→表紙 | 2013.12.30 | |
| 安倍外交の質…唐突に靖国参拝。第1次内閣当時、見送っていたから、その線でいくのかと思いきや豹変。 戦後秩序を壊すつもりの政治家と見られた上に、日本国民から信任をうけていないということで、米国大統領から、当時は相手にもされなかったようだから、靖国参拝が米国にどのような反応をもたらすかはわかりきっていた筈だと思うが。 その上、この10月には、わざわざ時間を割いて、国務長官と国防長官が揃って千鳥ヶ淵戦没者墓苑に献花した訳で、それが何を意味しているかわからぬ筈もなかろう。・・・米大使館を通じ即刻発表された声明は、「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、米国政府は失望している」というもの。米国の東アジア安定策を安倍首相が根底から否定したに等しいのだから当然だろう。 今迄の安倍外交はなかなかよくやっていたと思うが、これで米国との関係がこじれてしまえば、すべてが帳消し。新駐日大使を通じて、日米関係をスムースにする大きなチャンスを潰してしまったと言えよう。来春の日米首脳会談もおそらくキャンセル。 下手をすると、米国と歩調をあわせる必要があるTPPまでゴタつきかねまい。それならそれで結構というところかも知れぬが。 25日の首相と沖縄県知事会談で、「環境に関して日米地位協定を補足する新たな政府間協定を作成するための日米交渉を開始することで米側と合意した」と表明したそうだが、これも今後上手く進むまい。 「日米地位協定」はそれだけ見れば、一種の不平等条約そのものであり、「普通の国」として扱ってもらいたいなら、この改定は不可欠という代物。しかし、改定は無理筋。 自国民の人権が守れない制度の国に、「容疑者引渡し」などできる訳がないからだ。自由を第一義としている国にとって、「対等扱い」できる訳がなく、「日米地位協定」改定などあり得ないと思われてきた。 環境問題とはいえ、それが改定話に繋がったのは驚くべき変化と言ってよかろう。世界中に基地を抱える米軍にとって、一国の改定はドミノ現象をおこしかねないから、できる限り弄らないというのが基本姿勢にきまっているからだ。大使館リリースから見て、新駐日大使の尽力の結果かも知れぬ。だが、これから先はそれはもう期待できまい。指導者として不適と見なされたと言ってもよい表現なのだから。 そうそう、12月中旬に行われた、ASEANとの首脳外交も実り多きものだったと言えよう。 もっとも、マスコミは対中国シフトに動いた話だらけ。小生は、そんなものは成果になる訳がなかろうと思うが感覚が違うようである。そもそも、ASEANが、経済大国中国市場を糧にして繁栄する方針を変える訳がなかろう。しかし、日本も繁栄に寄与してくれるなら、これは有り難いというにすぎまい。従って、強い日本になりたいならどうぞご遠慮なくということ。 産業基盤やインフラ作りに手を貸してくれるのは願ってもない訳で、ここら辺りをしっかりと歩を進めたようである。これなら、日本企業も安心して進出していけるようになろう。従来の政府のやり方とは、例えば、ミャンマーなら、それ行けやれ行けと「強い」ご指導をするだけ。基盤作りには手付かずでいわばほったらかし状態。一体、政府ってナンダカネと言ってよいだろう。まあ、それが日本の外交だからと諦めていた訳である。それが大きく変わった。 自民党はバラマキ政党でしかなく、国内改革などできないから、海外発展なくしては、日本経済は上向かない。その点でこうした外交は非常に大きな一歩だったと見てよいだろう。東南アジアは小さな市場ではないし、発展意欲も高いからだ。外交的な後押しをしてくれると、日本企業にとっては進出リスクも低下する訳で、実に有り難いこと。 ただ、巡視船供与はどうかと思うが。 ブツだけあっても、運用ノウハウやメインテナンスの仕組みがなければさっぱり役に立たない訳で、そこまでの協力の動きがあるとは思えないからだ。従って、目玉作りとしては、良い方法とは思えない。 マスコミは総じてこの動きに好意的だったから、国内政治的にはプラスに働いたとは言えそうだが。 (記事) 首相、日米地位協定「環境に関し新協定作成」 沖縄県知事と会談 2013/12/25 14:15 日経 政治への発言の目次へ>>> 表紙へ>>> |
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