表紙 目次 | 2014.12.20 民主党代表選挙のつまらなさ…時事通信によれば、1月の民主党代表選は、野党「再編」に積極的なグループと、反労組姿勢露わな維新を含んだ野党共闘を嫌う、党「再建」勢力の対抗戦になるらしい。前者が勝利し、再編に動き始めると、参議院の労組系議員との分裂状態になる可能性もあるとか。正直のところ、どうなろうとかまわないという以上でも以下でもない。 この党がゴチャゴチャなのは、組織図を見た瞬間わかる話。 ・顧問は10人。 ・辞任した代表、代表代行、副代表と、組織の代表がなんと8人。 ・幹事長、幹事長代行、幹事長代理、副幹事長合わせて14人。 ・政策調査会は、会長、会長代行、"筆頭"副会長、副会長で18名。 これで、どのような形でリーダーシップを発揮するのだろうか。 支店長代理と同じで、営業上、対外的に通りのよいタイトルを謹呈する必要があるのはわかるが、この組織は特別である。リーダーシップを発揮させない体制を恣意的に敷いているとしか思えない。 (スパイを名誉職に祭り上げ、実権を握る独裁者が、批判者をでっちあげで次々と追放してきた組織もある訳で、それに比べれば素晴らしい体質の一語につきると言えなくもない。) それは支援組織の文化が移築されたということかも。 この党は労組支援政党と呼ばれるが、その肝心の連合自体が政治的に一枚岩になれる訳がないからだ。 労働組合によって体質は180度違うし、個別課題での方向性が真逆であったりして、これを一つにまとめることは原理的に不可能。主要組合を見た瞬間、それがわかる筈。・・・自動車労連、UIゼンセン同盟、電力総連、電機連合、情報労連、基幹労連、自治労、日教組、JP労組、JR連合。 しかも、選挙区事情で自民党候補になれないから、民主党から立候補しているとしか思えない議員も存在する。信条も政策の方向性も全く異なっているが、票が増えるなら労組支援歓迎というだけのこと。当選可能なら、明日からでも別組織でもかまわない訳である。 さらには、与党と蜜月状態の組織と競合状態にある宗教団体の支援を受けている議員も少なくない。 要するに、この党の本質は、非与党の選挙互助会組織ということ。(政党補助金獲得のための議員ビジネスの組織と見ることもできる。それはそれで致し方ない。) 従って、波風を立てずに、立候補者を決めるのは簡単ではない。融和を旨とする、海江田万里民主党代表が、政党補助金の貯金以外になにもしなかったのも無理はない。 方針にしても、常に玉虫色。全国政党支持率で、ほとんど泡沫政党並にまで落ち込んでいても、すぐに動けないのである。 そのような党首に声援を送る人が減るのは当たり前の話で、与党の攻勢なくしても、落選した可能性は高い。 もともと、東京都議会では民主党は共産党に次ぐ第3党でしかないのだから。 東京ブロックの実投票数を見ればわかるが、与党の自民185万、公明70万に対して、民主94万、共産89万、維新82万、次世代25万、社民13万、生活16万でしかなく、民主党とはOne of themでしかない。個人的な人気を失えば、小選挙区でベタ負けし、比例復活はおぼつかなくなる。それだけの話。 この状態だと、野党合同に進もうと言っても、無理難題に近い。 反与党と言うだけの、なんの一致点もない、野合の選挙互助会組織ができるだけだから。 それに、どうにか纏めることができても、現段階では、比例区でさえ、数字的に見て政権交代へ踏み込めるとは言い難かろう。万一、差が縮まる兆しでも出れば、与党は、類似勢力の一本釣り作戦を始めてもよい訳だし。 [ブロック] 与 党 民+維 北海道 42.0% 37.3% 東 北 44.1% 35.3% 北関東 49.2% 31.6% 南関東 46.7% 33.0% 東 京 44.1% 30.4% 北信越 45.5% 36.1% 東 海 45.7% 38.0% 近 畿 43.5% 38.4% 中 国 54.7% 29.7% 四 国 50.5% 33.5% 九 州 52.0% 29.0% と言うことは、次の選挙で参議院も自民党が過半数を占めることになると見てよさそう。