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2014.8.14

地方を創生したいなら…

「総務省まち・ひと・しごと創生推進本部」の第1回会合が開催されたのが、7月31日のこと。全省庁のトップバッターであることに意義があるようだ。
なにせ、「今まで進めてきた地域の活性化」をさらに続行というだけの話らしいし。重要なのは、「今回の内閣の方針に沿って貢献しようという意気込み」ということ。
総務省の路線はすでに打ち出し済だから当然の姿勢といえよう。

そのスローガンは、確か、「地方中枢拠点都市」作りだったか。・・・素人には中味はよくわからないが、拠点自治体の行政能力強化ということなのだろう。誰が見ても、自然な成り行きである。拠点都市以外の地域では、人口減少が加速化しているし、住民の高齢化率も激増中なのだから。
言うまでもないが、税金で安穏として食べることができる職業以外に、若者が目指す就職口が見つからない社会になってしまった結果である。一旦、そうなってしまえば、楽勝の生活を送っている層の天下となり、この流れが進む一方となる。

換言すれば、施策の大原則は、税金で食べる楽勝派の地位安定ということ。

その典型が、「高次地方都市連合」。
総務省の構想とはどう見てもソリが合いそうにないが、楽勝派が大喜びしそうなスローガンである。名称から想像しただけだが、都市間幹線高速道路作りとしか思えないからだ。

まあ、どちらの施策にしても、バラ撒き邁進は間違いないところ。
地方の楽勝派もこれで当座一安心では。

言うまでもないが、地方再生「運動」に熱心なのは、こうした楽勝派。新陳代謝を阻止し、より巨額のバラ撒きをさせるために大奮闘する訳である。従って、こうした「運動」が活発化すればするほど、税金依存体質が深化していくことになる。
その成果の典型が、「ふるさと納税」制度。
「Uターン」助成も似たようなもの。土木建築分野外で求人が生まれている状況には程遠いのだから。

つまり、楽勝派が税金を喰い潰す状況が続く限り、地方創生などありえないということ。
要するに、新陳代謝を促進する方向を打ち出せるかどうかが勝負。

例えば、シャッター通りの商店街に補助金を出して、衰退防止を図るなど本末転倒。「なんとしても皆で頑張ろう」という精神論で、楽勝派が、バラ撒き先拡大を図っているだけのこと。
本気で「創生」したいなら、例えば、土地の価格を最低にまで落とせばよいのである。そして、大規模再開発に賭ける企業家を見つけて引っ張ってくる。当たり前だが、そこまで漕ぎつけるだけでも極めて難しかろう。しかも、その先、成功が約束されている訳でもないのだ。
しかし、だからこそ、その方向に進み始めた瞬間、当事者にとてつもない緊張感が張り詰める。そういう環境下だからこそ、画期的なアイデアが生まれる。
これを、イノベーション創出の仕掛け作りと言う。

地方を再興したいなら、イノベーションに賭ける以外に手があろう筈がなかろう。


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