↑ トップ頁へ |
2007.6.20 |
|
|
国連は温暖化問題で成果をあげられるだろうかHeiligendamm G8(1)は意味の薄い会合で終わった感じがした。世界経済が好調だから、そんなものかもしれぬが。もともとは世界経済の会合だった筈だが、WTOの妥結に結びつきそうな話までいかなかったようである。 貧困問題でアフリカ支援金を確約した位のもので、たいした効果があるとは思えない。 ただ、特許については“streamlining and harmonizing”の重要性を認識したというのだから、(2)WIPOの方針に従って、仕組みの共通化へ邁進する動きが本格化しそうだ。知財で国力が決まる世界にしたいとの明確なスローガンは無いが、その方向に進み易くなりつつある。 結構なことだ。 もっとも、経済より政治問題が主軸になってしまった。と言っても、イランと北朝鮮の核開発中止要求も確認のために取り上げた感じがする。 あくまでも、メインの議題は、地球温暖化対策。 結局のところ、この問題が重要だという認識を確認し、国連の活動に下駄を預けたということのようだ。 国連は、一応、G8ステートメントを歓迎。(3)ともかく意思一致できたからよかったということのようだ。 事務総長がドイツにまで足を伸ばし、日本や欧州の尽力もあって、どうやらまとまったということだろう。(4) 事務総長は温暖化に相当な危機感を持っているようだが、Bush政権と、インドや中国は経済繁栄優先だから、波長が合うだろうか。 “A G-8 agreement that is not global in scope can not hope to offer solutions to a global problem. It is time for new thinking, and a new inclusiveness. We can no longer go about our business as usual.”(5) この先、どこまで温暖化防止策が進むかは、事務総長の力にかかっていると言えそうだ。 黄砂が韓国に到来する話をしている人だから、上手くいくかもしれない。国境を越えて、ただならぬモノが押し寄せてくることをつくことこそ、国連らしくてよい。 日本もここをツクとよいのだ。マクロでの温暖化をいくら語ったところで、馬の耳に念仏なら、国際環境問題を持ち出せばよいのである。 言うまでもないが、2007年5月8/9日の事件である。海を越えて汚染ガスが流れてきたお蔭で、九州北部地区一帯で光化学スモッグが発生したのである。 こうした問題を解決するのに適した組織は国連しかない。そして、遠い将来の話ではなく、近未来に発生しそうなことを語る。ここが肝心である。 砂漠化や異常気象発生が、国際紛争の新たな火種になることを訴えるべきだ。 これは言葉の遊びではない。現実そのもの。 おそらく、最初は農業不振による民族大移動がおきる。これは、政情不安な地帯が増えることを意味する。そして、間違いなく、農業用水で国際紛争が始まる。 発展途上国は紛争だらけになり、世界は不安定化することになる。 さらに、飲料水欠乏になれば、疾病の大発生は避けられまい。国境閉鎖などできないから、先進国も巻き込まれることになる。 米国は民族国家ではないから、こうした混乱が発生して、知らん顔もできまい。その結果、地域紛争に巻き込まれていく。こんなシナリオに説得性があれば、事態は変わる筈である。 地球温暖化が、安全保障問題なら、米国は消極姿勢はとれまい。 そんな方向に議論をしむけ、米国のBush支持層に語りかければ、国連事務総長がリーダーシップを発揮できるかも知れない。 --- 参照 --- (1) http://www.g-8.de/Webs/G8/DE/Homepage/home.html (2) http://www.g-8.de/nsc_true/Content/EN/Artikel/__g8-summit/anlagen/ 2007-06-07-gipfeldokument-wirtschaft-eng,templateId=raw,property=publicationFile.pdf (3) “U.N. CLIMATE CHANGE CONVENTION WELCOMES G-8 STATEMENT”[2007.6.8] http://www.un.org/News/ossg/hilites/hilites_arch_view.asp?HighID=857 (4) “G8 SUMMIT UN's Ban Ki Moon says political will on climate change still lacking” Frobes [2007.6.8] http://www.forbes.com/markets/feeds/afx/2007/06/08/afx3801786.html (5) Ban Ki Moon(潘基文): “Hear the first victims of climate change” International Herald Tribune [2007.6.4] http://www.iht.com/articles/2007/06/04/opinion/edban.php (6) http://www.nies.go.jp/whatsnew/2007/20070521/20070521.html 政治への発言の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
|
(C) 1999-2007 RandDManagement.com |