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2015.4.12

英国総選挙記事で「他山の石」感

ガーディアンは、スノーデンが米国の秘匿資料公開先として選んだ新聞である。英国紙というより、英語紙だろう。
5月の英国総選挙は激戦となるということで、ざっと眺めてみたら、示唆に富むコラムに出会った。たいして読まれてはいないようだが。
実は、この見解が妥当か否かに関心がある訳ではなく、日本の状況を考えさせられてしまったのである。・・・
Paul Mason:"Three new tribes of voters will dominate this election ─ None of the major parties has accepted the faultlines emerging between Scandi-Scotland, the asset-rich south-east and post-industrial Britain " Sunday 29 March 2015 20.00 BST The Guardian

イギリス[UK]を政治地域的に3つに分けることができるというのが骨子。こちらからしてみれば、地理上の意味はどうでもよく、その体質基盤が身につまされる訳である。
 (1) Scandi-Scotland
   ・・・北欧化スコットランド
 (2) the asset-rich south-east
   ・・・資産富裕層の南東地域
 (3) post-industrial Britain
   ・・・脱工業化英国

【1】 スコットランド独立の問題も、その本質は、社会民主主義の北欧的政治を臨む層が圧倒的ということのようだ。独立への反対賛成とは別次元。独立には反対していても、心情は同じ。
“Welcome to the warm south of Scandinavia”ということ。
成程、ブレア型の労働党では、対応できる訳がない。
確かに、地方政府の産業振興政策は、グローバル志向であるし、北欧型の動きを感じさせるものがある。独立の主張は、国粋的なものと言うより、社民としての親大陸心情がベースということか。

つまり、北欧的な政策を嫌う中央政府とは肌が合わないことになる。それは、識者が必ず指摘する、南北格差問題から生まれている。
手厚い福祉国家が可能かはなんとも言えぬが。

【2】 金融業の中心地となったロンドンのお蔭で、南東部には経済的活況が生まれている。金融緩和とインフラ投資効果の結果、広範な地域で住宅価格が高騰。結果的に中高年層に資産富裕層が生まれた。
と言って、賃金上昇に繋がりはしないから、住宅市場に無縁な若年の不満は高まる。但し、それだけのこと。中央政府への政策支持は続く。
ただ、この現象が英国全体の動きに繋がることはない。スコットランドやウエールズは全く無縁のまま。と言うか、もしかすると、逆かもしれぬ。
間違えてならないのは、この「富」は、階級や民族とか、地域の風土とはなんら関係ないという点。ブローバル金融経済の拠点化に成功した結果というに過ぎない。
その辺りの流れを理解していたのが労働党のブレア政権だったというのがまさに皮肉そのもの。(そう思うのは海外の人間だからだが。)
繁栄の陰には、生活上の格差拡大がある訳だが、様々な雇用が生まれ、新たな文化も生まれるから、地域社会の魅力は高まることになろう。経済好況を享受きる人にとっては素晴らしい政治と感じるのは間違いなかろう。
おそらく、ブレア政権時代から、こうなることは織り込み済。その実現が最優先課題で、残りの話はお飾り課題でしかなかろう。

【3】 こうした2つの潮流には乗れない層が存在する。そういえば、いかにも、古典的な"rust belt"の人々を意味していそうだが、そうではないそうだ。ハイテク、グローバルな時代に突入したと考えている"良識"派の人達だという。ただ、ローカルな住民としてのアイデンティティは堅固そのもの。(地域的には、北部イングランド、南部ウエールズ、数多くの沿岸部の都市と、ほとんどの大都市が含まれる。)当然ながら、反資産家の立場であり、労働市場のグローバル化の流れとは摩擦を生じることになる。
政治的には、どっちつかずの層と化しがち。

確かに、3者3様。同床異夢どころではない。

他人ごとではなかろう。
こういう時代なのである。日本は政府のバラ撒きを続けることで、英国ほど表面化していないだけ。そのかわり、財政は実質的には破綻状態。

---7政党---
保守党 Conservative P.中道右派
自由民主党 Liberal Democrat P.中道
労働党 Labour P.中道左派
イギリス独立党 UK Independence P. 反EU
スコットランド国民党 Scottish Natioal P. ナショナリスト-分離独立派
緑の党 Green P. 左派-環境
ウェールズ国民党 Welsh Nationalist P. 地方分権派

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