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2003.12.15 |
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「H-IIA」ロケットの課題…2003年11月29日、情報収集衛星を搭載した「H-IIA」ロケット6号機打ち上げが失敗した。2本の固体ロケットブースタのうち、1本の分離ができなかったためである。(http://www.jaxa.jp/press/2003/11/20031130_h2af6_j.html) これで、保険をかけることさえできないロケットになってしまった。日本の航空宇宙プロジェクトは前途多難といえる。 しかし、こうなったのは必然といえそうだ。・・・昔から言われているように、必然は偶然を媒介として現われる。
すでに、商業ロケット分野では、中国が圧倒的優位に立っている。「長征3B」は積荷能力5トンで「H−IIA」と同クラスだ。信頼性も高い上に、世界一安価な打ち上げサービスを提供している。これでは、日本の商業ロケットはとうてい太刀打ちできまい。 「H-IIA」開発コストをいくら削ったところで、勝者になれるとは思えない。 ところが、商業化方針撤回の話しがさっぱりでてこない。ということは、破綻するまで、どこまでも進むつもりだ。 経済性が見込めないものを、無理矢理作文で正当性を主張して始めるから、動きがとれなくなっているのではないだろうか。 世界に誇れる高コストパフォーマンスのロケットを開発する、とのふれ込みだから、予算は最低レベルに保つしかない。余裕が無い状態である。おそらく最低限の検証しかできない。これで、無事故打ち上げができるとは思えない。 その上で、状況悪化因子が重なる。 目的が異なる組織が統合されたからだ。 しかし、方針変更の話しは聞いたことがない。 普通、組織再編の際には、戦略やプロセスの変更を伴うものだが、「お化粧直し」だけの組織統合を進めたのである。 何の合意もなく、よくわからない方針の下で、組織が動き始めたと言える。 このことは、ことなかれ主義や、事実隠蔽が進む素地ができてしまったことを意味する。 こうなると、人心一新の抜本的改革を進めない限り、組織の腐敗は避けられまい。 腐敗を防ぐためには、先ずは、正直に、プロジェクトの実態を語るべきだろう。 できそうにない目標を外し、「ミニNASA」でしかないことを、認めることが出発点だ。密室協議でプロジェクト存続を狙うのではなく、国民に対して、真摯に語りかけるべきだと思う。 航空宇宙に浪漫を感じる熱烈なファンや、苦闘する研究者・エンジニアに声援を送る人は多い。 支援者と共に動き、早く、新たな道を見つけるべきではないだろうか。 [2003年10月発刊の笹本祐一編「宇宙へのパスポート2」(朝日ソノラマ)が、1ヶ月内に増刷になった。---この本を読むと、執筆者達の心情(「ワクワクして取材」)が自然に伝わってくる。] --- 1号機打ち上げ時点では --- 「H-IIAは顧客をとれるのか?」 (2001年9月6日) 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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