表紙
目次

2014.10.10

政党支持率を眺めて…

時事通信9月5〜8日の世論調査では、安倍内閣の支持率は5割を越えた。不支持率は27.3%。

政党支持率で見ると、与党はようやく3割を越えたところ。一方、諸派の集まりと化している野党は全部集めても1割を割り込んだ状態。
 (与党支持合計) 30.9%
  自民 27.6%
  公明  3.3%
 (支持政党無し) 59.9%
野党勢力は、今や、争点さえまともに提起できない状態。課題の一致もできないのに、ただただ大同団結を図ろうという掛け声がかかるという、箸にも棒にもかからぬところまで追い込まれている。まあ、政党と言うよりは、選挙互助会に近い組織らしいから、おかしな動きという訳でもないが。

それに反して、与党内では、路線対立や、派閥の人事抗争が表面化していない。
こうなれば、支持政党無し層も、ほとんどが与党を支持することになろう。その結果が、冒頭で引用した支持率に繋がっているということだろう。

まあ、それも致し方なかろう。
日銀による国債ファイナンスで地方へのバラマキを実施する方向へと振ってしまったのだから。ルビコン川を渡ってしまえば、そのうち財政破綻の大混乱。どこまで破綻を先送りできるかが勝負の世界に入った訳である。そうなると、政策云々の前に、政治的安定を最優先することになる。
外交的大失敗でもしない限り長期政権になっておかしくないと言えよう。

言うまでもないが、自民党とは、産業の新陳代謝阻止が信条の政党であり、資本コスト割れの事業や、必要な労働力の数倍を投入する極端に生産性が悪い産業を維持することに命をかけるトンデモ保守勢力。アベノミクスとは地方への大バラマキ復活と、円安誘導によるグローバル企業への梃入れで、短期的な経済成長を図っただけ。
但し、期待ゼロの政策ばかりという訳ではない。そのため、一定の評価が生まれることになる。
 女性の起用
  ・・・女性の労働力化は成長率に寄与する。
 首都圏特区(規制撤廃)
  ・・・これは経済発展の起爆剤になりうる。
 労働規制の柔軟化
  ・・・日本企業の競争力向上には重要な一手。
 年金基金の脱国債保有主義(今更、遅すぎ。)
  ・・・年金によるバラマキ支援などもっての他。
銀行は国債を買うだけの機関になりはて、資本主義経済での本来の役割を果たせなくなっており、民間投資にかわって、お役人がただただ税金投入を図るというのが地方経済の実態。そんなところにいまさら首を突っ込んだところで、事態は悪くなるだけ。上記はそれとは無縁だから、筋は悪くない。

ただ、それらがお化粧だけの可能性も高い。自民党の体質を考えると、どれも喜んで進めるような施策とは思えないからだ。TPP推進にしてから、どうせ口先だけと見る人も少なくない。頓挫すれば万々歳の人達が支持基盤なのだから。

従って、本来なら、上記のような政策は、野党が提起しそうなものだが、そうはならない。最大野党の民主党とは、自民党を凌駕する規制大好き勢力だからだ。しかも、際限なき大バラマキ集団とくる。要するに、バラマキ方向というか、税金分配の仕方が自民党と違うだけ。従って、政権交代は自民党的配分秩序が変わる可能性もあったが、現実にはなにもせずじまい。
しかも、人材が欠乏しており、政権担当能力ゼロであることが露呈してしまった。その上、ただただ総理大臣になりたいだけのトンデモ宰相をかつぐなど、有害無益の野党と見た人も多かろう。

ただ、それは国政であって、税金バラマキ現場たる地方自治体では、分配に影響を与える政治勢力として活躍の場は多かろう。分配権益層にとっては有り難い勢力なのだから。従って、現在の支持率は、それを反映した最善の数字と言ってよいのでは。
  民主 4.0%

民主党は、国政では、すでに役割を終えた政党ということ。ただ、コア支持層は、収入が保証され、安寧な地位を獲得している人々が中心であり、その人達は旧型サヨクも含め、反政府姿勢を示すことを意気に感じているから、一定の支持率は持続することになるようだ。日本のマスコミ業界には応援者も少なくないから、その支持率は実力以上の数字となりがちだが。
  共産 1.8%
  社民 0.7%

残る政治勢力は、自治体の土着的な職業議員の全国組織を欠くので、選挙運動が弱体なため、諸派状態から脱するのは難しかろう。しかも、信念のもと行動する政治家の集まりでもなさそうだし。職業政治屋的センスで動くから、今後も右往左往が続きそう。
  みんな 0.3%
  結い  0.1%

特筆すべき点としては、国政に、極右と見なされる政党が始めて登場したこと位か。
  維新  0.9%
  次世代 0.2%

(データソース)
政党支持率、自民党が27.6%と引き続きトップ=時事世論調査
【図解・政治】政党支持率の推移(これまでの推移)


 政治への発言の目次へ>>>    表紙へ>>>
 (C) 2014 RandDManagement.com