→表紙 | 2013.8.29 | |
| 反科学主義の勃興について…GM植物とは、小生の感覚では、旧来型の育種を迅速化させた結果でしかない。自然でも、実験と同じように遺伝子組み換えが発生するのだから、変テコなものが生まれるリスクという点では、GMでなくても確率的に発生すると考えるしかなかろう。コントロールされた遺伝子組み換えの方が危険性が低いという理屈の方が納得性を覚える。しかし、それが通る世の中ではない。別にGMに限らないが、先進国には心底から反科学の人達が少なくないのである。そして、科学思想を持ち込む輩は、有無を言わさず、人類の敵と見なされる。なにをされるかわかったものではないから、実に怖しい限り。それが先進国社会の現実である。 この状態だと、議論の結果を踏まえ、合理的に方向性を決めることはかなり難しいと言えよう。まあ、もともと、そんなことは理想論でしかないから当たり前と言えば当たり前の話ではあるが。 こんなことをついつい考えてしまったのは、先日、New York Times がゴールデンライスの記事を華々しく打ち出したから。(尚、NYTは接続不可だったりするが、シリアハッカー攻撃とか。) まあ、毎年恒例のように、もうすぐ成果といった話を打ち出してきたから、又、そんなものと考えがち。 ところが、今回は様相が異なる。 記事の内容は、反GM運動家がフィリピンの農場を破壊したというものなのだ。 と言うことで、「ニューヨークタイムズ ゴールデンライス」で最近アップ検索をしてみると、やり方が悪いのか、なんだコリャ状態。トップは農業関係情報リストのウエブのようだし、2件目が松坂大輔 - Wikipediaとくる。以下、英文が多そう。 NYTimesに敏感に反応するマスコミだが、こればかりは知らん顔ということか。日本の場合、この姿勢には強いメッセージ性があり、わざわざ余計なことを言う人はいない訳である。 ご存知ない方もおられるだろうから、このGM植物の育成状況にちょっと触れておこう。他とは一寸違うからである。・・・ 「ゴールデンライスの実用化が遅れている最大の原因は資金不足ではなく、科学的根拠に基づかない過度な予防原則による規制が強すぎるため」。実際、「人道的な見地からゴールデンライスの開発者たちは、特許を無償公開し、特許料等の知的財産権に基づく金員の請求をしないことを表明している。ゴールデンライスは自家採種可能であるため、栽培農家は無償で永続的に栽培可能になる」筈。 そして、この米が登場することで、何十万人にのぼる、いわゆるビタミンA欠乏症(鳥目)による失明児童の発生を防ぐことになると期待されているのだ。 ・・・ということを知れば、NYTimesが、どうして、読者に一番目につくような形で記事を掲載したかご想像がつくのでは。 そう、こうした「反科学運動」を憂慮して、ゴールデンライス支持を繰り広げている科学者の存在を訴えているのである。 日本の科学者の場合、支持表明は、おそらく相当な勇気を必要とすることだろう。 (記事) Golden Rice: Lifesaver? By AMY HARMON New York Times August 24, 2013 Science And GMOs Are Not The Bad Guys Here by Emily Willingham Forbes 8/27/2013 @ 4:06PM 'Golden rice' GM trial vandalised in the Philippines By Matt McGrath BBC News 9 August 2013 Last updated at 12:05 GMT (解説) GMO情報: ビタミンA強化米 ゴールデンライスの開発阻害要因 農業と環境 No.88 (2007.8) 独立行政法人農業環境技術研究所 政治への発言の目次へ>>> 表紙へ>>> |
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