表紙 目次 | 2014.5.23 TPP実質決裂でなければよいが…APECの機会を利用してTPP閣僚会合が開催された。それをどう見るか。マスコミのトーンは分かれているという。 「大きく前進」=前向き 「対立解消に努める」=中立的 「合意に至らず」=悲観的 12月、2月に引き続き3回目だが、期限の設定さえできない。・・・これは事実。 従って、なんの前進もなかったと見るべきと思うが、そのような悲観的報道は少ない。 担当相の、交渉の実態を語る言葉からすると、楽観論主流の理由が小生にはよくわからないが。・・・「いつまでも(関税撤廃の)例外項目をゼロにすることに終始している」らしいし、それが今後も続けば「TPPは漂流」し始める可能性大と指摘しているのにもかかわらず。 TPPは関税交渉とは違う。こんな状態ではお話にならぬのでは。 従って、「前進に向けた強い機運と期待が生まれた。」といった手の発言は、上手くいっていないことを示す外交用語と見る。 ただ、それは素人考えらしい。 と言うのは、識者が失敗は有りえないと考えているようなのだ。 ・・・「日米は「実質合意」とまではいかなくとも、ほぼ落としどころは見えていると言っても過言ではないでしょう。」と。これには、ビックリ。 「TPP交渉は意外とうまくいっている」というのだが、本当かネ。 小生にしてみれば、単なる希望と違うかという気がするが。 まー、素人がそう考えるのは、自民党が農産5品目の関税撤廃に応じるとは思えないからである。 その一方、米国にとって見れば、そこが突破できないならTPPの価値ゼロとなりかねまい。要するに、日本は構造改革に踏み込む気は無いと宣言したと受けとられる訳だ。(まあ、曖昧な形で収めて、構造改革を避けようというのが日本政府の方針と見ているので、オバマ政権は無駄足を踏むだけと見ている訳である。) にもかかわらず、米国が交渉にご執心なのは、誤解しているからでは。 日本を先頭にして、米国の軍事力のプレゼンスを欲しいがため、どの国も思わせぶりな対応をしているせいである。 しかし、米国は、そんなバーター取引に踏み込むことなど考えもしていないだろう。各国もそれを感じ取っている筈だが、それを前提にした交渉とはしていないのでは。これはボタンの掛け違いになりかねないから、およしになった方が良いと思うのだが。 なにせ、米国にとっての最重要国はあくまでも中国。その関係をこじらせる方向に進むことは考えにくかろう。たとえ、紛争発生の明らかな兆候があったところで、軍事的なプレゼンスで影響力を行使するつもりはなかろう。 G7は目前に迫っているが、その辺りで交渉が煮詰まって来るというのも考えにくいし。 短期間でそんなことができるなら、とっくの昔に解決している筈だからだ。12ヶ国も参加している訳で、なにをするにも時間がかかるのは致し方なし。会合が開催されたからといって、前進を意味するとは限るまい。 少なくとも、現時点で曙光が見えてきたと語る関係者はいないようだし。 これからは、2ヶ国協議促進で進展を図る所存と口を揃えていそうだが、はたして時間的に間に合うのだろうか。次回の会合は7月のG20だろうが、米国中間選挙は11月。先送りすれば、8月のASEANで合意形成を図ることになろうが、それでは遅すぎ。 (吉崎達彦氏のサイト) かんべえの不規則発言 2014年<5月20日> (日経の記事) 首相「TPPいい進み具合」 甘利氏が報告 2014/5/22 2:07 TPP「妥結へ共通見解確立」 閣僚会合が閉幕 今夏合意へ詰めの調整 2014/5/20 19:58< /FONT> 政治への発言の目次へ>>> 表紙へ>>> (C) 2014 RandDManagement.com | |