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2015.8.28

習政権内紛発生でなければよいが

この数か月中国関連ニュースを眺めていたが、習近平政権の動きがチグハグにしたものに映る。
この7月には、中央政治局会議を2回も開催した。重大事態発生でもないのに、なんの必要があって2回も、と気になるではないか。5ヵ年計画でなんらかの対立が生じたのでは。

そして、その辺りから、やることなすこと、どこかおかしい。

一番馬鹿げた動きは、北朝鮮軍のドンパチ。

どう見ても人民解放軍の一部と金王朝間で打ち合わせ済みのデキレース。オバマ政権に朝鮮半島問題を丸投げされ、表立って動けない習主席を横目で眺めながら、金王朝支援開始のための動きとしか思えない。朝鮮半島の扱いで、政権内に路線対立があるのかも。
カリスマ的存在だった毛沢東でさえ、解放軍首脳と対立し、粛清を繰り返してきた国である。いかなる齟齬が発生してもおかしくなかろう。日本のマスコミ報道は、江沢民派軍人がパージされたとの解説だらけだが、解放軍に足がかりが無かった江沢民が、利権とポジションの大盤振る舞いをした時代の人々というだけのことでは。重要なのは、そこに、どのような路線対立があるか読み取ること。

これにわをかけたかのような動きが、天津港大爆発への対処。

現場は、北京の外港のような地域。前例から言えば即刻首相が登場する筈だが、それを避けたのである。この問題のために常務委員会が開催されたと報道された位の大問題の位置付けだというのに。
鎮火していないので危険度が高すぎただけかも知れぬが、中央での政治抗争に時間を取られた可能性もあろう。報道規制方針もはっきりしていなかったようだし。
(オフィシャルに派遣された専門家チームが持ち込んだ分析機器が神経ガスを検知したとの幹部発言報道がニュースに流れた。常識では爆発による神経ガス合成はありえない。この分析が確かなら、軍の特殊化学兵器置き場だった可能性がある。そうだとすれば、安全確認のために数日は必要となろう。)

あげくのはてに、人民元切り下げとくる。

多くの評論家は、元安で輸出産業に力を与え、経済再興を狙っていると解説。そんなことで世界経済の牽引車として力を発揮してくれるなら、どの国も大喜びだろう。
現実は、真逆と言ってよいのでは。自ら、経済低迷一途のはずみ車を回してしまったに等しい行為だったとはいえまいか。

日本と同じで、既得権益層の反撥を呼ぶ構造改革を回避する政権なので、いかんともしがたくなったということ。
構造改革無しに、住宅バブル抑制策だけ進めたのだから、資金は一挙に株式市場に流れ込むのは当たり前。しかし、リターンが幻想とわかれば即自逆流が始まる訳で、それを止める術などない。国内個人投資家が築いたバブルだからだ。
にもかかわらず、日本の真似をしてPKOを始めたのだから驚き。日本の市場は、中国のような国内個人投資家の世界ではないからだ。そのセンスのなさは信じがたいほど。下手をすれば、今のうちに早く売ろうという動きが生まれかねない訳で。
住宅投資が行き詰ったから、株式市場に移ってきたのであり、ここが駄目となれば先を急いで皆逃げ出し、新たな投資先に移るだけ。政府を信用する人がいない社会なのだから。

もともと金融へとカネが流れ込んだのは、すでにほとんどの産業で生産能力過剰に直面しており、国内での設備投資先が無いからでもある。従って、株式にはもう儲かる芽が無いと見なされれば、カネの行く先は海外となる。当然ながら、資本の海外流失が一気に発生することになろう。為替レートは元安に振れるざるを得まい。
元安は輸出産業に好都合と喜んでいられる状況ではなかろう。資金ショートに直面しかねず、緊急事態に陥る可能性さえあるからだ。そんなことになれば、世界に激震が走る。オバマ大統領が即自行動に動いたのもむべなるかな。
そもそも、すでに低工賃で謳歌する時代は終わっている。しかし、サプライチェーンの関係上、輸出が落ち込むといっても急落は考えにくい。次第に低成長化するだけのこと。構造改革先送り路線を選択している以上、無理なことはできないのである。元安になったところで、過剰な生産設備対処の先送りにつながるだけでたいした意味はない。肝は、あくまでも新規投資。

上記を眺めて見ると、どれを見ても、ピンボケな動きだらけ。わざわざ自滅路線を歩んでいるが如し。

そのような方向に進んでいるとしたら、熾烈な内部権力闘争が発生している可能性が高かろう。中華帝国の政治文化とはそういうもの。

内部分裂が発生していたりすれば、それは他人事ではおさまることはないので、大いに心配である。窮鼠猫を咬むで、粛清されそうな側がなにを始めるかわかったものではないからだ。米中会談前に、日米軍事同盟が機能していることを見せつけておく必要がありそう。
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