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2015.2.23

You do you 政治が本格化

<2015 National Security Strategy>が発表された。一言で言えば、"strategic patience"である。
要するに、
 a high-toned euphemism
 for doing as little as decently possible
 in response to crisis.
ということ。

まあ、こうなる訳である。・・・
 You do you, Vladimir Putin.
 You do you, Ali Khamenei.
 You do you, Bashar Assad.
 You do you, Abu Bakr al-Baghdadi.
  :

なにせ、オバマ政権における戦略課題には、ロシア、イラン、シリア、イスラム国、といった具体性ある話は一切含まれず、核拡散、テロ、気候変動、感染症といった抽象的文言だらけ。おそらく、優先順位付けがさっぱりできない人達が指導する政府なのだ。
「戦争は悪」と叫ぶだけの市民運動家であることがよくわかる。笑顔と心地よい言葉で人々を動かせると信じているのだろう。情緒的な美しさに酔うヒーローを目指していると言えなくもない。
お蔭で、実際にヤル事は支離滅裂。リビアも、エジプトも、シリアも、ウクライナも。火をつければどうなるのはわかりきった話なのに、あえてそれを進め、その後は頬被りと来る。ウクライナなど、反露極右国粋主義者まで支援し、挙句の果てに戦争一歩手前の制裁まで始めかねない状態に。それで、何を得ようというのか。欧州の指導者達から見ればえらい迷惑な話だ。

しかし、それでもと言うより、だからこそ、オバマ支持者は支持を崩さないのだと思われる。国外活動については、なんであろうと、派兵を避ける姿勢を見て、ブッシュのような大失敗を避ける「賢い」大統領を選んで良かったと安堵していそう。

もっとも、民主党でも、自称左派になるとそうはいくまい。又、何時もの様に、レトリックで誤魔化す気かと憤ること必至。ドローンで住民を死傷させ、悪逆な諜報活動を進め、グアンタナモ収容所にも知らん顔をしてきた、口先だけのけしからぬ偽善者ということになるからだ。
確かに、グローバルな課題である金融や炭素排出では人任せに徹しており、ヤル気が無いのは一目瞭然。移民政策にしても、風見鶏的な姿勢が目立つ。これが我々が選んだ大統領なのかと怒りをぶつけたくなるのは当然だろう。

その一方で、もともと批判的な層は、ますますの混迷ぶりに辟易としてくるに違いない。これで、ますます米国の国際的地位は落ちていくこと間違いなしなのだから。ウクライナから、アラブ-イラン-アフガンまで、さらに事態は悪化するのではないかと心配になるだろう。

しかし、ここまで内容の無い安全保障の作文を発表して悦に入る人達だらけの政権は珍しいのでは。当然ながら、批判は激しさを増すだろうが、それに2年間知らん顔をするというのが、まさに、"strategic patience"ということなのだろう。

(@WSJ) "President BuzzFeed 'You do you' is the ultimate slogan for the ultimate self-referential presidency." By Bret Stephens Feb. 16, 2015 7:26 p.m. ET
(@FP) "Rice Pudding" BY DAVID ROTHKOPF FEBRUARY 6, 2015


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