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2014.5.13

東京特区落選地域を眺めて…

東京都の特区指定地域が決まったらしい。

自民党のやることだから、小生は期待していなかった。もっとも、民主党は自民党支持の既得権益層へのバラ撒き反対というだけで、超巨大な税金バラ撒き推進派でしかなく、規制強化主義勢力でもあるから、それよりはずっとましだが。

まあ、どうせ、小泉政権の掛け声「特区」以上でも以下でもなかろうと思っていただけ。
だが、どうもそうでもなさそう。

ニュースで取り上げられそうな面白ネタ的特例作りをするなら、動きのある副都心計画に華を添えるのが一番手っ取り早いが、そうではなかったからである。

なんと、3箇所の副都心が外されたのである。
 [落選副都心] 上野・浅草・・・台東区
 [落選副都心] 錦糸町・亀戸(+両国)・・・墨田区
 [落選ターミナル副都心] 池袋・・・豊島区

正解である。
傍目には、官主導区域として映る地域だからだ。
もっとも、オリンピックとの関連度というだけの話だったりする可能性もあるが。

民間が、自ら、しかも組織的に動かない限り、改革などできる訳がない。その桎梏を取り払うためにこそ「特区」制度が使える訳だ。
もちろん副作用はある。しかし、それを大きく越えるメリットがあるからこそ進めるべき施策。
従って、奏功するとは限らない。初めから仕掛けられている抜け穴を悪用するだけで終わったり、チャンスを活かすべき主体が不活発ということもママありうるからだ。
上記の選定は、そういう観点から見て至極当然。

日本経済を牽引する力を発揮しそうな地域は誰がみたところで下記。
 [都心区域] 千代田、中央、港
 [ターミナル副都心] 新宿
 [ターミナル副都心] 渋谷
 [再開発副都心] 大崎・・・品川区
 [新開発副都心] 臨海(埋立地)
   港区台場・江東区青海・品川区東八潮
ここらは、すでに、民主導で動ける体制が出来上がっている。その動きの障害になっているものを取り除くために官が動けばよいのである。
もちろん、その途上という場合もあるが、民は互いに競争だから、余計なことをしなければ、地域発展は間違い無しだろう。

面白いと思ったのは、文京区が選ばれていること。ここは、後楽園が目につくが、根津-千駄木-湯島という古き街観光でも知られるところ。
しかし、日本の産業振興という点では、ここは極めて重要な地域。医療機器や実験用機器に関係する業種の密集地だからだ。日本におけるこの分野の卸業態は、マーケティング機能を有しているから、極めて重要な役割を果たしているのである。
そんな地域になったのは、先進的な大病院が多かったから。(日本医科大、東京医科歯科、順天堂、東大、都立駒込)理屈だけのベンチャービジネスしか語れない先生方とは違い、この領域のお医者さんは、ビジネスと緊密な連携をとりたがるもの。それを欠くと思ったことが実現できないからだ。ここで、ちょっとした後押しができれば、大発展もありえよう。
だが、行政はこうした昼間人口に対する施策はおざなり。選挙民たる夜間人口のニーズに応えるのが政治だから致し方ないが。
ここを突き抜けて欲しいもの。

ただ、大森・蒲田が一緒になった大田区はどんなものか。
羽田空港が含まれるので、羽田特区ならわかるが、西部は住宅地であり、反経済発展的な風潮が満ちていておかしくない。
もちろん、日本経済を支えてきた産業集積は存在するが、少々の規制緩和で町工場の活力が高まることは考えにくい。それに、近年は、倉庫・工場が密集していた運河地帯の公園整備化や住宅化が著しい。そんな動きが日本経済活性化を牽引するとも思えないし。 

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