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2010.5.24
 
 


F-22問題浮上か…

 US-China Economic and Security Review Commission(1)が2010年5月20日、 “China’s Emergent Military Aerospace and Commercial Aviation Capabilities”のHearingを行った。

 そこで、中国が第5世代戦闘機を2018年に配備し始めるとの予測が語られたという。(2)

 人民解放軍は、どう見ても西太平洋を中国の海と考えており、そのために装備を着々と増強しているのだが、ここまでくると、米国は制空権維持が危ういのではとのと危惧の念が持ち上がりそうだ。すでに、この地域のすべての航空基地をミサイル攻撃で使用不能にできる能力もある訳だし。
 その割には、米国有力紙がニュースとして取り上げていないのは、ざっくりとした予測だし、中国との良好な関係を保つ上では、雑音ということなのかも。と言うか、国務長官の日中韓訪問の方に目が向いていて、この地域の安全保障に関して、どのような方向で米中合意が形成されるのかの方が重大というだけなのだろう。

しかし、問題は残る。F-22 Raptorの生産を中止したGates国防長官は、2020年までに中国で第5世代戦闘機が登場することはないとしたからだ。今回、予想が早まったということは、前提条件が大幅に変わってしまったことになる。 “We will need more F-22s if we are going to adequately defend our interests”という見方が浮上してくるかも。ただ、Morrel報道官はコメントしなかったらしい。

 そういえば、この21日には、12機のF-22が嘉手納に短期配備されると発表があったばかり。(3)もちろん、中国が一番嫌う配備である。

 まあ、中国だけでなく、防衛省も第5世代戦闘機には並々ならぬ関心を払っており、F-22そっくりのステルス機研究が行われたことはよく知られている。(FNNが紹介番組を放送した。)ただ「ATD-X 心神」という強気の名前の割には、搭載する国産エンジンの出力は小さすぎ、戦闘機モデルと呼べるものではなさそうだが。
 民主党は、次期戦闘機をどうしたいのかはよくわからないが、世界がどう動いているのか、よく考えて決めて欲しいものである。在沖縄米海兵隊の意味は、首相になってから学んで始めて分かったというのが本気だとしたらとんでもない話である。まともなスタッフは一人もいなかったということなのだから。

 --- 参照 ---
(1) http://www.uscc.gov/index.php [hearing掲載は後日.]
(2) Jim Wolf: “New Chinese fighter jet expected by 2018: U.S. intelligence” Reuters [May 21, 2010]
   http://www.reuters.com/article/idUSTRE64K0MY20100521
   古森義久: “中国、グアム米軍基地を攻撃可能な爆撃機を開発中”  産経新聞 [2010.5.21]
   http://sankei.jp.msn.com/world/america/100521/amr1005211839007-n1.htm
   “China may have F-22 rival by 2018” The Malaysian Insider [May 21, 2010]
   http://www.themalaysianinsider.com/world/article/china-may-have-f-22-rival-by-2018
(3) “F22 また嘉手納に 来週から12機 4カ月配備” 沖縄タイムス [2010年5月22日]
   http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-05-22_6674/


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