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2014.3.2

自治体首長に洞察力が欲しい…

自治体の首長に洞察力が欲しいと感じる日々が続いた。ようやく落ち着いてきたようなので、ちょっと前を振り返って、2つほど。

一つ目。
大雪被害での、とある首長の発言を耳にして。

雪で孤立した村落があちらこちらで発生していることを問題視しただけ。普通に聞いていれば、ソリャそうだとなるが。
小生は一寸違うのではないかと。

言うまでもないが、どうして大騒ぎするかといえば、高齢者が多い地域だからだ。家に閉じ込められた状態になって、これは一大事ということ。
それはそうだろうが、一番最初に心配すべきことではないのでは。

都会から見れば、いかにも一大事に映るが、台風による大被害とは違って、家屋に被害がでている状況でなければ、緊急性が高い訳ではなかろう。安否連絡体制が完備しているのが普通であり、そうそう危機的状況に遭遇するとは思えないということ。

一般的に、こうした村落の老人達はひ弱な都会人とは大違い。数日閉じ込められとて、大騒ぎするような方は稀だろう。暖房から、食糧まで、備蓄していない筈もなく、生活の質は落ちるが数日程度なら問題なく過ごせるもの。だからこそ、限界集落と呼ばれても、存続しているのだと思う。

危険なのは、村落内でなく、村落外である。車が立ち往生すれば閉じ込められて凍死する可能性が高いからである。地域の方々はそんなことは百も承知だが、訪問者はそうはいかない。山の陰だと携帯電話が通じない箇所もあるから、そんな車がいないかを確認することが緊要なのでは。
その対策はできているのだろうか。警察まかせでなければよいが。

小生は、大雪では、都会での人的被害を心配してしまう。雪で閉じ込められないから安全とは言えないからだ。備蓄などないから、外出せざるを得ないが、高齢者にとってはこれは危険を伴う。雪掻きされず、凍結した路面を歩けばどうなるかわかろう。骨折でもしたら大事である。しかし、事故として扱われないものが多そうで、その実態はわかっていないのでは。都市高齢者の人口を考えればこれは小さな問題とは思えないのだが。
もちろん、歩行を助けてくれる人などいない。しかも、都会には雪掻きボランティア無しだ。この危険状態が長く続くエリアもありそう。

二つ目。
それは自転車。
エネルギー問題を考え、都会での自転車利用を増やすなる発言には正直驚いた。現実を全く理解していないからである。

自転車に乗りっぱなしの人はいないのである。必ず、どこかに置かねばならないのだが、都会にそんな場所などない。
どうなるかといえば、ヒトが歩く場所を塞ぐのである。先日など驚いたことに階段通路を塞ぐように10台以上が駐輪しており、入り口がどうやらヒトが通れる余地ありになっている状況。これが現実。
駐輪スペースに転用できる余地など、都会にはほとんどないが、一体、どうするつもりなのかネ。

すでにご存知のように、自転車による死傷事故激増中である。事故として報告されない、軽い接触など膨大な数になっているに違いなかろう。
なにせ、自転車は車道、歩道の区別なく走るのである。しかも右側通行も左側通行も自由自在。車でもあり、歩行者でもありということで、信号も全く意味をなしていない。先日など、横断歩道を歩いているお年寄りに、止まっている車の横から自転車がとび出してぶつかっているのを見かけた。もちろん、すみませんで終わりである。これからも何回でも繰り返す訳だ。
スピードを出して、ヒトをよけながら走るのであるから、ぶつからない方が不自然である。老人が増えるというのに、自治体の首長は、この風潮を後押ししようというのだ。

誰が考えたところで、多少広い歩道に"なんとなくわかる"程度の名目的な自転車レーンを作る以上のことはできる訳がなかろう。自転車事故防止のために、色々工夫したり、警察は実によくやっていると思うが、もうこれ以上は無理である。
従って、この先自転車が増えれば、この危険な状態が急速に悪化するのは自明。そして、日本の都会は世界一自転車事故多しという結末を迎えることになろう。

やるべきことは、バスやタクシーを安価で便利な交通機関に変えることではないのか。
そして、使い勝手がよい近距離荷物運搬業のイノベーター登場を誘導することでは。

この二つを見て、思ったのだが、・・・
首長の要件は、組織を動かす能力だけでは決定的に不足しているということ。現実を直視し、本質を見抜く力が今一歩だとえらい目に合う。と言っても、政治家が、じっくり考える時間を取れる筈もなく、致し方なしと諦めるしかないか。
できれば、シンクタンクの支援の仕組みが欲しいところと言いたくなるところだが、こちらの現実もお寒い限りと聞く。各組織にぶる下がるお座敷シンクタンクだらけで、役に立つとは限らぬそうだ。

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