表紙
目次

2015.4.29

統一地方選2015の感想

統一地方選2015が終了。これこそ典型的「盛り下がる選挙」そのもの。
区長候補、区議候補に、著名な政党役員が打ち揃った、狭い歩道上での街頭演説に遭遇して驚いた。平日たまたま用事で通りかかっただけの場所とはいえ、聴衆動員もかけない状態。周りは警備人と思しき人達と、ご近所の交通整理係りのみのようだった。これでは「ご通行中の皆様」と呼びかける訳にもいくまい。歩いているのは、速足で通りすぎる小生しかいないのだから。
これでは、と思ったら案の定落選。もっとも、対抗政党連合も落選。有名人を応援に投入しながらさっぱり支持が増えなかったのである。結局、当選したのは無所属。区民でないから実情は知らぬが、さもありなん。ゴタゴタしがちな問題に向き合って来た議員であることが知られていたからだ。
一方、衆議院選挙で、当時の海江田民主党代表が落選した選挙区でもある港区では、ついに美人区議ファン投票が始まったかと言われた。ファッション誌で見かけるようなイメージPR手法が駆使されているから、そう感じるのは止むをえない。一方で、そのような姿勢をえらく嫌っていそうな伝統的オジサン・オバサン候補が揃っているから、その対比が余計目立つ訳である。
ただ、その方々とはどこまで入るのか定かではないが。写真の撮り方からすると、こんなところか。・・・
 清家愛(民主) 3,326票
 柳沢亜紀(自民) 2,443票
 結城公美子(自民) 1,761票・・・うろ覚えだが前回も自民だったかナ。
 榎本あゆみ(維新) 1,238.7票
 橋本樹里(落選 元気) 693票
尚、組織選挙に徹していると言われる党の女性議員は、その手の戦いには加わっていないように映る。
 熊田千津子(共産) 2,579票
 近藤暢子(公明) 1,565票
1974年生まれの無所属候補のPR手法も一寸違うようだ。
 中前由紀(−) 1,614票

それはともあれ、どこの地域も結果はほぼ予想通りだった模様。・・・
"自民「1強」鮮明に=無投票と低投票率増加−地方創生の論戦低調・統一選【統一選】"(2015/04/27-15:34 時事)

なんといっても、ポイントは自民党が議席のほぼ半分を占めたという点。
そして、民主党の凋落。道府県の317議席が264議席へ。投票率が低かったので、この程度で収まったと見るべき。

一方、公明は169人の全員が当選。共産は111。
要するに、地方議員に求められているのは、地域への細かなサービス。問題解決に全力投球する議員が支持されるのは当たり前。「ご相談」を細目に行い、役所が動くように議会内で活発に動いていそうな議員が確実に票を集めているだけだろう。
従って、無所属を旨とする、狭い地域の地元候補や、これら2つの政党が堅調なのな当たり前。
もっとも、共産党だけは、「戦争する国づくり」反対とのスローガンを掲げてはいる。訴求の焦点は「10%消費税反対」のようだが。
当然ながら、公明党はこれに「軽減税率」で対抗する訳である。

それにしても、「地方創生の論戦低調」という指摘の無意味さ。候補者の主張を見る限り、そんなものに期待している人がいるとは思えないが。

アベノミクスとは、日銀の国債引き受けによるバラ撒き続行以外のなにものでもない。本来なら、もっと早い時期に、年金基金運用方針に手をつけるべきものを、今頃になって、全く意味が異なる方向転換を図るのだから、酷い。
この路線は、一度踏み込めば、止めようがない。バラ撒きを続けるのだから、脱出策などありえないのは自明。
なにせ、野党第一党の民主党は、自民党以上の大バラ撒き派とくる。

それでも、円安のカンフル剤はグローバル産業には大いに効く。競争力を秘めていながら、グローバル化に出遅れていたり、研究開発力を活かせていない潜在力がある企業を後押しする点では有り難い。
しかし、輸出で支える経済でない以上、日本経済が立ち直ってくる訳ではない。

もっとも、大多数の国民にとっては、そんなことはどうでもよいのであろう。

ほとんどの地域で、最優先の政治課題とは、新陳代謝阻止による社会の安定と、バラ撒かれる税金獲得競争に注力するの2点に絞られているからだ。
地域経済振興とは、様々なカネ蔓から、より沢山頂戴するために、他地区の成功例を真似た施策を打つだけのこと。プロジェクトの成功に賭けている訳ではなく、その推進でカネがバラ撒ければそれで大成功なのである。
従って、そのバラ撒き先を、支持者に好都合な方に仕向ける役割を担っている議員は人気が持続することになる。

先行きがどうにもならないのを知りながら、皆で、それ行けドンドンの大合唱で指導者層を賛美した時代と思考パターンは全く同じ。ただただ「バラ撒き続行」あるのみ。
もっとも、大きく違うのは、これが「ゼロサム・ゲーム」であることを、人々が認識し始めた点。おそらく、民主党の没落はここに起因している。
資産なき個人の成功は、他者から奪うしかないことが見えてしまったとなれば、今迄と状況は変わる。民主党は、ついに、奪っている層の政治勢力と見なされ始めたということ。そうなると、「弱者」に優しくと主張すればするほど、票は減っていく可能性が高い。

 政治への発言の目次へ>>>    表紙へ>>>
 (C) 2015 RandDManagement.com