表紙
目次

2014.12.31

2015年はアベノリスク元年

誰が言ったか、「アベノリスクは大成功」。政権はあと4年持つということで。
確かにそうなれば画期的。

新陳代謝阻止"命"の人達が、大バラ撒きと円安による経済刺激"だけ"で国を変えようと目論むのだから、これ以上の筋悪政策は滅多にない。まあ、金融的バブルは生まれるし、グローバル企業は名目利益が急増するから、そこ"だけ"は活気付くのは確か。
もっとも、野党第一党とは、さらに輪をかけた、規制による社会固定化大好き人の集まり。"大"を凌駕する、できもしない超バラ撒き主張派だらけ。
こうなると誰でも財政破綻までの道のりを考える。そして、どちらが長持ちするかの選択を迫られる訳で、答は自明。

まあ日本だけでなく、エコノミクスの結果はおおかたの予想通り。
その先ははたしてどうなるか。
ちょっと目を通しておこう。

【米国】
誰が見ても、経済復活基調。流石、アングロサクソン的自由経済信奉者の国である。
但し、ドル基軸通貨だからこその成功物語。自由な資本投資が可能であり、資本効率が高い商品交易体制も敷くことができる訳だ。この仕組みに上手く乗る国は、一緒に発展可能だが、この体制を突き崩す動きが露わになっており、この先、長く続けることができる訳ではない。
米国覇権打倒を目指す、新興国と国際官僚がブロック経済化へと旗を振ってしまった訳だ。歴史の教訓の否定であり、その結果、なにを招くかは定かでない。
ただ、米国覇権の慣性力は小さなものではないから、すぐには変化が見えてはこないかも。徐々に、先進国の資本効率が低下していくことになるのだろう。

【欧州】
ついにニッポン化。名目ゼロ成長とデフレ化が待ち構えている。
もっとも、似ているのは表面だけ。盟主たるドイツの指導者層は、早晩奈落の底に落ちるしかないニッポン的政策は断固阻止の姿勢。麻薬投与は破綻の道邁進策との原則論堅持。ハイリスクよりは、経済成長1%路線でよかろう主義が貫かれている訳だ。
当然ながら、グローバル金融経済主義者は猛反発。それに、それでは政治的に耐えられない国も少なくないから、チグハグな政策が始まることになりそう。

【中国】
リー・クアンユー路線を見習って、世界最大の経済規模の国に仕立て上げた中国共産党は本格的な方向転換を図るつもりのようだ。抜本的な変革になるから、軋轢や様々な矛盾が一気に吹き出しかねない訳だが、一旦着手した以上、中止するには政権転覆しか有りえぬから、どうなるか。
経済政策から見ると、「アベノリスク」と「リコノミクス」は正反対。前者が国家社会主義で、後者が自由経済主義に映るから面白い。
 アベは大バラ撒き、
   リコは反バラ撒き。
 アベは国家投資刺激論、
   リコは脱国家投資刺激論。
 アベは借金財政主義、
   リコは反借金財政主義。
 アベはカルテル好き、
   リコは競争導入好き。
 アベは産業の新陳代謝抑制、
   リコは産業の構造転換推進。
 アベは低生産性農業維持、
   リコはサービス産業振興。
これだけ違いが大きいと、米中蜜月的になるのは無理もなかろう。
もっとも、それを狙った周到なキャンペーンと言えなくもない。金融改革と言いながら、デフォルトの一つもない訳で、不良債権先送りを始めているのは間違いない。と言うか、スローガンと実態は違うのは当たり前の共産党十八番を打ち出したとも言えそう。結局のところ、さしさわりのなさそうな所だけしか手をつけないかも。アベの口だけ特区と、リコの形だけ転換の宣伝競争とも言えるか。
それでも、日本よりは格段に自由主義的とは言えそう。なにせ、日本は、グローバル企業が中心の狭くて小さいコミュニティ以外は、おしなべて反自由主義経済圏なのだから。
胡錦濤時代に、日本政府は社会主義政策を止めたら経済不振から脱出できるのではと言われたらしいが、それは今でも言えそう。日本の主流は国家社会主義者が押さえているということ。

それにしても、不思議である。
何故に、自由経済信奉者らしき人々が、このような国家社会主義的な政権を支持するのだろうか。

そもそも、自由経済を嫌う人達が支える政権が構造改革を進めるとは思えまい。
従って、こうした政権下での金融緩和政策とは、日銀ファイナンスによる国債購入以外のなにものでもなかろう。そして、資本コスト割れ企業が延命することになる。

そうそう、日本の債権市場は、ほとんど国家管理化と言ってもよいのでは。それに、消費税導入の際には、国家的ご指導のカルテル政策が復活した如くに映ったし、これが自由主義経済の国とは思えないほど。
多くの地方経済は、すでに税金補填業種で支えられるように変わり始めており、消費を支えるのも、そのあがりと、年金・医療/介護保険。それだけでは情けないから、国土強靭化と銘打って、超巨大な公共投資に勤しむことになることはミエミエ。

・・・小生には、国家社会主義者のハイリスク政策推進中の図に映る。国力的に余裕を失っている時にこのような方向に進めばどうなるかは自明だと思うが。

と言うことで、「アベノリスク」2014の最高金賞は、"本社地方移転に補助金(減税)"か。
ついに、産業競争力低下策止む無しへと一歩踏み出した訳である。円安政策を続行するから、政府の代理として地方にバラ撒けという訳である。
ハコ物投資が労働力不足で頓挫したので、大いに知恵を絞った成果である。

 政治への発言の目次へ>>>    表紙へ>>>
 (C) 2014 RandDManagement.com