この先、民主党は批判役の少数政党として生きていくしかないことになる。 もちろん、その道もジリ貧必至。反与党票は、バラバラで地に足がつかない政党から離れるのは当たり前。次第に、政治体制を揺るがすことがなさそうな、地場御用聞き路線の政党に向かうことになるのは必然だからだ。 実際、大都市では、すでに、共産党と民主党の集票能力にたいした差はない。 [ブロック] 民/共比 北海道 2.29 東 北 2.28 北関東 1.53 南関東 1.48 東 京 1.07 北信越 2.20 東 海 2.43 近 畿 0.97 中 国 1.87 四 国 2.06 九 州 1.77 民主党は先細り路線に入りこんでいるのは間違いない。ただ、それは自民党にもいえること。比較において、民主党の方が没落スピードが速そうというにすぎない。 比例区 自 民 民 主 (万票) 2003年 2.066 2.210 : 2012年 1,662 __963 2014年 1,766 __976 しかし、再興のチャンス無しと決めつける訳にはいくまい。 バラバラなまとまりのない野合組織風土を変えることができれば、原理的には変身は可能だからだ。 一つは、単純なもの。党首がリーダーシップを発揮し始めれば変わるかも知れぬという、なんの根拠もない期待感に基づく動き。もちろん、党首変更と組織いじりでなんとかなるものではなく、トップの超人気にあやかろうという手。確かに、労組員から一般大衆まで、広く人気を集めることができる政治屋が登壇すれば、突然、状況が変わることはありうる。 この場合、重要なのは政策の中身ではなく、個人「人気」と、そのイメージ維持費用。・・・当然ながら、それは今以上のポピュリズムの政治を始めるということ。 おそらく、今の野党はそちらに流れていくだろう。それが可能な人物がいるかはなんともいえぬが。しかし、年末選挙でも正社員問題を取り上げた姿勢からみて、ポピュリズム路線で走り始めているのは間違いない。 もう一つは、現実を直視し、まともな提言を始めること。これは現在のコア層の支持を失いかねない動きでもあるから、かなり難しい。カルト的な取り巻き学者と政治屋的ジャーナリストを排除することになるから、マスコミとの親和性も悪くなること間違いなし。 そのかわり、多少は意味ある政策を打ち出せるかも。ただ、それが注目を浴びて支持率上昇に繋がることはなかろう。従って、この方向に進む可能性は低そう。 それに、こちらに進むためには、先ずは、まともに議論できるコミュニティを党外に立ち上げる必要がある。曖昧な実像を作り上げ、大騒ぎする取り巻きに頼っている政党だから、これは難しかろう。 例えば、以下を見抜ける力がないとこまるが、そんな人材が集まるとも思えない。 老人も定年後に働かざるを得ない社会が来ているが、現在の仕組みのままで、正社員雇用したい経営者がいるとは思えまい。その数はどの程度で、家計状況はどうなのか。 資本コストマイナスだったり、戦略的に合わない事業もかかわらず、雇用問題上続けている事業は少なくない社会。しかも、実質的に公的セクターが行ってきた雇用対策も少なくない。本来的には失業者たるべき層を抱え込んでいるのだが、それはどの程度なのか。そのコストと失われてしまった投資はどの程度と見込まれるのか。 まあ、できそうにないことを追求しても無駄では。 そうなると、政党として、参議院議員に自由度を与えることが一番ではないか。衆議院で与党が2/3以上という再可決可能な議席を占めたから、超党派でフランクな議論ができる場を育てることに徹したらどうだろうか。 衆議院はそのお手伝い役に徹するということで。 政治への発言の目次へ>>> 表紙へ>>> (C) 2014 RandDManagement.com | |