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2007.10.5 |
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ミャンマー関連の記事を読んで想うことミャンマーに対するここ1ヶ月くらいの動きをじっくり眺め、今後どうなりそうか考えることをお勧めしたい。国連は人権問題として取り上げるが、ほとんどの国は独裁国で五十歩百歩だから、こちらの動きはどうでもよい。見るべきは、大国の動き。 まずは、日本政府。 「Myanmar」とは、軍事政権が決めた国名だが、欧米とは違い、いち早くこの政権を承認し、ミャンマー表記換えを進めた国として欧米では有名らしい。 2007年5月の麻生-ニャン・ウィン外相会談でもその姿勢は全く変わらなかった。“民主化など条件を整え、日本との関係を利用して経済発展の条件を整えてもらいたい”(1)と述べるにとどまったからだ。 10月3日の高村外相記者会見でも、“今までも経済協力については人道案件等に絞って行って来ている訳ですが、更に絞り込むような形を考えていきたい”(2)というのだから、実効ある施策は無いと表明したと言ってよいだろう。 一方、米国は、今でも「Burma」と呼び続けていることに象徴されるように、経済制裁/visa発給停止中。 ただ、日米関係を損なわないように、できる限り、日本批判は避け続けてきたようである。10月3日の上院外交委員会のヒアリング(3)でも、特段、日本の話はでなかったようだ。 まあ、そんなことはどうでもよい。 おそらく、インド・タイ・ASEANは、日本以上に、この問題に係わりたくないだろうから、国連まる投げで済まそうとするに違いない。 そうなると、軍事独裁政権を支えてきた中国がどう動くかである。 そこで、一番知りたいのは、中国に対するBush政権の姿勢という訳である。 ヒアリングでどんな話になったのかよくわからないが、担当高官は淡々と語ったようだ。 “While we have indications that Beijing has been quietly pressing junta [Burmese military] leaders to exercise restraint, and was helpful in facilitating U.N. special envoy Gambari's visit and meetings this week in Burma, we think China can do more. We have been pressing and we will continue to press Beijing to do more.”(4) つまり、中国が、もう一歩踏み込んでなんとかしろと言っているのである。 安倍政権は日・米・印・豪による東アジアのNATO化に注力していたようだが、米国は本音ではこの構想に興味が薄いということではないか。日本政府がご執心だから、対応しただけの可能性は極めて高い。 米国は今もって、世界経済の牽引車であり、その体制に中国経済は無くてはならぬものになっている。中国との蜜月状態維持は、米国政権にとって最優先事項になっているということであろう。 従って、Bush政権が一番恐れるのは、中国共産党支配の崩壊だと想われる。今のまま中国が高成長路線を続ければ、遠からず深刻な環境問題を発生させるし、政治の自由化要求も高まる。中国大混乱の可能性は高い。これを避けることが最重要課題ということでもある。 BURMA問題は、その流れのなかでの対応になる。 つまり、中国へのまる投げ。 下手に、この辺りで民主化が始まって、その流れが中国国内に跳ね返ったりしたら一大事ということ。 このことは、中国の友邦たる、周辺の独裁国ばかり集めた上海協力機構は、米国にとっては歓迎すべき組織であって、対抗相手ではないのではなかろうか。 はっきり言えば、米国は、中国に対して、民主化要求を取り下げたということである。 その代わり、中国は責任をもって、周辺国の政情安定化を進めろというのだろう。 よく知られるように、すでに、 Microsoft/Google/Yahooは中国政府の検閲を受け入れたが、新聞記事を見ていると、さらに一歩進んで、中国の政情安定化に協力するようだ。 “It's not appropriate to interfere in the private decisions of Americans to invest in legally incorporated firms.”(5)・・・これ、ホワイトハウス・スポークスマンのTony Frattoの言葉である。これだけ読めば、至極当たり前に聞こえるが、中国における言論や信仰の自由を抑圧する事業に対して投資することについての質疑での話ときけば、穏やかではなかろう。 実は、この発言、China Security and Surveillance Technology(6)のNYSE上場を通じ、さらに中国政権を支えるとの意思表明だと見ることもできるようだ。 なにせ、この企業、警察・刑務所・銀行等のセキュリティが本業とされているが、通行人監視治安システムやインターネット・カフェ利用者識別ソフトを提供するそうだ。 政府のインターネット監視プロジェクト・リーダーがこの企業のdirectorを勤めることでわかるように、営利企業だが、その実態は政府の一機関だというのである。(7) ついにここまで来たか。 そう、これ、まごうことなきAnimal Farmの世界である。 --- 参照 --- (1) http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/g_aso/asem_g8_07/j_myanmar_gai.html (2) http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/gaisho/g_0710.html#2 (3) 米上院外交委員会ヒアリング“BURMA’S SAFFRON REVOLUTION” (招請者リスト)[2007.10.3] http://foreign.senate.gov/hearings/2007/hrg071003p.html (4) Dan Robinson: “US Lawmakers Reiterate Support for Burma Democracy Movement” VOA [2007.10.4] http://www.voanews.com/english/2007-10-04-voa1.cfm (5) Harold Meyerson: “China's Hot Stock: Orwell Inc.”Washington Post [2007.9.19] http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/09/18/AR2007091801571.html (6) http://www.csstf.com/main.asp (7) KEITH BRADSHER: “An Opportunity for Wall Street In China's Surveillance Boom”NewYorkTimes [2007.9.11] http://www.nytimes.com/2007/09/11/business/worldbusiness/11security.html (国旗のイラスト) (C) National flag & Road sign Mt. http://nflagrsign.xrea.jp/ 政治への発言の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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