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2015.2.3

「イスラム国」より重要な問題があろう

連日連夜、情報が枯渇しているにもかかわらず、「イスラム国」の報道ばかり。できることはたいして無いから、様々な「考察」話だらけになるが、それにどれだけの価値があるのか、はなはだ疑問。
現政権の対応にしても、欠陥があったとは思えないし、極く当たり前の動きをしただけでは。それで十分ではなかろうか。

その影に隠れてしまったが、もっと重要なニュースを忘れてはいまいか。
こちらここそ、「考察」が必要だし、どのようなオプションがあり得るのか考える必要があると思う。もちろん、オバマ政権の後を考えての話である。・・・
ロイターが米第7艦隊司令官とのインタビュー記事を流したのである。言うまでもないが、日・フィリピン防衛相会談を踏まえたもの。

印象から言えば、予想より早く、米国は東アジアから戦力を引き上げるつもりということ。
なんとなれば、米海軍第7艦隊司令官が、「将来的に自衛隊が南シナ海で活動することは理にかなっている」と言いきったからである。

「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の改定を控えて、日本の役割拡大を狙った発言と見てよいだろう。当然の流れと言ってよいだろう。米中蜜月を続けながら、面倒なところは日本におしつけようというのが米国政府の考え方であるのは歴然。

そうなるのは、米国は、基本的に、中国の軍事力を脅威と見ている訳ではないからだ。しかし、中国は、露骨に中華意識を発露しながら覇権拡大を図っており、それに逐一対応するのは面倒極まるといったところ。そのような勢力拡大を阻止する気力は失せているのが現実。
ここの現状認識の確認が先ずは一番重要だろう。

つまり、中露軍事同盟化などありえないと見ているということ。これだけは、危険極まりない訳だが。
と言うのは、ロシアはソ連時代から引き継いでいる独自軍事技術を持っているからだ。ここが中国とは違うところ。中国の軍事技術は米国の一歩遅れの物真似に過ぎない。米国にしてみれば、中国の力量推定は容易である。結果、近代化は進んでいるとはいえ、未だに、量的凌駕という伝統的な枠組みから抜け出せていないと見なしている筈。

従って、東アジア海域における米軍のプレゼンスを縮小してもよかろうと考えているのは間違いなかろう。と言うか、現実を考えれば、無い袖は振れぬ状態に陥ってしまったに過ぎない訳だが。

まあ、そんなこともあり、中国は反撥。
環球時報社説では、「米国は日本が空軍のパトロール区域を南中国海にまで拡大することを歓迎する。南中国海における中国の漁船、海警と(海軍)は近隣国より強大だからだ」と述べた点を問題視している。
この発言を、中国の反応を見るための観測気球と見なしており、しばらく、米中の探り合いが続くことになろう。
習政権は、解放軍の力に依存して党内粛清を続けるしかないから、日中融和に振ることはできない。従って、軍事的緊張路線に進む可能性は高かろう。危険な時代に突入する訳である。

(記事)
南シナ海の哨戒活動、自衛隊に期待=米第7艦隊司令官 2015年 01月 31日 13:13 JST ロイター
自衛隊の南中国海進出に中国は断固反対すべき 人民網日本語版 2015年01月30日14:32
日・フィリピン、海洋安保などで一致 防衛相会談 2015/1/29 20:45 日経


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