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2007.1.18
 
 


米中蜜月時代突入か+リンク集[中国]

 素人が数字を見る限り、ドルへの信認が揺らぎかねない状況に来ているように映るが、そんな兆しは見えない。米国経済も、不安定要素を沢山抱えているにもかかわらず、成長路線から外れることがない。米国は、軍事・外交・金融の力を駆使して、上手く舵取りしているということだろうか。
 もっとも、とんでもない赤字を抱えているとはいえ、米国の方が、日本よりは傷が浅いから、当然かも知れない。

 ・・・などと、正月休みに、つい考えてしまった。

 考え始めたきっかけは、2006年12月19日のタイ証券市場での暴落。その前日、新興市場に殺到する資本を抑えようと、タイ中央銀行が外貨取引規制を発表したからとされる。ホットマネーの流入によるバーツ価の急伸で、国内経済が揺さぶられるから、外資抑制を図っただけに過ぎないが、これがかえって混乱を招いてしまった。
 クーデターで追われた、いかにも企業家然としたThaksin 前首相のように、“お金”の性格を理解している政治家がいなくなったことも、混乱に拍車をかけた可能性もあるが。
 1997年のバーツ暴落(アジア通貨危機)を彷彿させるが、タイは、今や、潤沢な外貨保有国だから、性格が全く違う。株価暴落の本質は、国際金融産業からの反撥ということだろう。市場に了解なく動けば制裁を受けるということ。タイ政府への、“警告”とも言えよう。

 この動きを見ていて、タイと“大国”中国の違いがはっきりと見てとれる。同じ新興市場にもかかわらず、運営の巧拙が余りにも対照的である。
 中国は、アジア通貨危機や銀行の不良債権問題に際して、国際金融市場の安定化を優先してきた。株式上場も積極的に推進して、国際金融業界の要求に応えてきた。米国投資銀行のアドバイスを受け、国際金融市場の秩序を守りながら、国内経済の混乱を避け続ける姿勢を見せてきたと言える。
 バブル崩壊を避け、世界経済の牽引車となり、米国に劣らず、上手に経済を運営して来た。

 しかし、2007年も、米中ともに、今まで通り、難局を切り抜け、経済成長を遂げることができるだろうか。

 その観点では、Clinton 政権の財務長官Summers の、グローバルリスクについての悲観と楽観を対比したコラム記事は面白かった。(1)

 “While the commentariat has been more alarmed about the state of the world than global markets for some years, the gap increased in 2006 as markets became more serene and everyone else grew more anxious.”
 アフガニスタン・イラクの戦争、北朝鮮・イランの核問題が重くのしかかり、lame-duck 化した政権が乗り切れるかとの主張も多い。これは大変というのが、マスコミ型論調。

 これと正反対なのが、市場関係者の楽観視。
 “Financial markets are pricing in an expectation of tranquillity as far as the eye can see.
   ・Stock prices in the U.S. are at all-time highs.
   ・The risk premiums that corporations or developing countries have to pay to borrow money
      are at or near historic lows.
   ・Estimates of the volatility of the stock, bond and foreign exchange markets
      inferred from the prices of options are near record lows.”

 危機はそれこそ、3年ごとに発生しているが、市場には、そんな感覚は無いのである。
 (1990年の銀行危機、メキシコデフォルト、アジア金融危機、LTCM破綻、Nasdaq 株価暴落、9.11、・・・?)

 Greenspan が発したバブル警告に耳を傾けた投資家は大損したのは事実だが、これほどの楽観視でよいのか、Summers でなくとも、大いに気になるところだ。

 そんなことを考えていると、米中関係が今後も協調的に進むのかが、最大の波乱要因と言えそうだ。
 両国関係にひびが入った瞬間、すべての仕組みが瓦解へと動き始めるかも知れないからだ。杞憂で終わって欲しいが、なんとも言えない。

 中国は、もともと、中華思想の国。軍事力増強による大国化は国是のようなもの。そこに、「造反有理」「愛国無罪」がまかり通る風土。一旦、火がつけば、犠牲を払っても、“理”で突っ走る可能性は捨てきれない。
 そんな方向に進ませないためには、どうすべきかが問われているのだと思う。

 ポイントは、ケ小平[Deng XiaoPing]路線から外れる動きが発生しないよう、注意を払うことだろう。常に相互繁栄を念頭におき、中国の経済発展にマイナスになりそうな動きを慎むしかないということ。
   1986年、党中央軍事委員会主席時代にMike Wallace のインタビューに答えた一言を想起するとよい。(2)
   “We went through the Cultural Revolution. During the Cultural Revolution
    there was a view that poor communism was preferable to rich capitalism.”
   “After I resumed office in the central leadership in 1974 and 1975, I criticized that view.
    Because I did so, I was brought down again. Of course, there were other reasons too.”
   “I said to them that there was no such thing as poor communism.”

