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2009.9.14 |
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厚労相人気がわからぬ…〜 インフルエンザ対策の質の低さには驚いた。 〜もう、2009年9月に入ったというのに、舛添要一厚生労働相が、インフルエンザワクチンを「医療従事者にするのは間違っていない」 (1)と発言したようだ。この言葉だけでは真意はわからないが、どうも委員会の統一見解待ちの姿勢に映る。 そんな態度が人気を得る秘訣なのかも知れぬが、こまったものだ。 そもそも、強毒性の鳥インフルエンザであれだけ騒がれたのだから、防御対策スキームはほぼ完成しているものとばかり思っていたが、なにも無いということ。泥縄式そのもの。 トップが判断や指示を下さないから、肝心なことは手がつけられず、現場は、細かなことばかりに注力せざるを得ないというのが実情だろう。 もし、これが企業だったら、経営者として失格。しかし、政治家は逆。 〜 政治の世界はスキルの定義など皆無かも知れぬ。 〜 未だに、厚生労働省では、こんなマネジメントが通用しているとしたら恐ろしい話。 間違ってはこまるが、これは複雑な問題ではない。専門家の意見を集め、論点を整理して、方向付けすればよいだけのこと。大企業の工場長に頼めば、とっくの昔に解決しているような類の問題だと思う。 (例えば、2007年のレポート (2)を読むだけでも、どのように論点を整理すべきか、素人でも、あらかたわかる。この作業を行っていないと思われる。箇条書き要旨でわかった気になっているのかも。問題の構造化ができないままで、議論させているに違いない。まあ、大臣の指示なくしては、こんな作業を勝手に進めることはできないから、どうにもならないのだと思われる。)
タレントでもあるから、故意に、素人のふりをしている可能性もあるが。 国内製造ではワクチン量が足りないことがわかり、輸入を模索しているというのだが、日本でワクチンビジネスを追求したい企業があるかネ。 問題解決の技術も持たず、業界もわからない人が大臣の職責をまっとうできるということのようだ。 それでは、一体、どのようなスキルで、どんな役割が期待されているのだろう。 思わず考え込んでしまう。 〜 素人大臣にワクチン論議を任せること自体、間違っているのではないか。 〜 もともと、日本には、ワクチンについては、承認基準や接種原則など、無きに等しい。 しかも、生物製剤だから、予期せぬ不純物や、アレルギー発生のリスクはゼロにはできまい。ところが、万一の場合の制度は曖昧なもの。 こんな市場で、まともな企業活動ができる訳がないと思うが。 そんな状況で、ワクチン不足なので調達しようと考えていると言い放ったらしい。 一体、どうするつもりかネ。 だいたい、古典的製造方法(4)のワクチンは、大量生産がすぐにできかねることなど自明。 調達するとなれば、組織培養/DNA型ワクチンか、鶏卵ワクチンにアレルギー反応が予想される免疫助成剤を用いたものになろう。 曖昧な承認基準しか無い状態で、新しいものをどうやって認可するつもりなのか。 できることといえば一つしかない。世間を大騒ぎさせれば、時間も無いから、どこかに自然に収まるという作戦。 実に、こまったものだ。 〜 大臣人事を人気取りの視点で考えないで欲しい。 〜 舛添大臣が、学者として、どんな仕事をしていたのかはよくわからないが、論文題名(5)を見ると、興味の中心は、パワーポリティクスのようだ。ミクロの問題整理の経験は無いのかも。 (ついでながら、日本の政治学者に関心がある方は、リンクのサイト(6)があるから、一度調べてみることをお勧めしておこう。) そんなことを考えると、鳩山由紀夫首相も、人事的には考えものかも知れぬ。選挙の前哨戦の期間が長かったから、話し方もずいぶん変わったから、意外と向いているという人もいるが、そんなものかネ。どうも、未だに、日本が大国の地位にあると勘違いしているようだし、経済は米国市場頼みであることを理解していないように映るが。 学者の卵時代の論文(7)は、マルコフモデル・シュミレーションだから、ワクチン問題解決なら適任と思うが。 オバマ政権は、その点ではなかなかのやり手だ。気付かなかったが、ルース駐日大使 (8)は1977年のスタンフォード大卒。