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2015.12.10

花は何処へ行ったのか?

タイトルを見ておわかりだと思うが、ほんの一部の方々にしか同意いただけなさそうなお話。

パリでのテロからそろそろ一か月。様々な報道が続いたが、日本のマスコミの特徴は、必ずと言ってよいほどリベラルを自認していそうな方々のコメントが付いた記事を掲載すること。
おそらく、客観的に様々な観点から冷静に事態を眺めていると語るのだろうが、これはテロリスト側に立つと宣言しているようなもの。
海外で、テロをKAMIKAZEと呼ぶのが間違っているのと同様の錯誤。

マ、どうとらえるかはヒトそれぞれとはいえ、テロが発生したら、とるべきスタンスは一つしかない。
  "Les méchants" と闘う気があるか?

その観点では、フランス文化には脱帽。いかにも移民系と思しき親子が混じる追悼広場での親子インタビューは秀逸。
子供は、父との会話を通じて、「花」とロウソクが、皆を守ると納得するのだ。

その通りである。

日本では祭祀的追悼には100%同調するが、こうした姿勢を単なる理想論と考える人が大半では。しかし、そのような発想は、実は、テロリストシンパを意味していることに気付くべきであろう。そんなことを言うと烈火の如く怒る人がいるが。

テロリストとは、単に暴力的支配が嬉しいだけの狂信者とその追随者。社会を揺るがすかのようなテロ発生との報道がなされることを自己目的化している連中。大騒ぎになると、国家間の戦争で指揮者を務めたつもりになって有頂天。追随者は英雄になったつもり。少数とはいえ、社会にはそのような人はどこにでも存在する。
テロは、社会構造がどうのこうのとか、劣悪な環境云々の問題とは違う。・・・日本が石油を輸入しているアラブの大国で人権が守られていると考える人などいまい。だからといって、そのような社会を許せぬと言わないのが常識。石油無しでは、やっていけないからである。そんな世界に我々は住んでいることを忘れるべきではなかろう。

テロが発生したら、治安組織や、軍の特殊部隊にまかせておく以外に手はない。国家権力とはそのために存在しているようなものなのだから。(チェックの仕組みが無いと危険なのは言うまでもない。)
そして、繰り返しで恐縮だが、次の質問にYesと答える人を増やすこと。
  "Les méchants" と闘う気があるか?

間違えてはこまるが、それは、テロリストとの「戦争」を始めることとは違う。それどころか、そのような姿勢を見せないことが最重要。テロリストへの報復攻撃成功報道など、最悪である。そんなものはベタ記事扱いすべきもの。
ここまでお読み頂ければおわかりと思うが、「戦争」と言ってもらうだけで大喜びするような輩がテロリスト。
唯一奏功する手段は、侮蔑と無視。

ところが、そんなことは百も承知でありながら、さも公平な視点で眺めるといったトーンのコメントを次々と発する自称リベラルが相変わらず多いのである。
なかには、テロリストに対して「侮蔑と無視」を決めこむ人達を「差別」主義者と見なし、敵意をむき出しに。おそらく、テロリストに連帯感を覚えているのだろう。同じ穴の貉。

何度も繰り返すが、多様化社会への道を選択するなら、そのような社会の崩壊を狙う敵を明確にする必要があろう。それは「差別」とは違う。
あくまでも、
  "Les méchants" と闘う気があるか?
その気力の象徴が「花」。

フランスの多様化が成功するかどうかはわからない。中道勢力弱体化一途のなかで、日本ではとても考えられぬほど政治的に極端な意見の人達がウヨウヨしているからだ。階級構造は厳として存在したままだし、観光と海外利権を死守せねば国が立ち行かなくなる。傍目にも、この国の舵取りは、そう簡単なものではない。

人種と宗教の坩堝化を国是にしてきたかのような米国にしても、今や、政治はガタガタである。シリア難民受け入れ拒否の州続々。
  "Les méchants" と闘う気があるか?
これに"No."と答えたのである。
そもそも、こうなるのは予想通りである。テロリストと開戦すると宣言した瞬間に流れは決まったようなもの。

一方、日本は難民受け入れなど口にもだせぬ反多様化社会だが、日本政府は難民援助を申し出ることで、「花」を送った訳だ。

(VIDEO 仏語) Un week-end avec les Parisiens - Le Petit Journal du 16/11 ・・・上記の一部 英語テロップ附@YouTube: How this little boy and his dad helped Paris "finally let go of their tears"---In an interview with Le Petit Journal in front of floral tributes left for the dead, a young boy is asked if he understands what has happened. He responds: "Yes, because they are very, very, very bad. Baddies are not very nice. We need to be really careful because we will have to move home."
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