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2010.3.25
 
 


昨今の政治状況を眺めて[子ども手当法案可決]…

自民党、ついに公明党からの支援喪失。
〜 公明党代表の表明 [3月15日〜18日] 〜
@岩手 「政党対政党の関係で
選挙協力する方針は持っていない。
公明党の党勢拡大に結びつくような
選択を検討する。」(11)
@国会 「従来から述べている通り、
政党対政党の関係で他党候補のために
選挙協力をすることは、
今、考えられる状況にない。」(12)
福岡選挙区は「乱戦混戦のようだ。
わが党からの立候補も
放棄したわけではない。」
(2人区: 民現,国現[自離党],民/社新,自新)(13)
@福岡 「政党対政党という関係での選挙協力というのは、
今なせる状況ではないと思っている。」(14)
@大分 “党本部として他党の候補者を推薦しない”が、
「地域ごとに
個別の候補者を応援することについては
党本部として制限しない。」(15)
 3月12日に衆議院厚生労働委員会で子ども手当法案があっさり可決。
 公明党も賛成したからである 。(1)
 面白いと思ったのは、マスコミが政権スリヨリとの報道ばかりしていたこと。

 そんな話ではなかろう。
 小選挙区制の威力の凄さを知ったのは自民党以上なのだから。
 キャスティングボートを狙うといっても、小選挙区制下では一過性のものでしかなく、今の体制を続ければ自民党との一体化しかなくなる。
 しかも、自民党と公明党が対立しそうな法案を次々としかけられるのは目に見えている。そんなことをされると、組織的にどうにもならなくなる。
 おそらく、社民党を見て、同じ憂き目にあいかねないと思っているのだろう。・・・社民党は普天間問題で分裂必至だろうし。
 要するに、自らの主張を抑えてまで自民党と連合を続けるのは、心中に等しく、それだけは避けようということ。自民党とのパイプ役で活躍した政治家は消えていくしかあるまい。
 山口那津男公明党代表が自民党との提携を解消することを一貫して表明し続けたのも当然の話。地方の事情などかまっていられないのではないか。

 この状況で、谷垣自民党は受け取り拒否運動を展開するとか。(2)この政治センス、なんだかね 。
 ともあれ、公明党の正面切った支援は期待できないということ。

自民党にもようやく危機感が生まれてきたようだ。
 ここまできても、谷垣体制が安泰なのは、驚くことではない。自民党を引っぱっているのは、連戦連勝の衆議院議員だからだ。
 たとえ、自民党支持率がメタメタだったしても、議員個人としてその圧力を感じない人が主流派を形成しているということ。強固な地盤・看板・鞄がある議員が、政党支持率が低い理由を理解できる訳がなかろう。

 ただ、それが何時まで持つか。
 バラマキ期待ゼロで、陳情先さえなくなったのだから。

 それに、最大の問題はお金。
 衆議院選挙対策用に多額の借金をしたようで、2008年分の政治資金収支報告書では借金残高なんと119億円。(3)

 これに対し収入のほうはお寒い限り。
 政党助成金は約50億円減少し、100億円を数億円越える程度になるという。
 平成20年の経団連会員企業の献金額は民主党向けが約1億円、自民党向けが約27億円。ところが、経団連が献金に関与しないという。(4)“おつきあい献金”は完全になくなるということだし、上場企業だと、下手に野党献金を続けると、株主訴訟で敗訴の可能性もあるから、皆、様子見を決め込むかも。
 財政的に大打撃間違いなし

 それに、政権交代で、これからは借金どころか、取りたてに合いかねないし。

民主党によるサラミ戦術は着々と進展中。
 とはいえ、小選挙区制だから、衆議院議員は、離党して対立候補でも立てられれば落選の憂き目間違いなし。おいそれと新党創出などできる訳がない。逃げるに逃げられないというところだろう。
 そんなことはわかりきったことだから、そこを突いた一本釣りが続いている。ここまでくると、流石に、皆浮き足立つ。特に、鳥取の自民党参議院議員の民主党入党は衝撃的。(5)民主党は議員の半数に達したことになるというだけでなく、県全体が民主党に塗り換わることになりそうだからだ。

 支援団体離れも続く。
 日本医師会は自民党への献金凍結。(6)日本歯科医師連盟は民主党候補支援を決定。(7)

 だが、ボデーブロー的に効くのは、農村地域の集票機関に対する仕掛け。
 自民党農林族の追い落としが着々と進んでいるのだ。石破茂前農水相が図った「減反政策転換」を潰した、強力な集団だがその力の根源はJA。そこを突いている訳だ。農業者戸別所得補償制度とは、JA解体の最初の一手でもある。
 JAのリーダーシップで反民主党の狼煙があがらないように注意深く弱体化を図っているところだろう。「食と農の再生会議」がその核を担っていると見ることもできよう。
 23日には、ついに、農政連が自民支持を止め、自主投票に踏み切った。(8)といっても、地方組織がそう簡単に変わるものでもないだろうが。

 ここまできても、議員は、小選挙区制のために怖くて動けないわけである。
 そうそう、自民党に危機感が広がったというのは正確な表現ではなかった。危機感とは、難しい打開策に賭けるしかないと決心したとき生まれるもの。
 自民党に蔓延しているのは単なる不安感である。最悪。

 --- 参照 ---
(1) “野党でも政策実現 「国民のため」の判断貫き 政権には是々非々で対応” 公明新聞 [2010年3月15日]
   http://www.komei.or.jp/news/2010/0315/16914.html
(2) “自民、「子ども手当」に照準 街頭で批判展開、受け取り拒否運動も” 産経新聞-msn [2010.3.11]
   http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100311/stt1003112135012-n1.htm
(3) http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20091001/plt0910011604003-n2.htm
(4) http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100226/stt1002261757003-n1.htm
(5) http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100208/stt1002081722002-n1.htm
(6) http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100319/stt1003192133014-n1.htm
(7) http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010032301000774.html
(8) http://www.jdpf.jp/index.html
  [表]
(11) http://mainichi.jp/area/iwate/news/20100321ddlk03010035000c.html
(12) http://www.komei.or.jp/news/2010/0318/16940.html
(13) http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100317/stt1003171709013-n1.htm
(14) http://www.jiji.com/jc/zc?k=201003/2010031500653
(15) http://www.e-obs.com/obs-news/genko/DD03140012595.html


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