イエメン】
 Al-Ayyam >>>

〜アラビア語圏 [パレスチナ]〜
 Jerusalem Media & Communication Centre >>>英文

〜ペルシア語圏〜
【イラン】
 Ettelaat International >>>英文
 Hamshahri >>>

〜トルコ語圏〜
【トルコ】
 Turkish Daily News >>>英文
 Hurriyet >>>
 Milliyet >>>

〜欧州メディア〜
 BBC NEWS Middle East >>>英文

(参照) Project MEIS @ TUFS 「アラブ世界とアラビア語のインターネット新聞」
    http://www.tufs.ac.jp/common/prmeis/me-info/arab-newspapers.html


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