鳩山シフト人事では。かつて、日本政府が、サマーズシフトということで、官僚批判体質と言われていた榊原英資氏を財務官に起用したことを学んだのかも。 それはともかく、必要なスキルを考えた人事を行って欲しいものだ。 【参考】新型インフルエンザの状況を眺めると、こんなところか。・・・ ・危険性は季節性インフルエンザと同等のようだ。 -鳥インフルエンザとは違い弱毒性である。 -軽微な発症ですみ、自力で回復した人が多いと見込まれる。 -ただ、ハイリスク層では重篤者が発生している。 -高齢層には若干だが免疫がありそうだ。 ・蔓延防止活動の効果は高い。 -空気感染は少なく、飛沫感染が主体なので、マスク/手洗いだけでも効果が期待できる。 -即座に学校閉鎖に踏み切れる。 ・ワクチン準備で、海外の対応策と単純比較するのは止めた方がよい。 -キス・握手・頬擦りといった挨拶は少ない。 -栄養状況/衛生状態が悪そうな層は僅かである。 -教育水準が高く、児童・生徒の予防活動を活発に進めることができる。 -保健所による疾病発生モニターの仕組みがあり、情報も公開されている。 -国民皆保険で、医療機関での診療に抵抗感はなく、医療機関の数も多い。 -タミフル投与ができる。 --- 参照 --- (1) 「【新型インフル】「医療従事者優先に」 舛添大臣がワクチン方」 産経新聞 [2009.9.1] http://sankei.jp.msn.com/life/body/090901/bdy0909011138008-n1.htm (2) A Haque,等: 「改良ワクチンによる、予想されるインフルエンザA(H5N1)汎流行の制御[翻訳]」EID J. [2007年] http://www.forth.go.jp/official/071022_12.html [原文] http://www.cdc.gov/eid/content/13/10/1512.htm (3) 「ワクチン類製造(輸入)業者別製造品目一覧表 [2009.1.4] http://www.wakutin.or.jp/page51.htm (4) 「ワクチンのできるまで」 北里研究所生物製剤研究所 http://www.kitasato.ac.jp/rcb/howtomake.html (4') 【上記ビデオ視聴の感想】 ・原料調達が厄介そうだ。 -鶏卵業者の有精卵生産能力は大きいものではなかろう。 -年間計画に基づいた注文生産しかできないのでは。 -孵卵だから生産には時間がかかる。 ・面倒な工程だ。 -自動機器は多いが、労働集約的なバッジ型生産である。 -不良発生率はよくわからない -鶏卵1個からの収率は確定的ではなかろう。 ・製造には安全性試験が不可欠だ。 -ウイルスフリー確認の安全性試験には時間がかかる。(1ケ月か。) -別途、国家検定が必要なのでは。 ・前工程の、卵に接種するウイルス株の培養はどうなっているのかわからない。 (5) 舛添要一: 「現代フランス社会論序説――暴力をめぐって」 東京大學教養學部社會科學科編 社會科學紀要 28号(1978年) (6) 小林秀高: 「日本の政治学者・研究者」 http://www.kh-web.org/links/scholars_j.htm ibid.: 「政治学リンク」 http://www.kh-web.org/links/ (7) Yukio Hatoyama: “Markov maintenance models control of queue”J. of J. Operations Research Soc. of Japan [1977] (8) 「ジョン・V・ルース駐日米国大使」 駐日大使 http://tokyo.usembassy.gov/j/amb/tambj-bio.html (9) 「インフルエンザ流行レベルマップ」 国立感染症研究所 感染症情報センター https://hasseidoko.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/2008_2009/trend.html 政治への発言の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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