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2014.9.21

オバマ外交にはこまったもの…

オバマ大統領は、「アラブ諸国を含む40カ国以上が(イスラム国に対する)有志連合の一部として支援を表明した」と述べたとのこと。
(「フランス、対イスラム国のイラク空爆参加へ=オバマ米大統領」 2014年 09月 19日 09:13 JST ロイター)
そのような「国際協調」にどれだけの意義があるのだろうか。
米国が一手に責任を持って対処する時代は終わったから、新しいモデルで世界安定を図ろうという話のようだが。
we are committed to working with countries
 in every corner of the globe
 to match the campaign’s requirements
 with the capabilities
   they are willing to bring to bear.

The fact is that,
 if we do this right,
 then this effort could become a global model
 for isolating and undermining other extremist hreats
  around the world

(Secretary Kerry’s Opening Statement SFRC Hearing on Iraq, Syria, and Threat Posed by Islamic State of Iraq and the Levant September 17, 2014)

コレ、考え方がおかしくないか。
原理主義者にとっては、"isolating"こそ望むところだし、最終的には聖戦としての地上戦に持ち込みたいのは自明。ほぼ自動的に兵士の現地調達ができる最高のチャンス到来だし、西欧でもテロリストが続々と生まれることになるから、組織は弱体どころか強化可能。
その流れに世界がのせられていると見ることもできよう。

そもそも、こうなるのは初めからわかっていた筈。
しかし、それをできる限り覆い隠してきたのである。国務長官自ら、原理主義者はシリア反政府勢力はいないと発言して、ロシアに嘲笑されたくらいである。

どういう目的で、こんなことまでするのか皆目わからん。・・・
 米軍は、
 「イラクのイスラム国家」は
 基本的にインターネット上の組織でしかなく、
   組織内に
   実際に
   バグダディ師と呼ばれる人物は存在しない
 と主張してきた。

  (AFP 2009年04月23日 23:29@バグダッド/イラク)

その一方で、原理主義者を支援してきたのだ。
その辺りの証拠は、当然ながら明らかではないが、Rand Paul上院議員[共和党茶会系リバタリアン]が、CNNインタビュー[June 22nd, 2014 11:02 AM ET]で明言しているから、間違いなかろう。
 now we have a chaotic situation.
 We have a vacuum.
 And I think
  one of the reasons why ISIS has been emboldened is
  because we have been arming their allies.
 We have been allied with ISIS in Syria.
 They have had a safe haven
  because we have been arming the rebels
    to keep Assad away from them.


アフガニスタンで学んだのかと思いきや、それに懲りず、原理主義武装勢力を利用してシリアを混乱の坩堝に追い込んだのである。
いかに悪辣な独裁政権だろうが、限られた地域に押し込めておけるなら、原理主義宗教勢力の国家ができるよりましとは考えないのだろうか。それが「国際政治」の現実対応だと思うが。ことは市民運動的な対処で解決できる問題ではないのである。アサド体制を壊せるなら、後は野となれ山となれということではこまるのである。

オバマ政権は、アジア政策にしても、なにを考えているのかさっぱりわからぬ。
以下のように映るからだ。
 ○既存秩序の軽視・・・地域不安的化を放置
 ○同盟国軽視<・・・信頼性喪失の方向を選択
 ○意味ある選択肢案出能力の欠如・・・基本は先送りによる様子見
 ○市民運動的な口先だけの人権重視・・・無責任な民主化支持発言だらけ
 ○無内容なアジア旋回方針・・・クリントン訪問だけだったアジア重視策
 ○訪問外交以外の手持ち施策ゼロ・・・官僚まかせの押しつけ外交に終始


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