→表紙 | 2013.10.6 | |
| 朝鮮半島不安定化か…○ 米国は東アジア安定化を中露まかせにするつもりか?オバマ大統領は、APECもTPPも欠席。米国内政治最優先で、海外はどうにでもとの姿勢に陥りつつある訳だ。 2期目は地域安定問題の焦点を中東からアジアへとシフトすると思いきや、結局のところ、全く変わらず。アジア政策とは、米中関係の現状維持最優先に戻った訳である。 といっても、中東にしても、支離滅裂な姿勢。 この地域で何を実現したいのか、さっぱりわからないのだからこまったもの。米国は正義戦争好きの体質だが、流石にこれでは動きがとれまい。 なにせ、日本から回ってくる数兆円のあぶく銭で地域覇権ゴッゴに励む湾岸諸国に乗せられ、一緒になって、無国籍原理主義者テロ集団を世界に徘徊させるという、およそ馬鹿げた方針を進めている訳だし。 ともあれ、この地域安定の責任を負う気なしと表明したも同然の動きが続く。 (呆れることに、国務長官が、アルカイダはシリアにはいないと余計な一言。お陰で、プーチン大統領から嘘つき呼ばわりされた訳である。国内発言なら大丈夫とたかをくくった訳で、「うつけ者」としか言いようがない。大学での一言で大統領候補の座を失ったことを未だに教訓化していないことがよくわかる。そんな状態で、外交に年季が入っていると自負しているらしいから、これではどうにもならぬ。 その上、NYTにプーチン大統領が寄稿まで。おそらく、多くの米国人は、アイツだけには言われたくなかったとの気分に陥ったことだろう。言ってることは政府よりずっとマトモだったからである。しかも、米国政治家より、余程米国人らしき「自由な生活」を送っていることが知れれているのだから。 オバマ大統領は政権政権運営に頓挫してしまったと見てよいだろう。少なくとも、安全保障チームはなんの役割を果たせなかった。常識ではメンバー解任か辞任だが、オバマ大統領にはそんな力もなさそう。まことに、人事に難アリの政権と言えよう。) ○ シリア方式を北朝鮮に持ち込むつもりかネ? これで、シリア化学兵器廃棄プロジェクトが本格的に動くことになれば、北朝鮮の非核化も同様の体制で進めさせようとの魂胆が生まれておかしくなかろう。そうなると厄介な話である。 中国は北朝鮮問題解決に消極的だから、露に梃入れさせ、米国はその動きにのればよいとの安直な方針。せいぜいが、最低限必要な核戦争対策だけ手を打っておけばことたれりの発想とも言える。米中関係さえ上手く回れば、後はどうでもという本音姿勢が表面化してきた訳だ。 ・・・という状況と見れば、米-北朝鮮の非公式会談が引き続き行われていようが、それにたいした意味はなかろう。米国からすれば、中国の要求に応じて、ともかく沢山会っておこうというだけ。 これは東アジア安定には、いささか拙かろう。下手をすれば、朝鮮半島一大事もなきにしもあらずではと、えらく気にかかるのだが。 それに、シリアの化学兵器とは、もともとイスラエル対応でしかなく、パワーバランス上必要という以上ではなかろう。そういう点では、エジプト軍も保有していておかしくないということ。従って、イスラエルとの平和共存体制が保証されるなら、たいした意味はない。 北朝鮮の場合は意味が違う。敵国である米国と終戦にこぎつけるための最強の武器とされているからだ。換言すれば、核兵器廃棄とは、敗北宣言に他ならず、独立を侵されたことを意味しよう。従って、国家としてそんな流れを容認することはあり得まい。従って、米・露・中による北朝鮮核武装解除は無理筋だと思う。 なにせ、核兵器と巨大ミサイルの開発成功こそが、金王朝の栄光歴史そのものなのだから。 つまり、核兵器廃棄は、偉大な事業を成功させた金王朝三代目の顔に泥を塗るようなもの。首領様のご威光が一瞬にして失われる訳だから、政権崩壊の引き金になるのは間違いなかろう。もしも、北朝鮮軍が、大国が揃ってそのような方針で臨んでいると見なしたら、どのような態度をとるだろうか。よくよく考えた方がよいと思うが。 ここらを理解しないで動くととえらいことになりかねまい。 ○ 半島の歴史を考慮して、どんな反応になりそうか考えないと。 理解不足になるのは、半島を眺める際の歴史観が曖昧なせいもあろう。 先ず、押さえておくべきは、朝鮮半島には、一貫した「朝鮮」の歴史や文化は全く無いという点。中国の属国だった李朝から先しか語りようがないのである。その後、国家も消滅させられ、主権国家とされる韓国にしても「作らされた国家」でしかない。