 2006年は、この観点で考えると、米中が足並みを揃えた結節点に当たるのではないだろうか。米中蜜月時代の幕開けかも知れない。

 12月13日、北京で、George H.W. Bush 元大統領と胡錦濤[Hu Jintao]主席の会談が行なわれたが、その後のインタビュー放送(3)を聴くと、そんな感覚に陥る。

 簡単に言えば、米国と中国は、進む方向が揃っているという主張である。
 おそらく、中国は、以下の方針で進むと確約したのだろう。
  ・世界市場とつながり、持続的な経済成長を目指す。
  ・独自の帝国を目指さず、グローバル市場のルールを遵守する。
  ・相互依存関係を重視し、世界の安定のための行動に積極的に関与する。

 換言すれば、米国覇権の時代を終え、米中の協力による新しい国際秩序の時代に突入するとの合意がついたということだろう。

 そんな時代に入って、日本政府が上手く舵取りできるかは、全くの未知数である。

 中国共産党による独裁の根拠は、今や、日本支配からの解放を成しとげた点しかない。にもかかわらず、日本政府は、ここに触れる動きをあえて行なってきた。中国側から見れば、政権の存在意義を否定する動きになる。従って、中国でどんな動きが発生しても驚くにあたらない。
 一方、日本の政権は、ナショナリズムが強い保守層が支持基盤だ。そのため、ナショナリズムの鼓舞を政権維持の原動力とせざるを得ない。中国との摩擦は避けられないということ。代替勢力は事実上存在していないから、この状況は続くのかも知れぬ。

 そうなると、日本は、それこそ“厄介者”扱いされかねまい。
 欧州のオピニオンリーダー(と言っても、Financial Timesのこと)は、そんな予感がするのか、日米両国に対してしきりに警告を発している。米国は、大国化する中国を牽制するために日本を使うな、と。そして、日本には、米国を後立てにした中国との対立路線を避けよ、との主張だ。確かに、その通りかも知れぬ。

 --- 参照 ---
(1) Lawrence H. Summers: “The future's so bright?” Los Angeles Times [2006.12.26]
  “The markets are pricing in tranquillity as far as the eye can see. The commentariat begs to differ.”
  http://www.latimes.com/news/opinion/la-oe-summers26dec26,0,5738532.story?coll=la-opinion-rightrail
  参考→Martin Wolf's comment at FT Economists' forum [2007.1.2]
  http://blogs.ft.com/wolfforum/2006/12/a_lack_of_fear_.html
(2) Henry C K Liu: “Paulson, China and the turmoil beneath” Asia Times [2006.12.14]
  http://www.atimes.com/atimes/China_Business/HL14Cb05.html
(3) Daniel Schearf: “Former President Says US-China Relations Key to Peace, Prosperity”
  Voice of Americaラジオ放送録音 [2006.12.14]
  http://www.voanews.com/english/2006-12-14-voa16.cfm


リンク集[中国]

一つの国であるとは信じ難い多様性と格差。それが中国。
メディア規制は厳しいが、そこは百家争鳴の国だから、それなりにわかることもあるだろう。
・・・などと考えたのが甘かった。
一寸調べると、それなりにわかってくるという世界ではない。
そもそも、中文をすらすら読めないと、さっぱりわからぬ。しかも、変化が激しい。
以下のリストはドラフトレベルにも達していないが、無いよりはましというところ。

【中央】
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 [国務院] 中國網 >>>  チャイナネット(中国網) [日本語]>>>
 [ 軍  ] 解放軍報>>>
 [通信社] 新華社通訊社>>>  新華社 [日本語]>>>
 [国務院系分野別]
   中国信息報>>>
   中國經濟信息報 >>>
   中國經濟時報>>>
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   中国交通報>>>
   中国旅遊報>>>
   中国教育報>>>
   中国体育報>>>
   中国青年報>>>
   中国婦女報(中華女性報)>>>
   中国環境報>>>
   法制日報>>>
   中國検察日報(正義網) >>>
 [科学技術] 科技日報>>>

【英字紙】
   China Daily(中國日報) [英語]>>>
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【ビジネス】
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【IT系】
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(参照)
 Kidon Media-Link [18,273の世界各国リンク集]・・・解説は無い.
 http://www.kidon.com/media-link/index.php?lng=ja


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