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2008.8.10 |
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韓国経済長期低迷化か…北京オリンピックを利用する政治が目立つ。グルジアはこの機を逃さず、戦乱に持ち込んだようだし。なかでも特徴的だったのが、2000年シドニー、2004年アテネ、2006年トリノと恒例化すると思われていた朝鮮半島の南北合同行進ができなかったこと。(1)(2002年ソルトレークには、北は選手を送らなかった。) 世界中に朝鮮半島でリスクが高まったことを宣伝したようなもの。 そんなこともあるのか、Won安が続いている。と言うより、その方向に振って、その副作用の大きさに慌てているようにも映るが。 2004年当初は1,196Wonだったが、その後、Won高が続いてきた。これでは、韓国経済をささえる輸出セクターが苦しいとされ、それこそ切り下げでもしたいところだった筈。 ところが、いざWon安になれば、そうはいかなくなった。
と言って、政府の懐具合から見て、底辺層への直接的支援は限界があり、焼け石に水だろう。Won安を政府が怖れ始めたのはよくわかる。 対外的に公言までして為替介入をし、1カ月で100億ドル使ったようだが、流れはほとんど変わらなかった。もはやスタグフレーション状態突入との見方もあり、焦れば焦るほど逆効果のようだ。 そのため、大丈夫かという声が上がったりする。韓国政府(姜万洙企画財政部長官:2月末就任)は、外貨準備高は2,100億あれば問題ないというが、流動外債が増えているので気になる訳だ。2008年3月末で同規模に達しており、借り換えができなければ窮することになるからだ。(4)どんな内容か開示されていないから、この国が信用できるか、できないかで、情勢判断がブレる。 ただ、この不安感を増幅させているのが、2008年の経常収支状況。赤字転落しかねないのである。Won高の流れに対応してきたので、Won安になれば、商品輸出は好調だが、輸入価格が上昇して黒字幅が抑えられた上、旅行収支など、他の赤字が大きいためだが、思ったより早く到来してしまったというのが実情だろう。 ハイテク設備やキー部品は今後も輸入に頼る以外にない状態だし、エネルギー・食糧輸入を減らすこともできまい。旅行や留学等の出費もそう大きく減ることもあるまい。エネルギー・食糧価格の高騰が続くなら、経常赤字体質に転落するということ。 さらに、中国が競争力をつけており、生産キャパシティも余裕がでてくるから、輸出が減り、赤字は膨れあがっていくだろう。つまり、黒字体質転換は難しそうということ。 しかも、冒頭に述べたように、社会的にも不安定化が進む。 それに、米韓FTAの見直し発言まで出た上、わざわざ、北と隣国との対立を煽ったのだから、政治も機能不全と見なされておかしくない。 こうなると、韓国経済は、再び、一からの出直しを迫られるかもしれない。 もっとも、こうなったのは、現政権の失政もあるが、盧武鉉政権がもたらしたものと見た方がよいだろう。大国になったつもりで、民族主義の発露を鼓舞し、せっかくあった経済発展のチャンスをことごとく潰してしまったからだ。 ・北との融和の名のもとに、大国並の巨大援助を敢行。 ・投資や旅行収入減少覚悟で、日本との政治対立状況を固定化。 ・米国の軍事力削減政策のお先棒を担ぎ、実質軍事負担を拡大。 ・製造機器・キー部品輸入体質を促進させ、輸出産業の付加価値率低下。 ・労働組合の要求を尊重し、企業発展による経済成長を抑制。 これでは、一人当たりGDP4万ドルを目指すなどという話どころの話ではなかろう。この国の一番の問題は、現実を見据えず、大国意識を振りまく体質にあるのではないか。北も南もここだけはかわらない。 --- 参照 --- (1) EVAN RAMSTAD & SUNGHA PARK: “Koreas to March Apart in Beijing”WallStreet Journal [2008.8.8] http://online.wsj.com/article/SB121816199894723067.html?mod=googlenews_wsj (2) http://www.bok.or.kr/contents_admin/info_admin/eng/home/press/pressre/info/080806.pdf (3) http://fx.sauder.ubc.ca/data.html (4) 「急減する韓国の外貨保有高(上) 先月だけで105億ドル、史上最大の減少幅」 朝鮮日報日本語版 [2008.8.5] http://www.chosunonline.com/article/20080805000051 (韓国銀行の写真) [Wikiedia] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Bank_of_Korea.jpg 政治への発言の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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