表紙 目次 | 2017.5.1 北朝鮮の動きは止められない北朝鮮のミサイル発射に関する解説には大いなる違和感を覚えるもの多し。歴史を忘れているのではないか。 北朝鮮人民軍は突如南に流れこんだわけだが、その時、解放軍として人民から歓迎されたとされているのである。米軍レポートによれば、韓国軍は軍隊の規律を欠き、訓練しても、兵士の態をなさなかったとされる。 膨大な数の兵士を抱える北朝鮮人民軍には、その時代の感覚が残っているとみるべきだろう。当然ながら、民族統一の戦争に踏み切ることに全身全霊をかけている組織なのである。 と言っても、竹槍で米軍と戦える訳がない。従って、開戦は王朝壊滅を招くことになる。どのようなタイプの首領だろうが、"解放戦争"を抑え込むのは当たり前。しかし、独立戦争の勝利の栄光で生まれた王朝であるから、それを表に出せば正統性が崩れるので、絶対にできない。 そうした文脈で先代の先軍政治方針を読むべきだろう。 王朝継承期には、王朝体制を守るために、休戦条約破棄宣言まで進まざるをえなかったところを見ると、軍隊の若手将校は早急な開戦派と考えてもよいのでは。おそらく、王朝貴族化していた幹部の多くはその際に粛清されたに違いない。それもあって、王朝の宗族管理者的人物が中国の力をバックにして、権力を握って開戦派を抑え込んだに違いない。 だが、その人物も粛清されたのである。中国首脳になんらかの情報を流したという理由だろうが、これで開戦派が実権を握ったと思われる。 こうした流れで見れば、現況のミサイル発射を、米軍対応の動きとして解釈するのは、勝手な想像にすぎないとはいえまいか。 2016年にしても、ミサイル発射は20発以上にのぼっている。 オバマ政権は、北朝鮮問題は中国丸投げで、核兵器開発も事実上黙認してきた訳で、開発が進み配備も進めることになれば、ドシドシ試験発射が行われるのは当たり前。今になって、突然、これらのミサイル発射が対米軍の動きに対応したものとみなしたいらしい人だらけのようだが、なんなんだろう。 単に、軍部の力が強く、着々と開戦に向かった軍事能力強化が図られていると見るのが自然である。権力継承期に若手軍人の力を活用したのだろうから、後継者はこの流れに乗るしかなかろう。 当たり前のことを確認しておこう。・・・ 軍備高度化のためには、兵器配備に当たっては定常的に実戦さながらの演習は不可欠。新型あるいは改良型は、生産する前に試験を行うのは当たり前である。 どうみても、そのプランを着々と進めているにすぎまい。対米軍の動きに合わせて動いている訳ではなかろう。 もちろん、発射の具体的日時は最高司令官が決定するから、特段のメリットがあれば別だが、そうでなければ、単に、士気を高める配慮がなされるだけにすぎない。これを瀬戸際政策と考えるのは、"ただただ放置するだけ政策"が弱腰と呼ばれないようにするため。 そのように考えると、29日の弾道ミサイル発射は、要注意である。 今まで使われていない場所のようだし、そのような実験地が建設中との報道もなかったからだ。 これは、新しいタイプのミサイル戦争を模索していることを示していよう。 従って、爆発して失敗と言えるかはなんとも。正確な軌道を知られたくなかった可能性もあろう。この辺りの解説は極めてレベルが低いものが多いので注意した方がよかろう。 例えば、東京はミサイルの脅威下という見方は間違いではないもののピント外れ。軍事的勝利を狙うなら、コントロール技術が未熟なミサイルより、決死隊によるサリン散布を選ぶであろう。もっとも核弾頭が20発あるなら、お見舞いされることになろうが。 ともあれ、オバマ政権は、東アジアの米軍インフラ小規模化を進めてきたから、今や、米軍に朝鮮半島陸上での戦争遂行能力は無い。従って、北朝鮮を攻撃することは、リスクが高すぎて、できないのである。 と言っても、軍事圧力なかりせば、"解放戦争"に直面するから、常時軍事的緊張状態を続けるしかない。ただ、その圧力を強化したところでミサイル開発と配備のスピードが加速されるだけ。なんの意味もない。 それなら、どうせいつか戦乱が発生するのだから、どうなろうとかまわぬという姿勢もありうる。それがトランプ流では。オバマ流の中国の事実上の経済支援を認め、兵器開発生産のスピードアップ容認施策よりはましということかも。 それにしても、緊張感ゼロの全員集合記念写真(空母展開への自衛隊参加)を配布するトランプ政権のセンスの悪さ。(空母護衛なら、散開する訳で。) 西太平洋の米軍は、中国の人民解放軍と連帯するなら別だが、制空と対潜水艦という点で、自衛隊が活動している海域外では空母はすでに張り子の虎であり、ようやく軍隊として機能するように、訓練が始まったというだけの話。 政治への発言の目次へ>>> 表紙へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com | |