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2015.12.9

地域政党は国政に向くまい

「維新の会」の分裂泥仕合は、政権党に属さない議員の実態を知らしめるという点で、絶大な効果を発揮したといえよう。

地方の政治家には、単に地元へのバラ撒き争奪戦の旗振りと調停役が求められているだけ。役所への、地域のご要求伝達役さえこなせれば十分。特に、経済低迷地域であれば、ゴタゴタはプラスになる訳もなく、ボス政治体制しかなかろう。それが、さらなる社会の固定化を生み出し、発展の芽も出なくなるという悪循環。しかし、この輪を切るのは無理。そんな実情を考えれば、地方分権促進など学者の理想論。

そんな社会であれば、国会議員に当選するには、地方政治のこうした仕組みを通じて票を集める以外に手は無いのは当たり前。マスコミが宣伝してくれる人は例外的存在ということになろう。
この辺りが政治変革を進める難しさでもある。国策のイの一番は常に地方へのバラ撒きになるからだ。それでも、国政だから、それなりの統一的方針に基づいた方向感は出る。だが、地方は争奪に有利か否かで動くだけであり、方向感など皆無。そもそも、新陳代謝阻止のためのバラ撒きなのだから、なにをやろうが同じこと。

しかし、それを突破する動きもあると語る人もいないでもない。
その根拠は、地域政党「大阪維新の会」の活躍。「自民党+民主党+共産党」連合が惨敗で終わったからだ。報道によれば、開票直後に当確が流れたほど。
  知事選挙集票 1.92倍
  市長選挙集票 1.47倍

東京からだと、どのような現象がおきているのかよくわからないが、ともあれ既存政党を信用しない人々に応える政党が力を持っているのは間違いない。
ニュース解説を読むと、府と市の二重行政の余りの無駄さ加減をなんとかするには、これしかないという人々の意思が示されたということらしいが、小生などそのようには感じられない。
なにせ、「自民党+民主党+共産党」という何を目的にしているのか訳のわからぬ体制が生まれたのだから。いかにも怪し気で、常識的には、なんらかのバラマキ合意連合と解釈するしかなかろう。つまり、役所を通じた既得権益層バラ撒き続行か、それを出来る限り止めさせるかの二者択一が迫られただけでは。
沈滞経済の都市であれば、住民の生活レベルの低下は実感の筈。そんな環境下では、既得権益層優遇政治は嫌われて当たり前。それ以上でもなければ、それ以下でもなかろう。
丁度、そのようなニュースが流れたから、それが地域政党勝利を後押しした可能性もあるかも。期間契約で31年間努めた図書館職員への退職金支払い不要との最高裁逆転判決。誰が考えても、理不尽な既得権益擁護である。しかし、最高裁としては100%妥当な姿勢。これを認めてしまったら、大量訴訟が始まり、自治体財政はパンク。社会的混乱発生は自明だからだ。

ただ、既得権益層への不快感という点で勝利したにしては、選挙結果の数字はたいしたものではない。2倍にさえ達しないのだから。

ついついそう感じてしまうのは、東京の住民だからかも知れぬ。と言うのは、東京は、日本で例外的に経済が上向いている都市だから。そういう環境下では自分が既得権益層から外れている感は生まれにくいだけのこと。既得権益層優遇政策ではほとんどかわらぬ筈。
先日喫茶店の隅でのんびり本を読んでいたら、突如人々が周囲の椅子に。お蔭で、労働貴族とのとてつもない差別の実態という聴きたくもない話が耳に入ってくる羽目に。図書館職員訴訟同様の例など、東京でも氷山の一角と見てよさそう。

東京が違うのは、新陳代謝抑制ができないというにすぎない。地方政治の実態はたいしてかわらない。繰り返すが、地方の政治機構とは、既存政党によるバラ撒き先の協議決定機関に過ぎないからである。地域政策などスローガンが違うだけで、新陳代謝抑制方針という点では同じ。対立は見かけで、妥協はなんら難しいことではない。

日本の野党は、働く者や働いていない者を資本の横暴から守れというスローガンだけ。経済政策など何もないから、言うだけ。従って、公的援助のための財政膨張以外に方針は無い。当然、国債ファイナンスの出鱈目国家体制の最大の擁護者と化す。しかし、バラ撒き総額はそうそう増やせないから、結局のところ、正規雇用労働者の特権確保で落ち着くしかない。経済が下向けば、既存「国政」政治勢力のなかで一番最初に沈没する勢力と見てよいだろう。

その穴を埋めるのが、地域政党なのであろう。しかし、新陳代謝抑制が招いた副作用への不満を集めている組織以上ではなかろう。
言い方が悪いか。・・・誰が見ても無駄なバラ撒きを止めるという点では、経済低迷の地方政治では拍手喝采を浴びて当然。しかし、それだけのこと。

もちろん、国政でそれをやっても声援を受けることはできる。もうあの政党だけは国政をまかせてはアカンという人だらけになってしまっていても、民主党政権の公開予算査定だけは今でも人気が落ちないらしいから。そうそう、現政権も若手登用で無駄省きを打ち出しているのはご存知の通り。
しかし、そんなことをしたところで、経済の歯車が、低迷から再興へとギアチャンジする訳がなかろう。

しかも、ニュースで断片的に流れる政策の中身たるや呆れかえるような代物。東京の官庁を大阪「都」に移して大阪経済復興を狙うというのだからお話にならない。官庁主導の経済を大阪にということ。バラ撒きを期待して。

要するに、既存政党と同じ穴の貉。国政に参加したところで、なんの対抗軸も生み出せまい。

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