誇るべき歴史を持っていないということ。 ちなみに、それ以前と言えば、内部抗争と属国化しか描きようがなかろう。連続性を語りようがないのだ。建国話はどの国でも重要だが、この状況だと、それも難しい問題を孕むことになる。隣国勢力発祥の国という不快な事実が浮かびあがりかねないからだ。 従って、都合の良いストーリーを作る以外に手はない。どの国でも多かれ少なかれ、歴史とはそういうものだが、朝鮮半島の場合はこれが苦しい。いくら加工したところで、国家的英雄だけは描きようが無いからだ。しいてあげようとすれば、命を捨てて支配者に刃を向けて散っていった人々になってしまう。これほど辛い歴史はあるまい。 ・・・従って、事実を素直に受け止める「歴史観」は、金輪際無理な地域であることを、理解しておく必要があろう。 ○ 例えば、日本への恨み骨髄感覚が消えることは無かろう。 ちなみに、韓国が日本をとことん恨むのは、ココに根ざす心情だと思われる。と言っても、日本的歴史観で眺めるとさっぱりわからないかも。 そういう場合は、古代日本で考えてみると分かり易かろう。 冷静に見れば、倭国は傭兵事業を展開していたことになる。半島の出先にも常駐状態だったのは間違いなかろう。しかも、半島の人々となんらかの紐帯があったから出兵している訳ではなく、一番メリットがありそうな勢力と組んだだけ。純粋な見返り期待の事業だと思われる。なにせ、圧倒的に有利な立場なのだから。これによって、大陸の先進文化を移入し、国力を高めることに成功した訳だ。まとまりなき朝鮮半島の人々とまともな交流などありえぬと見ていたも同然。中華帝国が君臨する東アジアでは、当然の姿勢とも言えよう。 しかしながら、これを、半島側から見ればたまらぬ話では。まあ、内乱を抑えるような朝鮮の英雄はついぞ登場しなかっただけのことだが。 しかも、あろうことか、その内乱で生じた「優秀」な難民を日本はドシドシ受け入れたのである。半島で互いに対立している勢力の出身だろうが気にもとめず、改宗要求もせず、先端文化を持ち込んでくれるなら重要な地位まで提供。もちろん、半島の環境に近そうな土地も与えた。こうなれば、内乱に辟易している、「優秀」な人々は喜んで移住したに違いなかろう。そして、時間をかけて、「日本人」として一体化させてきた訳である。 半島には、独自の歴史と、一貫した文化が存在していると考えたい人々に、これほど不快な事態はなかろう。まさに、日本は目の上のタンコブ。 この見方、おわかりになれるだろうか。 ○ 半島には独立国家樹立者という英雄が存在する。 ただ、上記は正確ではない。例外的に、英雄がただ一人だけ存在するからだ。 そう言えばおわかりだと思うが、抗日パルチザン部隊の指揮官から、独立国家を樹立し、自力で朝鮮半島統一をなしとげようとした民族主義者のこと。言うまでもないが、金日成である。(ソウル侵攻も、市民が旗を振って大歓迎との写真をみかけたような気がする。確か、教科書だったと思うが、今はどうなんだろう。) 当然ながら、南北分断となっても、南で英雄視が消えることなど考えられまい。と言うことで、韓国にも、金王朝による祖国統一を願っている人々は数多く存在すると見て間違いなかろう。それを口に出す馬鹿はいないと思うが。韓国の反米勢力はこの心情を共有している可能性はかなり高い。 韓国で、統合進歩党の国会議員が蜂起を示唆する扇動的な演説を組織内部で行い逮捕されたが、上記のように考えると、こうした言動があったこと自体は特別驚くようなことではなかろう。韓国内には、半公然金王朝シンパはどこにでもいる筈。 小生は、金王朝詣でをした韓国大統領にしても、おそらく反米独立の英雄とみなして深く敬意を表したと見る。従って、この逮捕にしても、米韓軍事体制強化への反対運動激化を避けるためのものの可能性もあろう。報道によれは、内乱罪とされているが、うやむやにするのではないか。わざわざ国家分裂に導こうと考える政治家は少ないと思われるからだ。もっとも、歴史からいえば、又ゾロ内乱体質が表面化してきたと考えることもできなくはないが。 ○ 北朝鮮軍部の動きには注意した方がよかろう。 ただ、この事件、発生時期が時期だけに、結構深刻な問題を含んでいそう。 北朝鮮が突然、朝鮮戦争休戦協定破棄を宣言した後で、北朝鮮国内は緊張感が漂っていたに違いない頃合だからだ。進歩党の議員も、これに応えるべく、戦争勃発の際には、韓国で軍事活動が必要と扇動した模様。どうも日本でも、北朝鮮の先鋭化した動きへの対応があったようだし。 