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2017.5.30

なにがなにやらの加計問題

加計問題の記事をよく読んでいないせいもあるが、何を問題にしたいのか、ゴチャゴチャしており、正直のところよくわからぬ。
マ、これで、バラマキ政権が潰れるなら、それならそれで大いに結構な話だが、金銭問題でも浮上しない限り、そんな可能性は低かろう。(どのみち、安全保障問題は日米ともにできることが限られており、レトリック的発言しかできない訳で、関係閣僚は実務ができる人物をあてる政権の方がましである。)

ともあれ、論旨が錯綜している解説が多く、小生には理解できぬ点だらけ。
もっとも、そう感じる人は滅多にいないようだが。

全体を眺めてみると、総理大臣が"知り合い"の要請で"勝手に振舞った"ことが許せぬというトーンが基調のようだ。それに、それを明らかにした、書類の有無(官僚が政治家の対応状況をメモで伝達する業務など、いかにも日常活動。その文書の隠蔽が問題ということのようだ。)が問題との指摘が乗ってくることが多い。こう書くと、一見、筋が通ってわかり易そうだが、実は、かえってよくわからなくなる。

なんと言っても、驚かされたのは、政府首脳の問題勃発への対応姿勢である。どう見ても、内閣の情報部門を用いて高級官僚の私生活暴露させているように映った訳だが、それによって高級官僚への個人攻撃を行うというのだから、まさにナンダコリャである。
そこまでしないと、官僚機構統治ができないのであろうか。実に不可思議。

そう思うのは、もともと、この政権は、小泉政権時のようにバラマキ抑制や規制への風穴明けは行わないことで発足したからである。様々な官庁が差配する公共事業を駆使して喰わせる仕組みをさらに強化することで成り立っているから、政官一体構造増強政権ではないかと思うのだが。

簡単に言えば、経済政策の根幹はこんなところ。・・・
[1] 地方に於ける産業の新陳代謝は行わない。
[2] 2020年まで、土木建築セクターによる徹底した景気底上げ。
[3] 競争力喪失大企業をできる限り援助する。

つまり、公共事業を呼び込むことで集票してきた勢力を自民党の主流派に回復させることで、政権安定を図っているということ。
但し、対外的にそれを公言する訳にはいかないから、TPPや"特区"に熱心なところを示しているにすぎない。

加計とは、この特区で持ち上がった問題にすぎない。

中央〜地方まで連なる官僚と硬直化した政治勢力の意向を無視して、総理大臣の指示による"勝手"な動きを認めることで、"岩盤"に風穴をあけようというのが"名目的"スローガンであった筈。
従って、「総理の意向で筋が曲げられたのは許せぬ。」という論調は、"岩盤"で蟻一匹通さぬようにしようという主張と同じことになる。
ところが、面白いのは、政権は"岩盤"を壊すつもりで総理が動いたとの発言を一切しないこと。
大笑いである。

問題が複雑に見えてしまうのは、この特区制度を利用し、筋悪な施策が進んでいたこと。報道は、実は、それを大いに問題視しているのである。ここが、又、複雑怪奇なのである。

政治家の集票活動には金と人手がかかるので、有力者の支援は可欠。従って、この手の筋悪な動きは常に発生する。与野党対立構造があるので、余りに比常識な動きは阻止されるものだが、この場合はそうはならない。(もともと、野党の政治屋が動いた案件だったとされる。そうなると、与党として動かね力を奪われるということだったのだろうか?)

ただ、総理大臣が筋悪な動きに乗ったというのは、いかにもありそうなこと。判断能力が低そうな人物だからだ。日本の組織では、上に載せておくには実に好都合であり、取り巻きとしては一番有り難かろう。

普通なら、見て見ぬフリで終わる案件だろうが、とんでもなく筋悪なので、政治家あるいは高級官僚が動いたのかも。

どう見ても、当事者や地方自治体に金があるとも思えないし、今時、獣医学なる分野に力を入れようと考える官僚や議員に滅多にお目にかかれる訳がないから、ありえそうなこと。

昔から知られていたが、獣医学部とは、ペーパーライセンスを持つだけの卒業生を大量生産する教育機関である。ペット医療で食べていけるのはほんの一握りであり、畜産系民間業務に就く人は"徳"あるお方と言われていた。そんな状況だから、定員増の主張を繰り広げる人などいないと思っていたら、豈図らんや。

一体、どういう目的なのか、小生にはさっぱり理解できぬ。

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