識者は、当時、これは北朝鮮のブラフでしかないとの意見。しかし、素人からすると、国内的にブラフだったと説明できる訳もなく、「先軍政治下」では後戻りは難しかろうとなる。いずれ開戦だからと、先のばしする以外に手はあるまい。前の首領の場合、その時々で、内部的に適当な「勝利」を打ち出せたが、今や、それができそうにない国際情勢だからである。 ところが驚いたことに、識者の言う通り、姿勢が軟化した訳である。外交全盛で真逆の姿勢をとり始めたと見てよかろう。 しかし、いくら独裁国家といえども、軍がそう簡単にその使命たる祖国統一のための戦争を「止めた」と言える訳もなかろう。どうしてそんなことができるか、よく観察すべきだと思う。 ○ 成功するとは思えないが、中国型統治へ移行し始めたのでは。 そう思って眺めてみると、3代目が権力構造を抜本的に変えている様子が伺える。5つの組織上のタイトルのうち、2代目に習えば、軍事委員会委員長を重視せざるを得ないがどうもそうではなさそう。党の代表として、全権を発揮する方向へと大胆にシフトしていそう。これは、中国共産党型の常務委員会型統治を目指していることを意味するのではなかろうか。要するに、No.2の人民会議常任委員長を名誉職に祭り上げ、軍の頭脳たる総政治局長と総参謀長を常任委員会に取り込んで党中心に大胆に動ける体制へと変えようとの目論見か。 ・朝鮮労働党第一書記 ・朝鮮労働党中央委員会政治局常務委員 ・朝鮮労働党中央軍事委員会委員長 ・朝鮮人民軍最高司令官 ・朝鮮民主主義人民共和国国防委員会第一委員長 以前は、あくまでも軍ありき。それを、分野別の担当秘書(軍需、国際、経済、・・・)が機動的に動ける体制に変えることになる。 もしそうだとすれば、部門別組織長の刷新も不可欠な筈。当然、それに反撥する勢力も出てくるだろうから、粛清必至では。 そこまで踏み切るということは、経済再興を図るためになんでもするということになる。 おそらく、自由度を上げざるを得ない。すでに、その方向に踏み出しているのでは。 これはえらいこと。膨大な数の正規軍と民兵がこうした新しい流れに乗るのはかなり難しそうだから。これが上手くいかないと大変なことになりかねない。なにせ、祖国解放戦争間近とぶち上げ、戦時体制に持ち込んだのである。軍とは、強大な武力組織というだけでなく、滞留する失業者を吸収する役割も大きく、これが治安レベルの低下を防いできた。そこがこの機能を失う訳だから、離反者が出始めることは間違いない。圧政体制を今迄通り続けられなくなることを意味しよう。 それに、こうした経済体制改革には軍組織内の「先軍政治」派を一掃せざるを得まい。これもそう簡単ではなかろう。対外姿勢を軟化したということは、すでに、軍の首脳部は入れ替えられたと見てよさそうだが、これは思った以上のインパクトを軍内部に与えた筈である。「先軍政治」とは、祖国解放の大義そのものとされてきたからだ。 3代目はそれを捨てるのかという反撥が生まれておかしくなかろう。そんな雰囲気が漂ったりすれば、核兵器を使い一気に南進という動きが出たりしかねない。上記の歴史観を考えれば、それを抑えるような力は働かない。下手に動きを抑えれば一大騒動につながり王朝分解もありえよう。 と言うか、どのような動きが始まるかは読みようがない。それが半島の体質。 よくわからないとはいえ、近い将来、一大波乱が待ち構えているのは、かなり確かでは。 (NHKの外交関係記事) 北朝鮮と米 ロンドンで非公式会談 10月3日 5時51分 北朝鮮の外務次官 米側と独で会談 9月25日 北朝鮮 米は敵視政策を終わらせるべき 10月2日 4時23分 (ロイター日本語版 北朝鮮の記事等) 中国、対北朝鮮禁輸リストを公表 2013年09月24日 開城工業団地が5カ月ぶりに再開、南北経済協力事業 2013年09月16日 北朝鮮が寧辺の実験用原子炉を再稼働か、衛星写真で白煙確認 2013年09月12日 北朝鮮建国65年で軍事パレード、金正恩第1書記が観閲 2013年09月09日 アングル:脱北者に優しい北朝鮮、金正恩氏が新たな戦略か 2013年08月20日 米韓、北朝鮮による核兵器使用抑止に向け新戦略に署名 2013年10月02日 (他ソースの記事) 北朝鮮、外交官ら子女に帰国命令―海外教育は政権の脅威? 2013年 9月 22日 12:34 JST WSJ日本版 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